#むかいの喋り方

パンサー向井、wacciと夢の初対談

お笑いトリオ「パンサー」の向井慧がパーソナリティを務める番組、『#むかいの喋り方』。

11月19日の放送では、5人組バンド「wacci(ワッチ)」のボーカル&ギター、橋口洋平さんがゲスト出演しました。

以前からwacciの大ファンだと公言していた向井は、橋口さんと初共演でありながらアツいトークを繰り広げたのでした。

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こんばんわっち

向井が特に好きだという曲が「別の人の彼女になったよ」。2018年8月に配信シングルリリースされました。

これは女の子が主人公で、前に付き合っていた元彼に向けて歌っている内容となっています。
付き合っている彼と幸せに過ごしていながら、元彼といた時の良さも心に残っていて、揺れ動く主人公の微妙な心理が刻まれている歌詞です。

たまたま何気ないところからこの曲を聴いたという向井は、一気にwacciの世界観に引き込まれました。

「これは歌詞を全部聴かないともったいない。この1曲の中に、こんだけドラマを込めるか、と。こんだけ気持ちの揺らぎや動きを表現できるのか!?っていうのが本当に衝撃的だった」

まだ橋口さんをスタジオに迎え入れる前から、アツくなっている向井。
その様子を外で待機しながら見ていた橋口さんは、スタジオに入るなり嘆きます。

「(番組公式)ツイッターで、僕がゲストでお邪魔するということで、『遂に今夜、憧れのお洒落ラジオに近づきます』と書いてあって。
(いつもは)僕『こんばんわっち』って言ってるんですけど、今それを意識しちゃって言えなかったです。絶対オシャレじゃねーって思って(笑)」

すかさず向井が否定します。

「いや、『こんばんわっち』なんかめちゃくちゃオシャレですよ。俺なんか、何の特徴もない『今日も1日がんばろー』という言葉を推そうとしてるんですから(笑)」

吉本芸人公式のLINEスタンプで、向井はただ1人だけギャグでも何でもない「今日も1日がんばろー」というセリフしか付いていません。
それを逆手に取って番組で流行らせようとしているものの、オシャレ要素は皆無です。

「こんばんわっち」はダジャレというヒネリが加わっている、と向井に励まされる橋口さんなのでした。

エンパシーを感じる!

「別の人の彼女」(以下、ベツカノと表記)の、女性目線の歌詞はどうやってできたのでしょう?
作詞作曲している橋口さんに向井が尋ねます。

橋口さん「女性目線の歌は結構書いてたんですけど、リリースされたものではこれが初だったんです。
この歌を書いた最初のきっかけは、周りの女友だちに、このシチュエーションの人がメチャクチャいたんですよ。いわゆる、今の彼がいて、その彼には何の不満もないのに…」

向井「だって、いい彼ですよね?しっかりしてて、結婚するなら絶対ああいうタイプの方がいいでしょ?」

橋口さん「そうなんです。何の不満もないのに、『前の彼の時の私ってホント、素でいられたな』みたいなことを、言い出しやがるんですよね(笑)。そんな女子がたくさんいてですね」

向井「(爆笑しつつ)ちょっと待ってくれ。橋口さんと俺、似てるかも?」

テレビではいつも笑顔でいるイメージが強いですが、ラジオでは結構毒を吐いている向井。
物腰が柔らかそうなのにふと毒舌を漏らしてしまった橋口さんに、エンパシー(共感)を感じたようです。

いろんな視点で聴ける歌

橋口さん「でも、じゃあ前の彼のところに戻るのか?って言ったら、そうじゃなくて。今の彼の良さもちゃんとわかってるし、前の彼に対するその気持ちは無い物ねだりだってこともちゃんとわかってる。そんな女性もたくさんいて。

だから女の人の方が、“忘れられない恋愛”よりも“自分のための恋愛”を選べることがあるのかな、と思って。
何か、その微妙なニュアンス。これ(自分にとっての正解)が『やっぱり元彼だった』という人もいれば、『やっぱり今の彼だ』と思う人もいて」

向井「そうそう。この微妙なニュアンスを歌ってる曲って無かったなと思うんですよ。昔の人がいいとか、今の人がいいとか、そのどっちかっていう曲が多いと思うんですけど。
そうじゃないっていうのがこの曲のリアリティーだし、すっごいグッとくる所なんですよね」

橋口さん「だから、今の彼に同情する人とか『前の彼に戻ればいいのに』って言う人とか、逆に『この女の人ズルくない?』って言う人とか。本当にいろんな視点がこの歌で発生しているっていう」

向井「捉え方も聴く人によって変わる。僕なんかは、元彼目線で聴いちゃうんですよ。
『ああ、あの子、まだそんなこと俺に対して思ってるのかもなあ』っていう(笑)、聴き方もあるじゃないですか」

男にありがちの、未練がましい気持ちですね。

橋口さん「だから、こういう歌を書く時に一番恐怖なのって、『男が元カノにこう思われたいだけの歌』って言われること。男が書いてるんで。書き手としてはこれが一番恐怖なんです。
でも、僕は女友だちから(実際の心情を)聞いていたので、その恐怖を超える女子のリアルが必ずあると信じて、この曲を出したんですよ」

ドラマティックな歌詞の裏には、ドラマティックな心の葛藤もあったわけです。

水曜日のダウンタウン

「ベツカノ」の歌詞にハマり、カラオケで歌うなどどっぷりwacci沼に浸かっていた向井、今度は生身の人間と運命の出逢いをするのでした。

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の、ある企画のオファーが向井に舞い込んだのです。
それは「1週間予告ドッキリ」という企画で、「パンサー尾形に1週間で7つのドッキリを仕掛けると予告し、ちゃんとドッキリに気付いたかどうかを検証する」というもの。

そのドッキリのうちの1つに「遠目の菅が菅じゃない」というプランがあり、遠い所からパンサー菅さんの姿を見せるのですが、実はそれは菅さんのソックリさん。果たして尾形さんは見破れるかな?という仕組みです。
向井はその菅さんのソックリさんと歩いていて、遠くの尾形さんに声をかける役割です。

向井「吉本の本社で撮ったんですけど、僕は仕掛人なんで尾形さんより早めに入って、楽屋みたいな所で、スタッフから『この方が菅さんの偽者をやってくれます』と紹介されて。
『あっ、似てるなあ~』と思って。エキストラでこういう人をツモって(持ってきて)くれたのかなと思ってたら、『ちょっとご挨拶だけさせてもらっていいですか』と」

その驚くべき正体は!

「あのー、wacciというバンドの、ギターをやってる村中慧慈(けいじ)です」

なんと、あまりにもタイムリー過ぎる出逢いです。

バラエティー初出演の村中さん

もちろん向井は、wacciの曲を聴きまくったりカラオケで歌いまくったりしていることを伝えたということです。

そして橋口さんに疑問を投げかけます。

「あんな仕事、断らないんですか!?(笑)
何ですか、あの仕事!ワケわかんないっすよ」

爆笑しつつ、橋口さんが答えます。

「4、5年前からずっと『菅さんに似てる』って僕が気付いてたんですよ。SNSとかにも事あるごとに呟いててたら、僕らもまさかあんなオファーが来るとは思わなくて。
でもずっと似てると言ってきたので、感動して。『これはもう是非』ってことで、慧慈くんが行ったんですけど。
慧慈くん、一言もテレビでしゃべるところなかったじゃないですか。(なのに)すっごい緊張してましたね(笑)」

この企画の模様が放送されたのは今年の2月20日。その後、当時45分番組だった『#むかいの喋り方』をフルに使い、向井はwacciや「ベツカノ」の素晴らしさを語りまくったのでした。
ライブも観に行ったそうです。

ちなみに、尾形さんは偽者とは気付きませんでした。それぐらいソックリさんなのです。

弱さを見せる強さ

向井にはもう1つ、wacciに惹かれた理由があるようです。

向井「こんなに、聴いてる人に近いバンドってあんまりないなと思ってたんですよ。曲もそうですし、寄り添い方も。
ライブのMCトークで、橋口さんが結構、自分の弱い感じのところとかもちゃんと言うじゃないですか。それって、意識的にというか、本来橋口さんがそういう方なんですか?」

橋口さん「どちらかと言うと、あまりさらけ出せないタイプではあると思うんですけど、やっぱりライブって何かそういう場所だし、そういうの(弱み)を出すことで、お客さんも『あ、この人もそうなんだな』っていう。
共感じゃないですけど、自分の弱い所を出しながらお客さんと向き合うことで、より近い距離になれるのかなっていうのは、ライブのテーマとしては1個ありますね、多分」

ここでまたまた向井がエンパシーを感じます。

「俺のテーマと全く一緒ですね。このラジオのテーマと全く一緒!
僕も弱いところが一杯あって。そもそもお笑いを目指して、自分が一番最高だと思って当然この世界に入ってきたんですけど、入ってみると、意外といろんなスペシャリストに出会って、自分のやれることが変わってきて。

そういう、(心が)折れたからこそ言えるようなこととか、全然折れずに来た人じゃ気付かないこととかを、ラジオで自分なりにしゃべれたらいいなあと思ってやってきたんですけど」

橋口さんもうなずいて返します。

「自分の弱い部分を受け入れてしゃべることで、逆に、強い人にはできない個性みたいなものが生まれてくってことですよね。それはやっぱ僕も同じですね。
歌もそうです。そういう部分を出す歌ほど、響いていったりするものなので」

想像力が必要な今

12月4日に、wacci4枚目のアルバム『Empathy』がリリースされます。

「“sympathy(シンパシー)”という言葉は、同情やネガティブ寄りの共感という意味らしくて。
で、“empathy(エンパシー)”というのはポジティブも含めた共感みたいな感じらしくて。
だから、喜怒哀楽を共にするっていうか、empathyという言葉って、僕らwacciが結成してずと10年やってきたことだなと思って。ポンと一言で言えてる言葉だなと」

そんなわけで、アルバムやツアーのタイトルにしたということです。

向井「共感・エンパシーって、人のシチュエーションにも自分を重ねられるっていうことが、結構今の世の中に一番必要なことなんじゃないかなって気がして。

悪いことをしてしまった人を追放することに僕はあまり意味を感じてなくて。良くないことをした人は決して良くないんですけど、それでも『してしまった環境に何かあるのかもしれない』とか、『もし自分がその環境にいたとしたら、悪いことに手を染めてしまう可能性もゼロじゃないのでは?』とか。
(追放・排除する以外に)寄り添い方があると思うんですよね」

橋口さん「SNSとかで、フェイクニュースなど正しい・正しくないを含めていろんな情報が飛び交ってる中で、一番大事なのは受け手の想像力じゃないですか。
『この人は何でこれをしているんだろう?』『これはみんなが叩いている風潮になってるけど、この人には多分そうした理由があるんだろうし』という想像力が、いま一番大事ですよね」

向井「まさにそうで。そういう意味でも『Empathy』の寄り添い方とか、人への重ね方というのが、wacciさんならではの世界観だなとメチャクチャ思いました」

憧れのお洒落ラジオ

向井がアツく深く強く紡んだ“ライナーノーツトーク”に、橋口さんも感激。

「もう僕、向井さんと一緒にキャンペーン回りたい!(笑)
こんな素敵な言葉と共に言ってくださるなんて、もうホント感動です!メンバー一同も感動してると思いますよ今」

「一番今、『ラジオをやってるなあ』って感じがします(笑)」

普段は、腹黒いトークをしたり、くだらない妄想をしたり、ちょっと油断すればすぐ下ネタを送ってくるリスナーたちと悪戦苦闘したりしている、掃き溜めのような放送をしている向井。

この夜はミュージシャンと音楽について語らう、オシャレなFMのDJ気分が味わえてご満悦なのでした。
(岡戸孝宏)
#むかいの喋り方
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2019年11月19日22時29分~抜粋

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