多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

ドローンにも応用?生き物の動きをモデルにしたハイテク技術

私たちの生活は、日頃気づかないところで生き物の恩恵を数多く受けています。

例えば、この時期は迷惑な存在である蚊。どうして暗いところを飛んでも壁にぶつからないのでしょうか?
その飛行メカニズムがさまざまな分野で研究されています。

6月3日『多田しげおの気分爽快』では、こうした生物の動きを応用した技術について、千葉大学大学院工学研究院助教の中田敏是先生に聞きました。

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暗闇で飛ぶ蚊

中田先生「飛ぶ時には、自分で羽ばたくことで気流が起きるんですね。で、壁とか床に近づくとその気流が歪むんですよ」

歪んで跳ね返ってきた、その空気の流れを触覚で感じ取ることで、障害物のありかを検知するそうです。
蚊の触覚には非常に敏感なセンサーが入っていて、気流の歪みを読み取り、30ミリ~40ミリ向こうの障害物がわかるんだとか。

中田先生「蚊の胴体は約4ミリ。蚊は体の長さの10倍ほど先の障害物の位置を把握しながら飛んでいるということが、私どもの研究でわかりました」
 

ドローンとコウモリの共通点

この蚊の研究があるハイテク技術に応用できるんだそうです。

中田先生「ドローンの場合、コウモリのようにエコロケーションで壁の位置を図るってことをやってるんですね」

エコロケーションとは日本語で反響定位といい、音の反響を受け止めて周囲の状況を知ることです。

コウモリは自分が出す超音波の反響を聞くことで、洞窟などでもぶつからずに飛ぶことが出来ます。
ドローンは飛行時にその仕組みを利用し、障害物にぶつからないようにしているそうです。
 

よりシンプルに

そして、先ほどの蚊の話に。

中田先生「ドローンが飛ぶと、蚊と同じで、やっぱりプロペラから気流が出るんですよ。で気流が壁や床に当たるとやっぱり歪む。その歪みをドローンでに載せた(空気の)圧力センサーで検知して障害物の位置を見つけられます」

障害物を避けるために、超音波を使うのではなく、圧力センサーを載せるメリットは何なんでしょうか?

中田先生「わざわざ超音波を出す必要はないんですよね。もともと飛ぶって言うことは気流を乱すってこと。飛んでるからには、気流の歪みは必ず起きるものなんです。それを検知していればいいので、少しシステムをシンプルにできるんですね」
 

オナモミ&フクロウ

この他にも、我々の身近には、生物からヒントを得たものがありました。

中田先生「マジックテープってご存知ですかね?あのベリベリって剥がすやつ。あれは、植物のひっつき虫。オナモミってあるじゃないですか」

マジックテープは、ひっつくけど、うまく剥がれるオナモミの性質を利用しているんだそうです。さらにフクロウも。

フクロウは音もなく飛行して獲物を捕獲します。静かに飛べる秘密は羽の特殊な形状。

中田先生「新幹線とかのパンタグラフ、あの電気を取るところ。あそこから出る騒音を、フクロウの羽の形を真似した構造にして音を減らしたっていう研究も行われています」

新幹線(500系)に乗ることがあれば、パンタグラフをよく見てみて下さい。支柱側面には羽みたいな模様の微妙な突起物があります。
 

新幹線の顔はカワセミ

昔の新幹線は鼻が丸くて可愛らしい顔をしていましたが、今はどんどん鼻が長くなってきています。あれにも理由がありました。

新幹線の開発者が、新幹線がトンネルに入る時に凄く大きい音が出るために困っていたそうです。そこで参考にしたのがカワセミ。
カワセミは水に飛びこんで魚を取る鳥です。

中田先生「カワセミが空中から水に飛び込む時に、波が起きると魚が見えなくて困るじゃないですか。で、波が出ないように飛び込んでいるとわかったんですね。カワセミの嘴の真似をして新幹線の形を作ったら、トンネルに飛び込む時の音がすごく静かになったんです」

私たちの周りには、様々な生物からヒントを得た技術が使われているんですね。 
(尾関)
 
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2020年06月03日07時19分~抜粋

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