あなたの心を開放する、ゆったりと流れる大人の時間『後藤浩二 ジャズ魂』。
毎週日曜の夜10時半、ジャズピアニスト・後藤浩二のコレクションから名盤はもちろんのこと、隠れた素晴らしい演奏をご紹介。
先日の「こどもの日」にちなんで、今回は若くしてデビューした3人の驚くべきミュージシャンたちを紹介します。
天才・超絶技巧・難病…若くしてデビューした3人のピアニスト
12歳に初リーダー作でCDデビュー
最初にご紹介するのはセルジオ・サルバトーレ。
僕が学生の時、JAZZ雑誌を見て興味を持ちCDを買いましたが、実にクリアなジャズ・ピアノを弾く天才です。
サルバトーレは1981年3月3日生まれ。
このイタリア系アメリカ人の少年が、11歳でミュージシャンとしてデビュー。
12歳の時に初録音、初リーダー作としてCDデビューを果たします。そんな若さでオリジナル曲も書いちゃいますか。会ったら「この野郎」と言ってやりたいですね(笑)
1994年以降CDは発表していないようですが、現在もニューヨークで地道に活動を続けているということです。
流れてきた音を完璧に再現する5歳児
次に紹介する若くしてデビューしたミュージシャンは、エルダー・ジャンギロフ。
1987年にキルギス共和国で生まれたエルダーは3歳からピアノを始めました。
とても耳が良く、5歳の時には流れてきた音を一音も違わずに再現できたというほど耳が良かったというエピソードがあります。
9歳でジャズフェスティバルに出演し、1998年、11歳の時にアメリカへ移住し才能がますます開花します。
こちらもわずか13歳か14歳の時、自主制作でCDをリリースしました。
2005年、18歳でメジャーデビュー。
ロン・カーター、マイケル・ブレッカー、クリス・ボッティ、ロイ・ハーグローヴ等幅広いスタイルのミュージシャンたちと共演を重ねました。
自身のトリオでもジャズだけでなく、超絶技巧でクラシックも見事に弾きこなしています。
実は2007年、僕が出演したインドネシアでの"Java Jazz Festival"に、このエルダーも出演していました。テクニックが素晴らしくて驚きました。打ち込みのような正確さです。
難病と闘い13歳でデビューした神童
最後にご紹介する 若くしてデビューしたミュージシャンは、ミッシェル・ペトルチアーニ。
昨年の10月この番組でご紹介した「小さな巨人」です。
なぜ「小さな巨人」と呼ばれるのか、聴き逃した方のために紹介します。
ペトルチアーニは1962年フランス生まれ。
骨が折れやすい病気・骨形成不全症を患っており、数十か所も骨折した状態で生まれてきたと言われています。
身長は大人になっても1メートルほどしかありませんでした。
そんな彼も13歳でプロデビュー・コンサートを開き「神童」と賞賛され、19歳でアメリカへ渡り、1980年~1990年代を代表するピアニストになったのです。
ペトルチアーニは凄いスピードで手首を動かしてピアノを弾くんですが、実は演奏中にもしばしば骨折していました。その演奏には鬼気迫る凄まじい迫力がありました。
そして1999年、36歳の若さでこの世を去ってしまいました。
共通して若き日にデビューしながら、まるで異なる人生を送っている3人。
ぜひとも音源に接していただきたい、そんなミュージシャンたちを紹介しました。
M1 Sergio Salvatore『Tune Up』から「Times Place」
M2 Eldar Djangirov『Eldar』から「Sweet Georgia Brown」
M3 Michel Petruccani『Michel Petruccani Trio』から「Cherokee」
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