健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年7月4日

2021年07月04日(日)

ライフ・ヘルスケア
●教えてドクター 
★7月のテーマ「ワクチン接種の現状と課題」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部教授
八木哲也 先生

新型コロナウイルスワクチンについてですが、現在日本で接種されているワクチンはファイザー製のワクチンとモデルナ製のワクチンの2種類になります。その他承認を受けているワクチンもありますが、現在実際に接種されているのはこの2種類です。どちらのワクチンも特徴としては、ウイルスのスパイクタンパクと言われる、表面のタンパクを作る設計図となるような遺伝子を、脂肪の膜に包んだものを接種し抗体を作る方法であるということです。ウイルスが人間の細胞に入る時に人間の細胞の表面にくっつくタンパクがスパイクタンパクと言われます。そのスパイクタンパクを介してウイルスが人間の体の中に入って増殖していくことになります。スパイクタンパクは元々人間の体の中には無いタンパクなので異物と認識され、我々の免疫反応が抗体を作ります。ウイルスそのものを体に入れるのではなく、ウイルスの遺伝情報を体の中に入れることで免疫反応を起こすという全く新しタイプのワクチンです。スパイクタンパクを接種してもRNA自体はもろい物なので壊れてしまいますし、ワクチンのための設計図の役割を果たしたら、それで体の中から消えていきますのでご心配はいりません。一般的に大規模接種と呼ばれる場所ではモデルナ製のワクチンが使われています。我が国で最初に始まった医療従事者のための接種や、自治体を通じて行われている高齢者のための接種に使われていたのはファイザー製のワクチンです。ファイザー製とモデルナ製のワクチンを比べますと効果は95%と94%と、ほぼ同じです。使用当初、ファイザー製のワクチンの方がより低い温度で管理しなければなりませんでしたが、その後-20度でも保存ができることになり、モデルナ製のワクチンとほぼ同じ温度で管理できるようになりました。接種後の副反応の頻度や程度もこの2つのワクチンは類似しています。非常にまれですが副反応が起こることもありますので、何かおかしいと思ったら是非かかりつけ医を受診していただきたいと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
助田菜緒 さん(藤田医科大学大学院 保健学研究科 修士課程2年)

特に力を入れていること
研究を一生懸命行っております。抗がん剤の一種であるシスプラチンというものは副作用として腎障害がおきやすいと言われています。またこの治療を受けるには患者さんの入院治療が必要となります。患者さんが入院することなく、腎障害の副作用を抑制し、治療を行うことができないかと日々研究を進めています。また現在藤田医科大学病院は新型コロナワクチンの集団接種会場になっていまして、私はそこでボランティア活動を行っています。ワクチン接種にいらっしゃる方々がスムーズに会場へ入っていけるように誘導をしたり、安心・安全な環境でワクチン接種が効率良く進むような手助けをしたりして貢献しています。

心に残った経験
大学3年生の時に行った病院の臨時実習が心に残っています。大学の授業の中で「患者さんのことを常に考えて行動すること。」というお話をよく聞いていました。そして実際に現場に行って、先生方が患者さんに目線を合わせて寄り添いながら接している姿や、検査データを迅速かつ正確に出されている姿を目にしました。また、自分自身も患者さんと関わる機会がありました。車椅子を押したり、ドアを開けたり、院内の案内をした時に、「ありがとう」や「お疲れ様」の言葉をかけていただいたことが心に残っています。

今後の抱負
医療の現場の現状は日々変化していくものなので、その変化に自分の知識が追いつくよう日々勉強していきたいと思います。また、研究については残り僅かな大学院生活の中で、現在の研究のテーマを自分が満足できる形で論文にまとめ、投稿できるよう頑張っていきたいと思います。
 

 
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