番組のお知らせ

息子が祖父の墓参りをして、父親が感動したりしなかったりする話。

岐阜県出身、元・力士で現・落語家という異色の経歴を持つ三遊亭歌武蔵(うたむさし)が、毎回しゃべりの達人をゲストに迎え、ちゃんこ鍋のような“ごった煮トーク”を繰り広げる『歌武蔵の番外らじちゃんこ』。
不定期に放送されるのでタイトルに「番外」と付いています。

8/26の“魅惑の出張AD”(アシスタント)は、女流落語家・三遊亭美るく(みるく)が務めます。

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見た目は子ども、頭脳は大人


今回のゲストはお2人。落語家の桂小南治(こなんじ)師匠と、紙切り師の林家二楽(にらく)師匠です。

まずは、桂小南治(こなんじ)師匠のプロフィールから紹介しましょう。

昭和55年(1980)、二代目桂小南に入門。平成5年(1993)、真打昇進。「南らく」改め「小南治」に改名します。
平成22年(2010)、文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。
そして今年の9月には、三代目桂小南を襲名される予定です。

『桂小南』の名跡(みょうせき)が復活するのは、実に21年ぶりだとか。
「師匠の名を継ぐって、すごいですよね」と感嘆する歌武蔵。それに対し小南治師匠は照れながらもこう返します。

「でもね、私、埼玉の春日部市出身なんですよ。春日部と言ったら『クレヨンしんちゃん』でしょ。だから今ね、『クレヨンしんちゃんの町からコナン君が出て来ちゃった』ってんでねえ」

さすが、『名探偵コナン』とかけてしっかりオチをつけてきます。しかしそこへ茶々が入りました。

林家二楽師匠「身長もコナン君みたいですもんねー」

桂小南治師匠「ほっとけ!」

小南治師匠の背丈が控えめだということを遠慮なくイジる二楽師匠。随分と仲が良さそうですね。
それもそのはず、このお2人は兄弟だったのです。

新しい紙切りのスタイル


ではお次は、小南治師匠の6歳下の弟、林家二楽師匠のプロフィールです。

平成元年(1989)、実の父親である紙切り師・二代目林家正楽(しょうらく)に入門。
親子で体験できる紙切り教室や、クラシックと紙切りを同時進行させるコラボを開催。
更には、落語と紙切りをコラボさせた「紙工(しこう)落語」や、オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)を使った「紙切り影絵物語・二楽劇場」なども開催しており、今までの形式にとらわれない、新しい紙切りを広めるべく活躍中。
その他、花形演芸大賞の金賞・銀賞を両方とも獲得されています。

ちなみに紙工落語(または紙工劇落語)は、小南治師匠が落語をしゃべっている間、その話に合わせて二楽師匠が紙切りで絵を作るというもの。
息の合った兄弟ならではのコラボですね。
しかし「兄弟で荒稼ぎですねえ」とツッコミを忘れない、歌武蔵なのでした。

骨肉の争い?


この日のテーマは「お寺アレコレ」。お寺についてトークをしたり、リスナーからおたよりを募集したりしました。
その中から、二楽師匠が披露した話をピックアップします。

トークタイトルは「せがれの墓参り」。

二楽師匠には、男・女・男の3人きょうだいのお子さんがいて、小さい頃からみんなに空手を習わせていたそうです。
そして、きょうだいゲンカになると、本当はダメなんだけどついつい空手の技が出てしまうのだそう。
そうなると、どうしても一番上の長男が勝ってしまうのでした。

そんな状況の中で、真ん中の長女が中学に入る時のこと。
「私、剣道部に入るから、木刀を買って」と言ってきたそうです。「そうすればお兄ちゃんに負けないから」

竹刀ではなく木刀です。かなりガチですよ、これは。

その話を聞いた長男は、弓道部に入ったそうです。理由は「遠い所から狙える」。

そのやりとりを見ていた小学生の次男は、「中学校に入ったら“射撃部”って無いの?」と聞いたといいます。
「そんなもん中学の部活にねえよ!」と父親である二楽師匠は言ったとか。

「キミんところの家、殺伐としてるねえ」と、同い年である二楽師匠に同情する歌武蔵。

「そこへ親父が(紙切り用の)ハサミでケンカを止めるという」と、面白がってかぶせてくる小南治師匠。

まあ、話芸のプロならではの脚色があると、思いたいところではありますが…。

大切な墓参り


さて、本題はこれから。

長男が弓道の試合で、埼玉の春日部から弓道場のある大宮まで行ってきました。
その途中の駅には、二楽師匠の父親・二代目正楽が眠っている菩提寺があります。
そこで長男は途中下車し、「おじいちゃん、今日は応援してね」と墓参りしました。
帰りにも「試合でちょっとうまくいかなかったよ、おじいちゃん」などと再び報告しに訪れました。

そんな話を長男から聞かされた二楽父さん。長男が幼い頃に亡くなったのでほとんど祖父の記憶はないハズなのに、わざわざ墓参りに行ってくれたのですから、そりゃ嬉しいでしょう。

しかも、自分の小遣いでお供えを買ったという長男。コンビニで、未成年だから酒は買えないけど、おじいちゃんが好きだって聞いてたジュースとかいろいろ買って供えたと。

酒を飲んで酔っぱらいながら聞いてた二楽父さん。涙が出そうなほど感激したそうです。
「ありがとうな。じゃあ電車賃とお前のお小遣い、あとお供え代な」と言って、3,000円を長男に渡すのでした。

それを聞いてビックリした長女。二楽父さんにこう言ったそうです。

「えっ!?おじいちゃんのお墓参りに行くと、3,000円もらえるの!?私、明日絶対に行く!明日絶対に行くから、3000円今ちょうだい」

最後は〇〇参り


オマケです。昔、昔のお話。

その菩提寺の隣に歯科医院があって、二楽師匠が子どもの頃、よく通っていたそうです。

突如ある日、待合室に九官鳥が置かれたそうです。受付をやっていた歯医者の奥さんに、理由を聞いたところ、「雑誌とかじゃ時間を潰せないから、鳥がいれば患者さんも少しは癒されると思ってね」と答えたといいます。

1週間後、その歯科医院に行ったら、なんと受付の奥さんが激怒していたとか。
「黙れ、このバカ鳥!」

不思議に思った二楽少年、耳をそばだてて聞いてみると、九官鳥がこう繰り返していたそうです。
「オオー、痛イ痛イ痛イ痛イ、抜歯ハ嫌ダヨォー、抜歯ハ嫌ダヨォー、痛イヨォー」

一番覚えちゃいけないヤツでした。技術の進歩した今とは違い、昔はこんな叫びもよくありましたから。
しかし奥さんも参ったでしょうね。

墓参りの次は、歯科参りの話でした。

番組名・歌武蔵の番外らじちゃんこ
(岡戸孝宏)
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2017年08月26日15時22分~抜粋

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