健康ライブラリー 2018年3月25日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア

●教えてドクター 

★3月のテーマ「運動と健康」

名古屋大学 総合保健体育科学センター 教授 
押田 芳治 先生

 運動と健康の関わりで考えた時に、筋力以外にも重要なポイントもあります。私自身は今65歳になりまして、関節や筋肉が硬くなっていることを実感しています。やはり柔軟性というのがかなり必要であると思われます。関節の柔軟性がなくなると体を踏みとどめるということができなくなります。そこでやはり転倒しやすくなり、転倒すれば多くの場合骨折を伴います。高齢者の場合はどうしてもそれが寝たきりということにつながります。やはり関節のストレッチングや筋肉を柔らかくするということが今後大事になると自分自身でも実感しています。体の芯を整えるような体幹トレーニングを行って大きな筋肉も鍛え、それをつなぎ合わせている関節の柔軟性や可動域を高めておくということが大事です。体幹というのは体を支える大きな筋肉(腹筋や大腿筋や背中の筋肉)のことです。体幹が弱るとバランスが悪くなって転倒しやすくなります。体幹の筋力トレーニングで太ももや腹筋や背筋を鍛えるためには、それぞれそこの筋肉を使っている運動を行うことです。それに関節のストレッチングを取り入れて毎日過ごしていくことが健康寿命をのばすことにもつながります。いかに継続させるかということも大事だと思います。自分の健康は最終的には自分で守らなくてはいけないという意識が大切です。自分の健康維持・増進のためには何が必要で何を捨てるべきか、あるいは何をのばすかということを考えなくてはいけないと思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

井戸田 真さん (社会福祉法人九十九会 ユートピアつくも 施設長)

<力を入れていること> 
当施設は名古屋の都心部の大規模な市営住宅に囲まれた立地にあります。平成3年の開設以来、地域における福祉の拠点となることを目指して運営をしてまいりました。本体の特養と併設でデイサービスやショートステイといった在宅サービスを運営しています。そのかたわら独自事業として在宅の一人暮らしのお年寄りを対象に施設を開放しお風呂の無料サービスや低価格での食事サービスを行っています。その他子育てサークル等への会議室の無料貸し出しを行っています。また地域がら外国人の方も多く居住されていますので小学生を対象とした無料の日本語教室等も行っています。それから本業とは少し離れますが、厚生労働省が推進する認知症サポーターキャラバン事業のキャラバンメイトに登録して、概ね月に1回程度、認知症サポーター養成講座の講師もつとめさせていただいています。その他いきいき支援センターや行政の協力を得て有志の方々と中区介護保険事業者連絡会を立ち上げ、勉強会や交流会や介護祭り等さまざまな企画に取り組んでいます。

<心に残るエピソード> 
特養というのは希望されれば生涯そこで生活していただくことができますが、いよいよ危篤状態となると病院へ搬送されてそこでご臨終を迎えられる方がかつてはほとんどでした。しかし昨今では延命治療を望まれる方も減少傾向にありまして、最期は病院ではなくて施設で看取って欲しいというご要望が年々多くなっていますので、私どもの施設でも看取り介護に積極的に取り組んでいます。そんな中で施設から連絡を受けてご家族が駆けつけてもご臨終に間に合わないこともありますが、そんな時ご家族の方から担当の職員に「死に目には会えなかったけど、あんたに見送ってもらって本当に良かった。」と涙ながらにおっしゃっていただいたこともありました。

<今後の課題> 
業界全体の課題ですが年々深刻化する現場の人手不足です。現在国が定める特養の人員配置基準は3対1、つまり職員一人に対して利用者が3人となっていますが、基準通りに運営できている施設はほとんど無いのが現状です。介護保険制度が始まって、介護の社会化に向けて大きく1歩踏み出したはずです。しかし10年たった今も「介護は本来家族がするもの」、「家族すなわち素人でもできることに高い給料など払う必要はない」、「福祉の仕事にはボランティア精神が不可欠でお金のことを言うのはけしからん」等といった旧態依然の見当はずれの価値観や誤った考え方がいまだに根強く残っています。特に制度を作る側の人たちに、そうした風潮を本気で変えようとする考えが無いように思えて仕方がありません。
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