街の中で困っている人に親切にするのは良いことですが、時にはアダとなることもあるようです。
10月21日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」コーナーでは、良かれと思ってやったことで起きるトラブルについて、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。
親切のつもりが失敗すると…
今回、リスナーから届いた法律に関する質問のおたよりは、次のとおりです。
「先日、駅でおばあさんが大きな荷物を持ちながら一段ずつ階段を上がっていると、若い男性が颯爽と駆け寄り、荷物を運んでいました。ただ、よく見ると荷物がゴンゴンと手すりにぶつかっていました。
その後のことはわかりませんが、もしお年寄りの荷物が高価なもので破損していたりしたら、若い男性は弁償しないといけないのでしょうか。
私も時々手伝うことがあるので、少し不安に感じました」(Aさん)
別にお金をもらって作業をしているわけではないので、責任はないように感じるのですが、実際のところはどうなのでしょうか。
原先生「何か過失があれば、賠償責任を負う可能性はあります。
理屈としては、若い人がおばあさんに『荷物を持ちましょうか』と言ってるわけで、それは契約の申し込みで、おばあさんが『いいですよ、ありがとうございます』と言ったら、契約を承諾したことになる。
無償の荷物の移送契約が発生しているわけですから、契約の中の履行にミスがあれば、債務不履行と」
単なる親切でも義務が発生
お金をもらっていないのに、リスクを背負うのは何か腑に落ちない感じがしますが…。
原先生「無償かどうかは関係がないです。過失の程度(はありますが)、例えば有償で高級品の絵画を運べという契約なら、当然注意義務が高くなりますけど、無償であれば普通にみなさんが使うような対応で動かせば注意義務にあたりますが、ミスだと認められたら、損害額は一緒です」
注意のレベルの高い低いはあるようですが、無償であっても責任はあるようです。
ただ、この契約はあくまでも口約束。
もし何かあっても「そんなの言った、言ってない」でモメそうですが、極端な話、裁判で争うことになった場合は、目撃者の証言や監視カメラなどに頼ることになるそうです。
今回のケース、「持ちましょうか」と言ったことで契約が成立するのですが、ということは…。
北野「黙って持ってあげたらどうなるんですか?」
原先生「騒がれますよね、きっと(笑)」
それはそうですね。
不測の事態に備えるには?
では、実際に壊れてしまった場合、どれぐらいの弁償額になるのでしょうか。
原先生「相場は中古価格があるものは中古価格ですし、壊れて使い物にならなければ、それを買い戻す価格、中古価格か、新品価格の何割かで計算、修理ができるものは、修理価格ということになりますね」
ただ、見ず知らずの人に運んでもらった後、家で壊れたことがわかった場合は、請求するのは事実上不可能。
そこで、原先生はある程度(高価な)物が入っている場合や、海外旅行で大きな荷物を運んだり、ブランド物を買う時などに備えて、保険に入っておくことをお勧めしました。
保険は事故であることが立証できれば、相手は誰かわからなくてもお金が下りるため、自己防衛をするのが良いとのことです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2020年10月21日14時12分~抜粋