厚生労働省は12月11日、国内初のゲノム編集食品を承認しました。
筑波大学発ベンチャー企業のサナテックシードなどは、ゲノム編集技術を使って血圧を下げる成分を多く含むように改良したトマトの販売・流通を国に届出。
さらに来春から家庭菜園向けに苗を販売すると発表しました。
ただ、ゲノム編集食品は表示することが義務付けられておらず、消費者の懸念は根強いとも言われています。
12月19日放送『北野誠のズバリサタデー』では、日本ゲノム編集学会の会長で広島大学教授の山本卓教授にお話を伺いました。
国内で初承認「ゲノム編集食品」は遺伝子組み換え食品とどう違う?
遺伝子組み換え食品とは違う?
まずはゲノム編集食品について、山本先生に解説していただきました。
山本先生「新しい遺伝子を少し改変する技術で、ゲノム編集食品10年近く前から作られた技術なんですけれども、それを使って作成した農産物や畜産物で、そこから作られるような加工品もゲノム編集食品になるかと思います」
遺伝子を変えた食品といえば、「遺伝子組み換え食品」がありますが、これとは違うものなのでしょうか。
山本先生「遺伝子組み換えというのは、本来その生物が持っていないようなDNAを入れてやるんですね。今回のゲノム編集技術というのは、基本的に遺伝子は入れないで、それぞれの生物が持っている遺伝子(を使う)。
自然界でも遺伝子が切れて情報が変わったりするんですね。それと同じことをゲノム編集でやっているので、それまで品種改良で使われていた技術とほとんど同じレベルと言っていい改変しか加わってないと」
山本先生「新しい遺伝子を少し改変する技術で、ゲノム編集食品10年近く前から作られた技術なんですけれども、それを使って作成した農産物や畜産物で、そこから作られるような加工品もゲノム編集食品になるかと思います」
遺伝子を変えた食品といえば、「遺伝子組み換え食品」がありますが、これとは違うものなのでしょうか。
山本先生「遺伝子組み換えというのは、本来その生物が持っていないようなDNAを入れてやるんですね。今回のゲノム編集技術というのは、基本的に遺伝子は入れないで、それぞれの生物が持っている遺伝子(を使う)。
自然界でも遺伝子が切れて情報が変わったりするんですね。それと同じことをゲノム編集でやっているので、それまで品種改良で使われていた技術とほとんど同じレベルと言っていい改変しか加わってないと」
期待される効果は?
では、ゲノム編集を行うと、どんな効果があるのでしょうか。
山本先生「遺伝子のつなぎ変えを起こすことによって、機能が少し弱くなるとかコントロールができるようになるんですね」
北野「ある部分が強くなったりとかもできるわけですね?」
山本先生「強くなったりというよりは、どちらかというと傷を入れるので、ある遺伝子の働きが弱まると結果としてある成分の量が増えると」
今回承認されたトマトは、GABAという血圧が上がるのを抑えたりする効果のある神経の伝達物質が多く溜まるようなゲノム編集を行っていて、GABAを抑える遺伝子に傷を入れることで、GABAの含有量を増やすことになる仕組みです。
その他にも同じような仕組みでマダイを肉厚にしたり、すでにヨーロッパでは筋肉が発達した牛が新しい品種として出回っているそうです。
山本先生「遺伝子のつなぎ変えを起こすことによって、機能が少し弱くなるとかコントロールができるようになるんですね」
北野「ある部分が強くなったりとかもできるわけですね?」
山本先生「強くなったりというよりは、どちらかというと傷を入れるので、ある遺伝子の働きが弱まると結果としてある成分の量が増えると」
今回承認されたトマトは、GABAという血圧が上がるのを抑えたりする効果のある神経の伝達物質が多く溜まるようなゲノム編集を行っていて、GABAを抑える遺伝子に傷を入れることで、GABAの含有量を増やすことになる仕組みです。
その他にも同じような仕組みでマダイを肉厚にしたり、すでにヨーロッパでは筋肉が発達した牛が新しい品種として出回っているそうです。
品種改良に近い?
一方、生産者側にはどんなメリットがあるのでしょうか。
山本先生「これまで特に農作物の品種改良はものすごく時間がかかって、自然に生まれてくるのを待つ、突然変異を待つというのは何十年もかかってたんですね。
ゲノム編集以前だと、最近は少しDNAに傷を入れるような、例えば放射線を少し当てて早くDNAに変化が起きるような品種改良が行われていたんですね。
それでも放射線を使うと、どこに傷を入れるかというのは選べないんですね。
ところがゲノム編集は、この遺伝子はこの配列が特徴的だなというところだけを狙い撃つので、この遺伝子が少し働きが弱くなったらこういうふうになるんじゃないのかなというのを予想して、そこだけに傷を入れるんですね」
山本先生「これまで特に農作物の品種改良はものすごく時間がかかって、自然に生まれてくるのを待つ、突然変異を待つというのは何十年もかかってたんですね。
ゲノム編集以前だと、最近は少しDNAに傷を入れるような、例えば放射線を少し当てて早くDNAに変化が起きるような品種改良が行われていたんですね。
それでも放射線を使うと、どこに傷を入れるかというのは選べないんですね。
ところがゲノム編集は、この遺伝子はこの配列が特徴的だなというところだけを狙い撃つので、この遺伝子が少し働きが弱くなったらこういうふうになるんじゃないのかなというのを予想して、そこだけに傷を入れるんですね」
気になる安全性は?
大きなメリットがあるようですが、消費者として最も気になるのは、遺伝子組み換え食品と違って、表示が義務付けられていないことですが…。
山本先生「表示義務については、通常は遺伝子組み換え食品であれば表示されるのと同じように、ゲノム編集食品もするという考えも悪くないと思いますし、研究者も表示をしないということではなくて、積極的にブランド名と公開で紐づけて、情報はきちんと開示して(も良いと考えている)。
なんで今回、消費者庁が表示を公開しない方向になったかと言いますと、要は(ゲノム編集が)遺伝子に傷を入れて一部分だけ情報を除いちゃうというのが基本なんですね。
それが自然突然変異で起きるものと区別ができないので、これがゲノム編集食品ですよと表示をする時に、ゲノム編集で作られたものかどうか、表示をする人たちも確かめるのがかなり難しいんですね」
遺伝子組み換え食品の場合は、別の遺伝子を入れてくるので、違うものが入っているかどうかで確かめることができるのですが、ゲノム編集食品はもともとある遺伝子を使ったものであり、さらに自然界でも起きうる変化なので、区別がつきにくいようです。
最後に山本先生は、「一番大事なのは、食品としての安全性が確保されているかどうか、アレルギー物質ができていないとか、毒性が生じていないかということは、これまでの育種の時に生産者の人たちはきちんと評価を確立していて、それに従ってやりますので安全性もきちんと確保されています。
これまでの品種改良とそんなに大きく変わらないものができてくると」と語りました。
(岡本)
山本先生「表示義務については、通常は遺伝子組み換え食品であれば表示されるのと同じように、ゲノム編集食品もするという考えも悪くないと思いますし、研究者も表示をしないということではなくて、積極的にブランド名と公開で紐づけて、情報はきちんと開示して(も良いと考えている)。
なんで今回、消費者庁が表示を公開しない方向になったかと言いますと、要は(ゲノム編集が)遺伝子に傷を入れて一部分だけ情報を除いちゃうというのが基本なんですね。
それが自然突然変異で起きるものと区別ができないので、これがゲノム編集食品ですよと表示をする時に、ゲノム編集で作られたものかどうか、表示をする人たちも確かめるのがかなり難しいんですね」
遺伝子組み換え食品の場合は、別の遺伝子を入れてくるので、違うものが入っているかどうかで確かめることができるのですが、ゲノム編集食品はもともとある遺伝子を使ったものであり、さらに自然界でも起きうる変化なので、区別がつきにくいようです。
最後に山本先生は、「一番大事なのは、食品としての安全性が確保されているかどうか、アレルギー物質ができていないとか、毒性が生じていないかということは、これまでの育種の時に生産者の人たちはきちんと評価を確立していて、それに従ってやりますので安全性もきちんと確保されています。
これまでの品種改良とそんなに大きく変わらないものができてくると」と語りました。
(岡本)
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