後藤浩二 ジャズ魂~あなたと夜と音楽と~

ヴィレッジバンガードで最初に録音したのはソニー・ロリンズ

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あなたの心を開放する、ゆったりと流れる大人の時間『後藤浩二 ジャズ魂』
毎週日曜の夜10時半、ジャズピアニスト・後藤浩二のコレクションから名盤はもちろんのこと、隠れた素晴らしい演奏をご紹介。
ときには、ジャズボーカリストをゲストに迎え、スタジオミニライブや、ジャズミュージシャンにしかできない音楽の話、楽屋話などでお楽しみいただきます。

ジャズピアニスト 後藤浩二

ジャズミュージシャンが憧れるジャズの聖地・ヴィレッジバンガード


ヴィレッジヴァンガードは、アメリカ、ニューヨークにある1935年創業の世界でも有名なジャズクラブです。
ライブ録音が行われること数知れず。ジャズ史に残るライブアルバムの舞台です。
僕も2000年以降に3回ぐらい行きました。どんな立派なお店なんだろう、思って行ってみるとそうじゃなかったんです。お店は地下にあって、狭い階段を下りていきます。中に入ってみると暗くて、狭くはないんですけど、ステージと客席の段差がないぐらい。それぐらいの規模でした。ちょうど真ん中らへんにでかい柱があって、結構邪魔だったりして。
本当にこんな場所が1935年創業の有名なジャズクラブなのかっていうところなんです。
でも壁に飾られたジャズレジェンドたちの写真を見ると、ここは超一流の方々が日々演奏を繰り広げられる場所だというのが実感できます。
僕が行ったときは、もう亡くなられましたがピアニストのマルグリューミラーさんとか、こちらも亡くなられましたがピアニスト、シダー・ウォルトンさんの写真もありました。シダー・ウォルトンさんはアートブレイキーのジャズメッセンジャーズの一員です。

最初に録音したのはソニー・ロリンズ


その店で最初に録音されたのがソニー・ロリンズ「ナイト・アット・ザ・ヴィレッジバンガード」です。
ソニー・ロリンズは1930年ニューヨーク生まれ。9歳でピアノ。11歳でアルトサックスをはじめ、高校時代にはテナーサックスに転向。その後、本格的にプロの道に進み、初めてレコーディングを経験したのは1949年19歳の時。すごいですね。19歳は僕は大学2年生。法律の勉強してましたね。
そして翌年1950年に、あのマイルス・デイビスと出会います。

マイルスから神と呼ばれた20歳の若者


マイルス・デイビスは1926年生まれですから当時は24歳。のちにウエストコースト・ジャズに多大な影響を与えるアルバム「クールの誕生」も制作しています。
当時、マイルスはソニー・ロリンズのことを、「すでに伝説的で神様みたいな存在だった。バード(チャーリー・パーカーの愛称)と同じようなレベルでサックスを吹いている」と話していますす。
チャーリー・パーカーは1940年代初頭からモダンジャズの原型なるいわゆるビバップスタイルの創成に関わった天才的サックス奏者です。アドリブのひらめきは伝説となっています。
そして若き日のマイルスを自分のバンドに引き入れたのが、誰あろうチャーリー・パーカーでした。

初物尽くしですでに名盤


天才は天才を呼ぶ。そしてその天才から弱冠20歳の時に神様と呼ばれた男。
そんなソニー・ロリンズが1957年にヴィレッジ・バンガードで残したアルバムが「Night at the Villaga Vanguard」です。
ソニー・ロリンズにとっても、会場であるヴィレッジバンガードにとっても初のライブ録音となったダブルのお初。ダブルで金メダルとっちゃったみたいなアルバムです。
バンドはトリオ編成。テナーサックス、ドラムス、ベース。
珍しくコード楽器がありません。だいたいはピアノとかギターが入るんですけど、入れずにやるという。和音が出ないわけですからメロディーが分かりにくく、とても難しいと思います。それだけに僕もコード楽器なしでやるということに憧れがあります。
当時は珍しかったコード楽器なしの編成がこれ以降ぞくぞく出てくることでソニー・ロリンズの影響力が分かります。マイルスの目に狂い無し。
ソニー・ロリンズ「Night at the Villaga Vanguard」。
ヴィレッジバンガードでの最初にしてすでに屈指の名盤です。
(尾関)
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