北野誠のズバリ

音楽による胎教って、本当に効果があるの?

2025年07月29日(火)

ライフ・ヘルスケア

「胎教としてクラシック音楽を聴かせるといい」と言われます。実際にはどうなんでしょうか?果たして科学的根拠はあるのでしょうか?

7月25日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、音楽と胎教の関係について、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生に、北野誠が尋ねます。

胎教は効果があるの?

「双子の娘を身籠っていたときのこと、周りから『クラシックを聴きなさい』と言われていました。
しかし、私が長年推しているロックの曲ばかりを聴いて娘たちは生まれました。
次女は普通ですが、長女はいろいろな意味でアクティブでロックな子に育ちました。
これは胎教が影響しているのでしょうか?科学的・医学的な研究があれば聞かせてください」(53歳・女性)

このリスナーの質問について、胎教の効果を尋ねる北野。

吉田「妊娠2週、3週を過ぎると胎児は音を聴き取るようになります。実際、胎教で繰り返し聴いた音楽については、『生まれた後にも赤ちゃんが記憶している』というデータが出ています。『胎教によって情緒が安定しやすい傾向がある程度ある』というデータも出ています。

しかし胎児は、羊水という水の中にいるので音楽を流しても胎児にはあまり聴こえていません。特に高い音は遮断されてあまり聞こえません。低いベースの音をリズムを中心に聞き取っています」

赤ちゃんは聴いている?

その程度でなぜ「情緒が安定する」と言われるのでしょうか?

吉田「アメリカのある大学の研究ですが、胎教として音楽を聴かせる効果は、直接胎児が聴く効果より、音楽を一緒に聴いている母親の心が落ち着いて、それが間接的に胎児に与える効果の方が大きいというデータが出ています。

母親が音楽を聴いてリラックスすると、母親の心臓の鼓動がおだやかになります。胎児は母親の心臓の音はかなり大きな音としてはっきり聞こえていて、心拍数の変化で母親の精神状態を読み取っています。

母親がリラックスしている状態は胎児にとっても安全な状態です。で、安心してすくすく育つのです。

ご相談者が大好きなバンドの曲を聴いていたそうですが、それでお母さん自身のストレスが緩和されて、間接的に胎児の健康な発育に役立ったはずです。好きでもないクラシックを無理して聴くより、はるかに良かったと思います」

赤ちゃんへの語りかけ

お母さんがやさしく語り掛けるのも効果はあるのでしょうか?

吉田「これは大変大きな効果がある、ということが実験データとしても出ています。
身体の外の音楽とは違って、母親の声は音の振動が直接体内に響いて伝わってきますので、胎児にはかなりはっきり聞こえてきます。

ドイツのある大学が興味深い論文を出しています。ドイツ語を話す母親から生まれてきた赤ちゃんと、フランス語を話す母親から生まれてきた赤ちゃんは、生まれてきた直後にオギャーと泣く言葉が異なるという実験データが出ています。

ドイツ語は言葉のはじめにアクセントが置かれることが多く、胎児の時期に母親がそういう言葉を話すのを聞いて育った赤ちゃんは、極端にいうとオギャー(オにアクセント)と泣きます。フランス語は言葉の終わりにアクセントがおかれることが多いので、母親がフランス語を話す場合は極端にいうと、オギャーァ(後ろにアクセント)。

つまり胎児はお母さんの話す言葉を聞いて言葉の練習をしているんです。ですから、夫婦喧嘩をして汚い言葉をしゃべったら胎児に悪影響を及ぼします。母親の話す言葉はすべて胎児に聞かれていることを覚えておいてください」

父親の声は届くか

一方、これまで父親が登場しませんが、役に立つことがあるのでしょうか?

吉田「父親が胎児に向かって話しかけても、母親と比べると胎児にはあまり言葉は届かないです。

が、妊婦さんのお腹に装着する胎教用のスピーカーが3千~1万円で売られていて、これでお父さんの声を届けることはできます。

ただ音が大きすぎるとか、刺激が強すぎるとかすると、胎児の成長に悪影響が出る可能性があるという指摘もあります。使用するときは音の大きさ、使用時間を十分気をつけていただきたいです。

おすすめは普通にお母さんのお腹に向かって、お父さんが羊水に伝わりやすい低い声でやさしく何度も同じ言葉を繰り返すこと。
これはフランスのある大学の研究ではお母さんの声ほどではないけど、お父さんの声でも心が落ち着いて自律神経が安定するというデータが出ています」

子守歌は最強

母親が歌う効果はあるのでしょうか?

吉田「これもとっても良いです。母親が歌を歌うと羊水と胎児にしっかり届きますし、歌っている母親のストレスも緩和されるので、胎児には二重に良いです。
母親が自分の好きな歌を歌うのも良いですが、特に良いのは子守唄を歌ってあげることです。

これはイタリアの大学の研究ですが、お母さんが妊娠中に繰り返し子守唄を歌ってあげると、胎児が子守歌で安心する習慣がお腹の中でついて、生まれた後も同じ子守歌をお母さんが歌ってあげると泣き止んですやすや眠る。夜中に赤ちゃんが突然泣き出すということも少なくなるというデータが出ています。

さらに親子の互いの愛情が深まるというデータまで出ていて、子守歌ってお母さんとこどもの絆を深める効果を持っているということです」

胎教もまんざら都市伝説ではなかったようです。
(みず)
 
北野誠のズバリ
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2025年07月25日14時14分~抜粋
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