健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年12月26日

2021年12月26日(日)

ライフ・ヘルスケア
●教えてドクター 
★12月のテーマ「高齢者の健康維持と服薬の課題」

名古屋大学 医学部附属病院 老年内科 教授
葛谷雅文 先生

医師だけでは患者さんに薬を正確に飲んでもらうことが難しいケースもあります。薬剤師から薬の説明を受けると患者さんの薬の飲み忘れが少ないというデータもありますので、しっかり薬についての説明を受けていただくことが重要です。また在宅で訪問診療等を受けている方に対しては現在様々なサービスがあり、訪問看護師さんやヘルパーさんのサポートを受けることができます。ヘルパーさんが患者さんに薬を飲ませることはできませんが、飲んだかどうかの確認をすることはできると思いますので、そのようなサービスを受けることは大切です。また、訪問看護師さんやヘルパーさんからの情報は医師にとっては貴重な情報です。ご自宅ではどのような様子なのか?残薬がたくさんあるのか?薬が足りなくなっていないか?といった情報が医師に集まらなければ正確な薬の処方ができないと思います。地域一体となって患者さんに関わるすべての人が、薬に対して興味を持ち、患者さんにしっかり服薬していただくことに取り組むべきだと思います。また、患者さんが「自分に合わない薬がでているのではないか?」とか「薬が多すぎて飲めない」と思っていても、「先生に言うと怒られるのではないか?」と考え自分で判断して服用をやめてしまったり、中断してしまったりすることは、非常に良くないです。先生はそのようなことでは怒りませんので遠慮せずに思っていることをおっしゃって下さい。正直に伝えることが間違った医療を防ぐと思います。
 
 
医療コラム 新型コロナ対応・・・教訓から学び次への備えを!
論説室 後藤 克幸

新型コロナワクチンの3回目の接種への動きが急ピッチで進んでいます。12月から医療従事者への3回目の接種が始まり、1月以降は高齢者や一般の人への追加接種も進む予定です。今、日本の感染状況は警戒すべき時期に来ているとも言われています。警戒すべき時期とはどういうことでしょうか?様々な調査研究によりますと、ワクチンの感染予防効果は6カ月で接種当初の30%以下に低下すると言われています。ワクチンの接種が日本より早く始まったヨーロッパの国々では、ワクチン効果の低下が原因と思われる感染拡大の波に襲われ、対応に追われています。イギリスとイスラエルの例を見てみましょう。日本より早く去年の暮れからワクチンの接種が始まりました。今年の春頃は、ワクチンの効果があって患者数は減少していましたが、およそ8カ月経過した夏頃から、感染者数が再拡大を始めました。イスラエルでは、こうした状況にいち早く対応して3回目の追加接種を始めました。その結果、秋口からは感染者数が減少に転じています。しかしイギリスでは3回目の接種への対応が遅れ、最近になって始まったばかりで、感染拡大を抑えきれていません。

日本は現在、2回目の接種を済ませてまだ数カ月以内という人が多いので、ワクチンの効果が順調に効いている時期であると言えます。しかし、年が明けて2022年になると、医療従事者や高齢者では、2回目の接種から8カ月以上経過する人が多くなってきます。私たちは、ワクチン効果が時間の経過とともに低下していくことをしっかり自覚することが大切です。ワクチンの2回目の接種完了から8か月以上経過しますと再感染の危険がかなり高まると考えられます。

感染症の専門医は「自宅で服用が可能な飲み薬による治療が一般に普及するまでには、まだ時間がかかります。3回目のワクチンを急ぐことを推奨します」と話しています。さらに、オミクロン変異株という、感染力が今までになく強烈な新しい新型コロナの変異株が急速に世界で広まっています。まだまだ、感染対策を緩めてはいけません!
 
 

 
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