8月15日放送『北野誠のズバリサタデー』のゲストは、『大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~』(扶桑社新書)の著者で、近畿大学総合社会学部総合社会学科准教授の岡本健(たけし)さん。
ゾンビ映画を研究してわかったことや、そこから新型コロナウイルスへの対策について学べることなどについて、リモートでお話を伺いました。
「ゾンビ学」とは何か
「ゾンビ学」といっても、もちろんゾンビ自体の生態を中心に研究するという学問ではありません。
岡本先生はゾンビという題材を扱った映画や小説などを通じて、我々の文化などにどんな影響を与えているのかなどを研究されています。
一方で連日、感染拡大が続いている新型コロナウイルスについて、北野はこの存在もゾンビっぽいと感じているようです。
岡本先生「特にゾンビものは最近、ウイルスの設定のものが増えてきていたので、そういう意味ではコロナウイルスによる社会現象が、『これゾンビ映画で観たぞ』みたいなことが結構起こってたという印象ですね」
海外でもゾンビを研究している教授はいて、その1人であるダニエル・ドレズナー教授は、『ゾンビ襲来――国際政治理論で、その日に備える』(白水社)という本を執筆している国際政治学者。
「国際政治とゾンビに何の関係が?」と思いがちですが、この本では、ゾンビが襲来するといった有事が起こった時にさまざまな国がどのように対応するのかということが書かれているそうです。
国際政治とゾンビの関係!?
そして、それは今の新型コロナという有事への対策にもそのまま当てはまるそうです。
岡本先生「まさに今回のコロナが蔓延した時にどのような対策を取るのかというのが、国によって非常に文化差が出ましたよね。それと全く同じです。
どこの国がどこの国を経済封鎖するとか、もちろん空想の世界ですけど、わりと緻密に書いて。国によって主義が違って、取るべき選択肢が変わってくると。
日本でも今も話題になっていますけど、経済を優先するのか、人命や防疫、とにかくウイルスを広げないっていう方を強調するのか。
これもやっぱりさまざまなバランスがあるでしょうし、国の統治機構によっても変わってきますよね。トップが言えば全体的にそうなる、法的に拘束できる国と日本のようにそうではない国では、対策や(ウイルスの)広がり方が変わってくると」
予言したかのような映画
そして、映画でも新型コロナを予見したかのような作品があり、それがアイルランド映画の『CURED キュアード』(2017年公開)というもの。
日本では新型コロナウイルスが蔓延する前後、今年3月に公開されています。
岡本先生「ゾンビウイルスにかかったけど治ったっていう人が出てきて、治った人をどうするっていう映画なんですよ。
自粛警察じゃないですけど、『あいつ感染してた奴やろ』って、人間がイジメちゃったり。
しかも非常に不幸なことに、治った人はゾンビだった時の記憶が残ってるんですね。誰を噛んじゃったとか殺したとかを覚えちゃってるんですよ。
だから人間側も、『おまえらのせいでウチのお父さんが死んだじゃないか』とか、非常に社会がギスギスしてくるんですね」
そして岡本先生は最後に、「感染症パニックについて、クリエイターが工夫することによって、いろいろな可能性が出てくるので、現実と似ている部分があるんですね」とまとめました。
大きな災害が起きた後、予言されていたと過去の映画や小説などが話題になることがありますが、人間の想像力によって、災害が起きた時にどうするのかをシミュレーションできるのかもしれませんね。
(岡本)
北野誠のズバリ
この記事をで聴く
2020年08月15日09時05分~抜粋