つボイノリオの聞けば聞くほど

名古屋出身の指揮者・田中祐子が語る、音楽家の原点と指揮者を志したきっかけ

9月23日放送の『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、名古屋市出身の指揮者の田中祐子さんが、ベートーヴェンの「運命」に乗せて登場しました。

コロナ禍で多くの演奏会が中止となってしまった今年。実は生誕250年となるベートーヴェンイヤーでもあります。

12月に中部フィルハーモニー交響楽団と共に開催するコンサートで、「運命」の指揮も振る田中さんが、音楽家としての原点や、指揮者を志したきっかけについて語りました。

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指揮者としての輝かしい経歴

まずは田中さんのプロフィールから。

東京藝術大学大学院指揮科修士課程首席修了。

2012年にドイツに渡り、主にベルリン・ミュンヘンで研鑽を積み、同年クロアチア国立歌劇場で海外デビュー。

東京国際コンクール<指揮>入選、ブザンソン国際指揮者コンクール セミファイナリスト、
オペラ新人賞受賞。

東海地方では「2018年名古屋二期会公演 團伊玖磨 歌劇 ちゃんちき」や、CBCテレビで放送された「OKAYA チャリティーコンサート2020 ~感謝の夕べ~」などで指揮者として活躍。

これまでにこれまでにNHK交響楽団や、読売日本交響楽団など、全国各地のオーケストラに客演を続けられ、この9月まではオーケストラ・アンサンブル金沢の指揮を務めておられました。
現在はフランスパリ在住です。
 

自分の言葉で音が変わる喜び

田中さんの音楽家としてのスタートは、ピアノを始めた4歳。

幼少期の田中さんに最も影響を与えた音楽活動は、児童合唱団でピアノ伴奏をすることだったといいます。

小学校3年間と中高3年間、学校の合唱部で部長を務めていた田中さん。

田中さん「ピアノを弾きながら、先生がいらっしゃるまでの間に仲間と『ここはこうじゃないか、ああじゃないか』と一緒に楽譜を読んで。最後の30分に先生が登場するっていうその時間がすごく好きで」

今の指揮者としての仕事でも、大切なのは「リハーサル」の時間。

「自分が言った言葉で、音が変わっていくということに小学校の時に興味を持って。いつか指揮を振りたいなと思ったのがきっかけ」だと教えてくれました。
 

最初に目指したのは学校の先生

田中さんのお母さんはクラシック愛好家。お父さんは音楽科ではありませんが小学校の教員でした。

指揮者の話を母から聞かされていたことや、自宅にレコードがたくさんあったこともあり、「指揮者という仕事がどんなものか」という想像はだいたいついていたといいます。

また、女性が非常に少ないということも、田中さんなりに理解していたそうです。

指揮者という職業にまず憧れたというよりは、指揮そのものに憧れがあったという田中さん。

田中さん「リハーサルをして、本番で自分は外で観ているのではなく、プレイヤーと一緒に舞台に立つ。非常にそこに興味がありました」

そんな田中さんがまず目指したのは、学校の先生。

「練習をして本番一緒に演奏する。これは指揮者の仕事と内容は変わらないと思った」と田中さん。

愛知教育大学でピアノを専攻していたものの、「指揮を勉強したい」という気持ちを抑えられず上京。1年生から指揮科に入りなおしたのです。

指揮者のポストにつく難しさ

ここでつボイが「指揮棒は楽器よりも安いため、コストがかからない」と指揮者のメリットについて言及。一方、指揮者の枠の少なさについて語ります。

「指揮者ってポツンとひとりやから。指揮者のポストは、どの音楽ジャンルの人よりも、めちゃ大変やと思うわ。そこに立てるという人」

人数の割合からすると、演奏者よりも指揮者になることが大変だろうというのです。

これに、「そもそも藝大の学生も、バイオリンが40人、声楽科は60人ぐらい。ピアノ科も40人かな、指揮科は2人」と田中さん。

その中でも、実際プロとして活動していく人間は限られているといいます。

「ポストという面では、非常にさまざまな条件とタイミングが揃わないと」と、その難しさについて語ってくれました。
 

今風の「ヤヤヤヤーン」

今年の12月5日(土)小牧市民会館で『中部フィルハーモニー交響楽団 小牧特別演奏会~コロナ禍で「第九」公演が出来なかったので~小牧から贈る明日への希望コンサート』が開催されます。

合唱を伴う作品は、ほぼ公演が難しい現在。

特に第九は地元の合唱愛好家の方たちと一緒につくるのが定番ですが、やはり高齢の方が多いため、第九は断念。すぐに「運命」に選曲を変えたそうです。

コロナ禍において、マーナーやブルックナーといった大きな編成がベートーヴェンに差し替えられるという、「けがの功名」ともいえる事例が増えているそうです。

「ベートーヴェンイヤーの年に、こんな形でみなさんにたくさん聞いていただけるのは、コロナのことで複雑な気持でもあるんですけど」と、喜ばしい一面もあると語ってくれました。

「最後にひとつ」と、つボイがどうしても聞きたかったことについて尋ねます。

「指揮者によっていろいろテンポが変わるといいますが。田中さんにとっての運命は、どのテンポで振られますか?」

早速「ヤヤヤヤーン、ヤヤヤヤーン」と歌ってくれた田中さんに、「今風やわ!」と感激したつボイでした。
(minto)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2020年09月23日10時14分~抜粋

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