多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

北海道と本州を結ぶ青函トンネルに、いま起こっている問題

3月18日にJR各社などでダイヤ改正があり、関東では幕張豊砂駅、関西では新たな大阪駅が開業するなど、鉄道の状況が変わる時期となりました。

そして35年前の3月13日、ダイヤ改正時の大きなイベントといえば青函トンネルの開通です。

3月23日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBCアナウンサーで気象予報士、さらには鉄道にも詳しいという沢朋宏アナウンサーが、意外と知られていない青函トンネルの現状について解説しました。

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世界最長級のトンネル

青函トンネルは、言わずと知れた北海道と青森を結ぶトンネルで、地上部分も合わせると長さはなんと50kmを超えていて、開通当時は世界一長いトンネルでした。

その後2016年3月には新幹線が通るようになったため、青函トンネルは在来線と新幹線の2つの線が通っているのかと思いきや、実は在来線と新幹線は併用であって、しかも在来線といっても普通電車や快速電車ではなく、貨物列車が走っています。

青函トンネルには線路が3本あり、真ん中は貨物列車、外側の2本は新幹線が使っているということになります。

新幹線はトンネルの中でスピードを落とすのですが、これはトンネルの中だからスピードを落とすというよりも、貨物列車とすれ違う時にかなりの風圧を与えて揺らしてしまうのを防ぐためで、時速は160km程度にしているそうです。

北海道民の生活を支えるトンネル

青函トンネルの経済効果ですが、実は新幹線よりも貨物列車を走らせる方が大事とのこと。
というのも、北海道はジャガイモをはじめさまざまな農産物の大生産地のため、大量輸送ができる貨物列車が重要なのです。

北海道の方々の生活を支えるトンネルですが、もうひとつ、インフラとしても重要な存在です。

東日本大震災の発生時、各地域の電力会社が電力を融通しましたが、北海道と本州の間の融通には、青函トンネルの一部に通していた高圧線が使用されていたのです。
また、インターネット回線も敷設されています。

老朽化が急速に進む背景

それだけ重要なトンネルですが、実は開通して35年経った現在、老朽化の問題が発生しているそうです。

初めて作られた世界最長級の人工的なトンネルであるだけに、その耐用年数は未知数。

染み込んだ海水を毎分20トン排水するポンプが、海水によって錆びるなどして老朽化していることがわかっています。
また鉄製のレールや架線、さまざまな器具も海水で錆びてきている状況。

さらにメンテナンス費用も5年前は年間およそ20億円だったのが、湿度が高いなど過酷な環境で現在は倍増。ただでさえ経営の苦しいJR北海道が負担しています。

日本では人口減少が進んでいるため、どの地域に税金を投入するのかについてはよく「選択と集中」と言われますが、北海道の人々になくてはならないものをどうやって維持すべきか、あらためて考えなければいけないようです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年03月23日07時39分~抜粋

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