北野誠のズバリ

神田伯山が語る、講談の未来

いま講談界で最もチケットが取れない講談師と呼ばれる六代目 神田伯山さんが、12月16日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリサタデー』に出演しました。

『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)など、ラジオパーソナリティとしても活躍中に伯山さん。
著書の『講談放浪記』(講談社)では、名作講談の舞台となった場所を自身で訪ね、講談が持つ物語の魅力を紹介する他、他の芸能に関する場所も訪ね、講談の未来を再考されています。

伯山さんにあらためて講談の魅力を伺いました。

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本を執筆したきっかけ

まずは『講談放浪記』を執筆したきっかけについて尋ねる北野

伯山「いま聖地巡礼ってアニメやマンガで流行ってるじゃないですか。
映画『君の名は。』だったら新宿にある須賀神社の階段のところとか、マンガ『スラムダンク』だったら鎌倉高校前駅辺りとか。

冷静に考えたら、マンガやアニメはフィクションですけど、講談はフィクションですけど事実からちょっと尾ひれはひれがついてるって感じで、実際に起こった事件とか人物がいることが多いんですね。

それで、ひょっとしたら聖地巡礼って講談の方がハマるんじゃないか、親和性があるなっていうので、やってみようと思いましたね」

伯山さんはYouTubeチャンネル『神田伯山ティービィー』でさまざまな場所を訪ねており、まずはとっつきやすい動画を観てから『講談放浪記』を読み、そして実際に講談を聞かれると多角的に楽しめるのではないかということです。

歴史的名所に行っても何もない?

宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘が行われたとされる巌流島(山口県下関市)にも足を運んだ伯山さん。
今回の執筆のためではなく、訪れたのは学生時代ですが、同じく行ったことのある北野も「何もないところ」という印象。

歴史に名を残す場所に行っても何もないケースは少なくなく、例えば「ここが城跡」といっても建物も何もない場所だと、かなりの歴史好きだったり、想像力を働かせなければ楽しむことはできなさそうです。

北野「そこで面白いのが、講談師というのは具現化して語ることによって、みなさんに情景を思い浮かべてもらうということなんですもんね」

伯山「そうですね。まさに想像の芸なので、講談師ですと匂いを嗅ぎに行きたいというか、少しでも手がかりがあるかなっていう」

作家の北方謙三さんがモンゴルをテーマにした大長編作品を執筆した際、モンゴルにわざわざ行ったのに現地では何もせず、雲の動きを見ていたそうです。
昔の人も今の人も見ている雲は同じということから、想像を巡らせたのだそうです。

講談界の未来は?

2011年、上野にあった本牧亭が閉場となったものの、伯山さんの登場により、講談界への注目が再び集まっている状況です。
伯山さんは講談の未来をどのように捉えられているのでしょうか?

伯山「入門者が増えてまして、すごく光が差してるなと。ただ、偉くて上手な先生方が結構高齢でして。
これから10年以内に結構バタバタと亡くなってしまうかもしれないとなった時に、上の芸をどこまで継承できるかというのがポイントになってきてますかね」

人材だけではなく、今後講談を行う場所も気になります。

伯山「30年、40年後、365日1年やっている講釈場みたいなものを作りたいと思ってます。城がないので、我々浪人みたいな感じなんですよね。あそこに行けば講釈が聞けるっていう名物スポットを作りたいなと。幕末だと江戸だけで200件ぐらいあったらしいんですよ」

大正時代以降、衰退の一途をたどっていると言われた講談ですが、徐々に盛り返してきているようです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2023年12月16日10時28分~抜粋

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