北野誠のズバリ

金額は?賢い受け取り方は?意外と知らない退職金

会社員や団体職員にとって、人生で一番高い金額を受け取れるのが退職金です。

最近では退職金への課税制度の変更が物議を醸しましたが、人生で最も大きい金額だけに、できるだけ損をしないように扱いたいものです。

11月13日放送『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリマネー相談室」コーナーでは、退職金のお得な受け取り方について、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー、伊藤勝啓さんが解説しました。

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退職金の金額はどれぐらい?

厚生労働省の調査によれば、受け取れる退職金の相場は、大企業の大卒総合職で平均2,500万円。
東京都産業労働局の調査によれば、従業員数10~299人の中小企業で大卒の場合だと、1,000万円ほどだそうです。

退職時に一括で受け取る方法以外にもパターンがあります。

年金のように何年かに分けて受け取る退職年金や、一部は一時金としてまとめてもらい、残りは分割で受け取る併用パターンがあります。

退職金にかかる税金の額は?

退職金の受け取り方のパターンには3種類あることがわかりましたが、それぞれメリットとデメリットがあり、これを押さえておくことが大事です。

まず一括で受け取るの場合は、税負担が軽くなるのが大きなメリットとのことです。

退職所得には通常の所得とは異なる税制上の優遇があります。
具体的には、源泉徴収前の退職金額から「退職所得控除」というものを差し引き、その2分の1が退職所得として課税対象になります。

「退職所得控除」は勤続年数が20年以下か超えるかによって計算式が異なり、20年以下の場合は40万円×勤続年数、20年を超える場合は800万円+70万円×(勤続年数ー20年)です。

仮に勤続年数が30年で退職金が2,000万円だった場合、退職所得控除は1,500万円となりますので、上記の式に当てはめれば、退職所得は250万円となります。

つまり、退職金2,000万円すべてに税金がかかるというわけではなく、250万円分に対してしか税金がかからないということになります。

逆算すると、40年勤めた場合に退職金が2,200万円以下だと退職所得はゼロとなるため、税金はかからないということになります。

まとめて受け取った場合のデメリット

一方、退職金をまとめて受け取る場合、注意点もあります。
それは退職年金として受け取るより、退職一時金の総額が少なくなる可能性が高い点。

退職年金の場合は、まだ受け取っていない分は資金運用されて増えることもあります。
ただし、退職年金には先程のような税制上の優遇措置がないため、雑所得としてカウントされてしまい、公的年金やパート・アルバイト代などの所得に加算されます。

そのためしっかりと税金がかかったり、社会保険料が高くなったりします。

例えば、退職年金を毎年200万円ずつ10年間受け取るとして、年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合、年間の控除額は65歳未満で77万5千円、65歳以上で110万円となりますので、税金は確実にかかります。
では、結局どのパターンで受け取るのが一番お得なのでしょうか?
伊藤さんはパターンを選ぶ際の3つのポイントを挙げました。

ひとつ目は、老後の働き方から考えること。

もし退職した後にほとんど働かないなら所得はそこまで増えませんので、退職年金を受け取っても税金や社会保険料の負担はさほどかからないということになります。

また、厚生年金に加入しながら働き続けるという方は、退職年金で受け取った場合に社会保険料が高額になっても、会社が半分負担することになるため、自分の負担は減らせます。

これらに当てはまる方は、退職年金として受け取っても良いかもしれないとのことです。

ふたつ目が、公的年金の繰り下げ受給とともに検討すること。

これは公的年金には受給年齢を繰り下げる代わりに受給額が増やせる制度があり、あえて企業年金をもらう時期を後ろへ倒すことで、年間の所得を減らして税や社会保険料の負担を減らすというものです。

3つ目は一時金を受け取って自分で運用するということです。

ただし、退職後は大きな収入は望めないケースが多いため、投資に失敗しても働いて取り返すことができません。

そのため、できるだけリスクの低い安全な金融商品が望ましいと、伊藤さんはアドバイスしました。
(岡本)
 
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2023年11月13日14時13分~抜粋

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