#むかいの喋り方

パンサー向井、万能ギャグを開発するも即日幻になった理由

芸人が最も欲しているのは新しいギャグ。これが流行れば、メディアへの露出も増えるというもの。

お笑いトリオ「パンサー」の向井慧がパーソナリティを務める『#むかいの喋り方』、1月28日の放送では、「向井に新ギャグ登場か!?」と思わせつつも、衝撃の結末を迎えることとなりました。

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一石二鳥システム

名古屋で生まれ育った向井は、この『#むかいの喋り方』を地元名古屋のCBCラジオから毎週放送したいところ。
しかし、なにぶんこの番組には予算がなく、東京・名古屋間の交通費が出ません。

そこで生まれた秘策が、CBCテレビのニュース・情報番組『チャント!』との連携。
向井は当番組で、東海地方のユニークな高校を訪問し紹介する「いざ、学校に向井ます」というコーナーを担当しており、そのロケ撮影が隔週水曜日に行われるのです。

それにより『チャント!』から交通費が出されるため、向井は前日の隔週火曜日に名古屋に来ることができ、ついでにラジオもできるという寸法です。

こうして『#むかいの喋り方』は、名古屋のスタジオと東京支社のスタジオで毎週交互に放送するという、独特のシステムを構築したのでした。
 

サンキュー!は言いたくない

ただ今回は、水曜に急きょ別の仕事が入ったため、ロケが1日前倒しで火曜日に行われたのです。つまり昼間にロケがあり、夜にこのラジオという変則スケジュール。

そのやってきたばかりのロケで、「早く対処しなきゃいけない問題が改めて炙り出された」と、向井が深刻そうに語ります。

「高校に行くと、結構な確率で特に男子から『サンキュー!』って言われるんですよ」

“サンキュー!”というのは、同じパンサーの尾形貴弘さんの持ちネタです。それをあえて向井に言うという、高校生ぐらいの男子がいかにもやりたがりそうなノリですね。

「一番言いたくないギャグなんですね、『サンキュー!』って(笑)。まあ、神対応するんであれば、こっちも『サンキュー!』と返してあげるというのが、多分100点の対応なんでしょうけど。やっぱ言えないんですよ」

向井は常々、尾形さんの公私に渡るガサツな部分に悩まされています。
このラジオでも以前、もう1人の相方・菅良太郎さんをゲストに迎え、今後の尾形さんとの関わり方を真剣に議論したこともあるほど、しばしば苦言を呈しています。

そんな尾形さんのギャグを使うのは、忍びないのでしょう。なので、これまでは言わずに何とかごまかしてきたのですが…。
 

積もり積もって…

「で、サンキューって言えないと、向こうも『何だよアイツ』みたいな空気にもなるし。
すると今度は『コレでいったらどう?』みたいな感じで、“オオシマさーん!”って言ってくるんですよ。
“コジマだよっ!”は俺マジで関係ないじゃないですか(苦笑)」

こちらはアンジャッシュ児嶋さんの「名前を間違えられて、大声で訂正する」という鉄板ネタですね。もう、パンサーから離れちゃっています。

ここでついに、初めて向井の口から、一般の方々に向けてはいけない禁断の言葉が出てしまったのでした。

「だるっ!」

ダルい、つまり「めんどくさっ!」ということです。

これまでのストレスが積み重なってきて、つい漏れ出してしまったんでしょう。
しかし言った直後「いくらなんでも、さすがにこれはダメだな」とすぐさま反省した向井。

このままではいけないということで、「『サンキュー!』などと言われたらどういう切り返しをすれば良いのか」ということを、リスナーから募集することにしました。
 

今日も一日がんばろー!

早速たくさんのメールが届いたので、紹介していきましょう。

「『サンキュー!』などの対処法ですが、せっかく向井さんが流行らそうとしてるのがあるじゃないですか。そんな時こそ『今日も一日がんばろー』ですよ」(Aさん)

吉本芸人の公式LINEスタンプで、数ある芸人が持ちネタをセリフに使用されている中、向井だけが「今日も一日がんばろー」という何のひねりもないセリフになっています。
これを逆手に取りあえて流行らせようと、この番組の最後に毎週必ず向井が「今日も一日がんばろー」と言うことにしています。

向井「これね。マジで流行ってない(笑)。当然そうよ。ここでしか言ってないし(笑)。
いや、学生が『サンキュー!』って言ってきて、『今日も一日がんばろー』って返すのは、メチャクチャただの爽やかなお兄さんとしてはいいかもしれないけどね」

「『サンキュー!』って言われたら、全身全霊で『ハンバーグ!』と叫べばOKです」(Bさん)

これはハンバーグ師匠(スピードワゴン井戸田さん)の持ちネタですね。

向井「頭がおかしいじゃん(苦笑)。会話できてないもん。どういう意味なの。
まあ『目には目を、大声には大声を』という作戦ね。確かに向こうはビックリするでしょうね」
 

東のナダル?

「高校生に『サンキュー!』と言われたら、『ありがとうっ!』と叫びましょう。アリスの堀内孝雄・谷村新司の関係になれると思います」(Dさん)

そう、「サンキュー!」という掛け声は元々、堀内孝雄さんが1990年、『恋唄綴り』でレコード大賞受賞したステージで「演歌の人は絶対こんなこと言わないんじゃないか」と思い、アドリブで叫んだのが先ですから。

向井「アリスをやってると思えば、やれるかもしれない。これリアルにちょっといいかも?」と向井、満更でもなさそうです。

「『サンキュー!』の返しは、『ウエルカーム!』がいいと思います。英語の教科書だと『ユアウエルカム』になっていますが、ネイティブは『ウエルカム』になっているらしいです」(Eさん)

向井「なるほどね。英語のやり取りという。海外での一場面みたいな。
『サンキュー!ウエルカーム!』…ああ、俺が高校生だったら、ツイッターにマジで悪口書きますよね(笑)。『向井、超キモいこと言ってきた』みたいになっちゃうね」

「何も言わず、投げキッスからウインクで返してあげるのはいかがでしょう?
これから“東のナダル”として生きていく向井さんには、それぐらいのヤバさが必要です」(Fさん)

「いっちゃってる」でおなじみの、コロコロチキチキペッパーズ・ナダルさんですね。

向井「いつ俺がそんな覚悟決めたよ(笑)。『俺は東のナダルとして生きていきます』って言ったか?激ヤバじゃない」
 

流行語爆誕

ここでふと思い出す向井。

「放送前にスタッフとしゃべってる時に、新しく流行らせたいワードが1個、実は生まれたんですよ。
ツッコミなんですけど、『変なのっ!』(笑)」

「今日も一日がんばろー」と同様、よく使われる普通の言葉ですが、これを小さい子どもが発するようにかわいらしい口調でツッコミに使うのです。

「処理しきれない世界観のボケとかの時に、『変なのっ!』っていう、かわいらしさもありながら、でもバサッと切れるみたいな。
だから例えば、学生が『サンキュー!』って言ってきても、『変なのっ!』って言えば(笑)、意外とイケるかもしれないですね」

このニューワードが、とんでもない広がりを見せるのでした。
 

変なのっ!万能説

「変なのっ!」がうまくハマりそうなボケのメールが、大量に送られてきたのです。

「『今日から私、大腸をぶら下げて学校に来るね!』
『変なのっ!』」(Gさん)

これは向井も大爆笑。
「変だよね(笑)。メチャクチャ変だもん」

「『今から、ドングリの中にいる幼虫を蒸して食べます!』
『変なのっ!』」(Hさん)

向井が気付きます。
「いや、変だけど、何でもアリじゃない?このテーマ(笑)」

続いては、いろんなお笑い芸人絡みでこんなネタが。

ミルクボーイ「ああー、ありがとうございますー。今、ねるねるねるねの2番の粉を頂きましたー」
ツッコミ「変なのっ!」

ぺこぱ「時を戻そう」
ツッコミ「変なのっ!」

ジョイマン「いきなり出てきてゴメ~ン、まことにすいまメ~ン!」
ツッコミ「変なのっ!」(以上、Iさん)

にわかに“変なのっ!万能説”が浮上してきました。
 

彼らと相性抜群

「『今日道端で百円拾ったから、代わりにそこに一万円を落としてきたんだ!』
『変なのっ!』」(Jさん)

向井「いや、変だから(笑)。すごいのよ、このフリーダムなテーマ。こんなに360度自由に動けるテーマ、なかなかないんじゃない?何でもいいもんね」

「『よーっしゃあ、おち○ちんで縄跳びするぞーっ!』
『変なのっ!』」(Kさん)

向井「これは酷いクオリティですよ、皆さん(苦笑)」

続いては、またもやお笑い芸人絡みのネタです。

「『フライドチキンは丸ごと飲み込みます!』
『変なのっ!』」(Lさん)

「『サザエさんに出てくるカツオの友だちの中島くんを5人集めて、ナカジマックスを作りたいんですよー』
『変なのっ!』」(Mさん)

向井「トム・ブラウンさんじゃん!“トム・ブラウンのボケ、全部変なのっ!でイケる説”じゃん(笑)。
相性いいかもね。変なこと言ってるから、みちおさんは」
 

衝撃の事実

「『残業代、未払い』
『変なのっ!』」(Nさん)

向井「これはワイドショーのコメンテーターとして、社会問題でもイケるんだ。
『今の議員さんの、横領についてどう思いますか?』
『変なのっ!』

…降ろされるわ(笑)」

「『みんなで手と手を取り合って、みんなが笑顔になれるように努力すればいいだけなのに、戦争はなくならない』
『変なのっ!』」(再びCさん)

こんなマジメな文言にも使えるとは。まだまだ伸びしろがありそうです。
しかし、そこへこんな指摘のメールが届きました。

「向井さんが流行らそうとしている『変なのっ!』ですが、Wヤングの平川さんがよく漫才でやっていたギャグと一緒です」(Oさん)

調べたところ、確かに吉本興業の大先輩であるWヤングの平川幸男さんの持ちギャグで「へんなの」というのがありました。
これは、両手を頬の横で合わせて小首をかしげながら言うもので、まさに一発ギャグという感じで、向井の提案したツッコミとは使い方がちょっと違います。

でも、フレーズが同じではさすがに勝手に使うわけにはいきません。そして平川さんは残念ながら昨年急逝されたため、ご本人にお伺いを立てることもできません。

「変なのっ!」は、この日限りの盛り上がりとなったのでした。
(岡戸孝宏)
 
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