北野誠のズバリ

誹謗中傷はSNS以前からあった!日本史から見る人間の「悪意」

2025年07月15日(火)

カルチャー

昨今、SNSによる誹謗中傷が社会問題化していて現代病として取り上げられますが、実は今に始まったことではないようです。

7月12日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、『悪意の日本史』(祥伝社新書)の著者で古典エッセイストの大塚ひかりさんが出演。

この本で古典や歴史書から人間の「悪意」を読み解く大塚さんが、その裏にある共通点や現代に通ずる事柄を紹介します。

誹謗中傷を受けたことがきっかけで

大塚さんが「悪意」に焦点を当てた本を執筆したきっかけは、実は自身に誹謗中傷がSNSで殺到してしまったこと。
発売前の書籍の帯のデザインや宣伝コピーを通じて、内容とは無関係の個人的な誹謗中傷を受けてしまったそうです。

その経験を踏まえて、歴史上の誹謗中傷に関することを調べてみた大塚さん。
そこには根拠のない炎上が起きたり、だんだんエスカレートしていったり、相手を選んで誹謗中傷したりするなど、現在との共通点が見い出せたそうです。

歴史上の女性が非難の的に

鎌倉時代、北条政子に対してさまざまな批判があったそうですが、没後の江戸時代にはさらにエスカレートしたそうです。

大塚さん「源氏3代のあと北条氏が実権を握ったので、悪く思われがちというのはあったとは思うんですけど、江戸時代になると本当に政子が息子と関係していたとか、畠山重忠を誘惑したとか、本当にセクシャルな誹謗中傷に移っていくんですよ。
これが特徴で、女性の場合は必ず性的な方にいくのがパターンなんですね」

また豊臣家が滅ぶきっかけとなった淀殿に対しても、後年性的な誹謗中傷が起きたそうです。

なぜ昔の話を蒸し返す?

いつの世も誹謗中傷は起こるものですが、かつてその対象はリアルタイムではなく歴史上の人物に向けられました。
なぜ自分とは直接関係のない、歴史上の人物に対して悪態をつくのでしょうか?

大塚さん「そこでやっぱり鬱憤を晴らしたい人っていうのがいるんでしょうね」

現在のSNSのように市井の人たちが書いた中傷が残っているわけではなく、後世に記録として残るのは、ある程度身分のある人となります。

大塚さん「それを書いてた人というのが、『雨月物語』で有名な上田秋成なんですよ。
そんな素晴らしい人が、そういうことを書いてたりするんですよ。
やっぱり、ちょっと歪んだ正義感が暴走してるっていうのはあると思うんですよね。

あと、わかりませんけれども、本人に何か鬱憤があって、『江戸の仇を長崎で討つ』的な、本来の敵じゃないところに攻撃が行くっていうのもあるとは思いますね」

誹謗中傷しないためには

歴史上の人物は昔だけではなく、現代でも映画やドラマなどで映像化され悪いイメージが伝わり続けていたりもします。
例として忠臣蔵で悪者一辺倒とされている吉良上野介や、わいろ政治と揶揄されている田沼意次、『紫式部日記』で「いけ好かない」と書かれた清少納言など。

誹謗中傷をしないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?大塚さんに尋ねました。

大塚「人は悪意を持つ生きものだという大前提で認識して、歪んだ正義に走らないように、何か発信する時に『これは自分の悪意なんじゃないか』といったん冷静になることが大事だと思います」
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2025年07月12日10時32分~抜粋
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