ここ30年あまりで、簡単には治療できない性感染症が増えています。
中でも怖いのは「症状がない」場合。知らない間に病気が進行し、不妊症をはじめとしたさまざまな病気に繋がる場合さえあるのです。
『北野誠のズバリサタデー』、話題の本の著者にインタビューする「ズバリこの人に聞きたい」のコーナー。
11月28日の放送では『性感染症 プライベートゾーンの怖い医学』の著者で、性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」の院長・尾上泰彦先生に、知っているようで知らない性感染症について伺いました。
症状があればラッキー
尾上先生は著書で、性感染症の症状と対策についてわかりやすく記しています。
性感染は「症状があればラッキー、なければアンラッキー」と尾上先生。
症状があれば検査をして治療に繋がるものの、症状が出ない場合は病気に気づかないため、そのどちらもできません。
気づかないままにパートナーにうつしてしまう上、知らないうちに病気がどんどん進行してしまい、男女ともに不妊症に繋がる可能性も出てくるのです。
不妊症、子宮外妊娠にも
性感染症で最も多いクラミジアの場合、症状が出るのは男性では半分、女性ではたった20~30%のみ。
"キャリア"のまま、パートナーに病気をうつしてしまうこともあり得るということです。
クラミジアは、性活動がもっとも盛んな若い男女に最も多くみられます。
男性はクラミジア性尿道炎を起こし、排尿痛、尿道のかゆみや違和感、そして尿道の出口から水っぽい分泌物が出ます。
女性はおりものが増え、下腹部痛、不正出血、排尿痛や性交痛があります。
放置すると骨盤腹膜炎や不妊症、子宮外妊娠などにも繋がる、非常に怖い病気なのです。
若い女性に増える「梅毒」の恐怖
先生の著書によると、最近では梅毒が再び流行傾向にあり、特に若い女性に増えていることが社会問題となっているそうです。
痛みはなくしこりができる梅毒ですが、クラミジア同様「症状が出ればやはりラッキー」と尾上先生。
症状がないからと治療せずにそのまま放っておくと、神経を冒して「神経梅毒」に移行してしまいます。
そのまま妊娠した場合、赤ちゃんが「先天性梅毒」になってしまう恐れもあるのです。
非常に怖い病気ですが、今は良い薬があるので、専門医を受診すれば2~4週間で治すことができるそうです。
オーラルセックスは危険な行為
先生は著書で「セックス直後の排尿」を推奨しています。
セックス前に水を多めにとり、終わった後に排尿することで「尿道を洗う」ことができます。
女性は膀胱炎の予防に、男性は尿道炎の予防になりますが、過信は禁物。
不安行為があれば、やはり適切な時期に検査を受けることが必要とのことです。
そして「オーラルセックスは危険な行為で、病気にならないと思ったら大間違い」と尾上先生。
口の中に淋菌やクラミジアがいても、約90%以上は症状がありません。
梅毒も口からうつることがあるそうです。
性感染症の予防に必要なこと
肛門を舐めた場合は、糞口感染による「赤痢アメーバ症」の恐れもあります。
これは男性同性愛者や風俗嬢に多くみられる病気。
「口は性感染症の温床」といわれているので、とにかく注意が必要です。
「不安な行為があれば適切な時期に検査をして、安心することがおすすめ」と尾上先生。
先生によると、性感染症の予防に必要なことはこの6つ。
・お互いに性の健康を確認してセックスすること。
・不特定多数の人とセックスしないこと。
・コンドームを最初から最後までつけること。
・オーラルセックスも安全ではないと知ること。
・「この人だけは大丈夫」と思い込まないこと。
・不安行為があれば時期をみて検査を受けること。
セックスに伴う危険を知ること
性感染症の検査はもっとも良い予防方法で、病院へ足を運ぶのが難しい場合は郵送検査もあります。
検体を送れば数日で結果が判明するため、万が一陽性であれば病院で適切な治療が必要です。
そして今はワクチンという選択肢も。
HPVワクチンは、ヒトパピローマウイルスや尖圭コンジロームを防ぎ、子宮頸がんの予防にもなります。
尾上先生によると、知識がないままのセックスに伴うさまざまな危険を、若者に教えておくことが一番大切とのことでした。
(minto)
北野誠のズバリ
この記事をで聴く
2020年11月28日10時29分~抜粋