夜型生活の普及や安全面の確保からか、今や夜にどこへ行っても明るいところだらけ。
暗闇を怖いと感じる場面も少なくなってきましたが、現代人が暗闇を体験すると思わぬ効果をもたらすそうです。
5月28日放送『北野誠のズバリサタデー』では、『闇で味わう日本文学 失われた闇と月を求めて』(笠間書院)の著者、体験作家で闇歩きガイドを行っている中野純さんが、暗闇の楽しみ方について解説しました。
夜の山で暗闇歩き…簡単に非日常を体験!
暗闇の山はひと味違う
『闇で味わうー』では、数々の名作文学に登場する印象的な闇の場面を取り上げていますが、そもそも中野さんが暗闇に興味を持ったきっかけは何でしょうか。
中野さん「28年ぐらい前ちょうど今ぐらいの季節で、もともと山が好きで山登りはよくしていたんです。
夜行列車で夜明け前ぐらいから遠くの山に登り始めるのがよくあるパターンなんですけど、ちょっと時刻表を見間違えて夜行列車が出ない夜に乗ってしまって」
東京の高尾で夜に足止めとなってしまったそうです。
中野さん「昼に行ったら子どもが登る程度の山なんですけど、高尾の隣に東高尾っていう山があって、そこに夜の2時ぐらいですけど、懐中電灯を持ってるんで入ってみようと思って、なめてかかって地図もなしに入ってみたら、森の中はほとんど真っ暗で。
何にも見えなくてやっと目が慣れてきたらモノトーンで、森の木々が生きてるみたいな感じで。
ちょっと怖い闇が、ずーっと果てしなく広がっているように感じて、これはすごいなと思って。
こんな人外魔境のようなものが、新宿から電車で50分ぐらいの都会のすぐ傍らに、毎晩こんな景色が広がっていて、ずっと無視して生きてきたのかと愕然として。
それから昼の山は全然登らなくなっちゃいまして、終電に乗って夜の山に行くっていうのを繰り返すようになりましたね」
中野さん「28年ぐらい前ちょうど今ぐらいの季節で、もともと山が好きで山登りはよくしていたんです。
夜行列車で夜明け前ぐらいから遠くの山に登り始めるのがよくあるパターンなんですけど、ちょっと時刻表を見間違えて夜行列車が出ない夜に乗ってしまって」
東京の高尾で夜に足止めとなってしまったそうです。
中野さん「昼に行ったら子どもが登る程度の山なんですけど、高尾の隣に東高尾っていう山があって、そこに夜の2時ぐらいですけど、懐中電灯を持ってるんで入ってみようと思って、なめてかかって地図もなしに入ってみたら、森の中はほとんど真っ暗で。
何にも見えなくてやっと目が慣れてきたらモノトーンで、森の木々が生きてるみたいな感じで。
ちょっと怖い闇が、ずーっと果てしなく広がっているように感じて、これはすごいなと思って。
こんな人外魔境のようなものが、新宿から電車で50分ぐらいの都会のすぐ傍らに、毎晩こんな景色が広がっていて、ずっと無視して生きてきたのかと愕然として。
それから昼の山は全然登らなくなっちゃいまして、終電に乗って夜の山に行くっていうのを繰り返すようになりましたね」
暗闇にい続けると人が変わる?
それから30年近く週1ペースで夜に登っているそうで、かなりの回数になりますが、暗闇ならではの魅力はどこにあるのでしょうか。
中野さん「最初のうちは懐中電灯を点けて歩いていたんですけど、そうすると結局、自分の目の前に小さい島を作って歩いている感じになっちゃうんで。
だんだん懐中電灯に頼らずに歩くようになって、昼間はカラーで見えてますけど、暗くなると使う視細胞が違うものを使うようになって、モノトーンの光感度で見えるようになるんですね。
さらに視覚だけじゃ全然頼りないので、昼間はほとんど視覚だけで歩いてますけど、夜は視覚以外の聴覚だったり嗅覚だったり触覚だったりを総動員して、五感で歩くっていう感じですね。
そうすると五感がどんどん研ぎ澄まされて、五感が合わさって『あそこにきっと何かいる』っていう第六感みたいなのが働いて、超能力者のような夜行性の獣になったみたいな気分になりながら歩ける」
北野も心霊番組のロケで深夜に外を歩くことがありますが、あえて懐中電灯を消してしばらくたたずむのが好きだといい、暗闇ならではの空気が味わえるようです。
中野さん「最初のうちは懐中電灯を点けて歩いていたんですけど、そうすると結局、自分の目の前に小さい島を作って歩いている感じになっちゃうんで。
だんだん懐中電灯に頼らずに歩くようになって、昼間はカラーで見えてますけど、暗くなると使う視細胞が違うものを使うようになって、モノトーンの光感度で見えるようになるんですね。
さらに視覚だけじゃ全然頼りないので、昼間はほとんど視覚だけで歩いてますけど、夜は視覚以外の聴覚だったり嗅覚だったり触覚だったりを総動員して、五感で歩くっていう感じですね。
そうすると五感がどんどん研ぎ澄まされて、五感が合わさって『あそこにきっと何かいる』っていう第六感みたいなのが働いて、超能力者のような夜行性の獣になったみたいな気分になりながら歩ける」
北野も心霊番組のロケで深夜に外を歩くことがありますが、あえて懐中電灯を消してしばらくたたずむのが好きだといい、暗闇ならではの空気が味わえるようです。
暗闇歩きをしたくなったら
ここまで暗闇の魅力を知った中野さんの話を聞いて、「暗闇歩きをしたいけど、1人だと危険」と思われたかもしれませんが、中野さんは1人で山を登る以外に暗闇ガイドなることもされているそうです。
中野さん「オーダーで1人だけからご案内する場合もありますし、こちらで企画するツアーだと数人から15人ぐらいで、最高は50何人という時もありましたね」
ここまで人数が多いと心強いですが、急に動物が飛び出してくるよりも怖いことも。
中野さん「1番怖いのは、夜のツアーをやっていて人が増えた時ですね」
あと、逆にこの集団にバッタリ出会った側は怖がるかもしれません。
中野さん「オーダーで1人だけからご案内する場合もありますし、こちらで企画するツアーだと数人から15人ぐらいで、最高は50何人という時もありましたね」
ここまで人数が多いと心強いですが、急に動物が飛び出してくるよりも怖いことも。
中野さん「1番怖いのは、夜のツアーをやっていて人が増えた時ですね」
あと、逆にこの集団にバッタリ出会った側は怖がるかもしれません。
暗闇は物語の舞台に重要
『闇で味わうー』では、文学作品に出てくる暗闇のシーンを取り上げ、実際にどのような暗闇だったのかについて考察されています。
中野さん「物語のクライマックスとか盛り上がるシーンはほとんど夕方から夜明けまでの闇の時間ですね」
ただ、暗闇の状況は当時と今とでは大きく違うので、作品の感じ取り方にギャップがあるかもしれません。
中野さん「幻想であり美しくもあり、その時代の人にとっては日常だったわけで。
その辺が現代の人間からすると推し量れない感じなので、それを追体験する。
夜の山を歩いたりとか、家の中を暗くしてちょっと菜種油で火を灯したりとかして、当時の日常を再現しながら(元の文学作品を)読んでみようということをやってみたのがこの本ですね」
『闇で味わうー』を読んで追体験してから、また『源氏物語』などの文学作品を読み返すと、印象が変わるかもしれませんね。
(岡本)
中野さん「物語のクライマックスとか盛り上がるシーンはほとんど夕方から夜明けまでの闇の時間ですね」
ただ、暗闇の状況は当時と今とでは大きく違うので、作品の感じ取り方にギャップがあるかもしれません。
中野さん「幻想であり美しくもあり、その時代の人にとっては日常だったわけで。
その辺が現代の人間からすると推し量れない感じなので、それを追体験する。
夜の山を歩いたりとか、家の中を暗くしてちょっと菜種油で火を灯したりとかして、当時の日常を再現しながら(元の文学作品を)読んでみようということをやってみたのがこの本ですね」
『闇で味わうー』を読んで追体験してから、また『源氏物語』などの文学作品を読み返すと、印象が変わるかもしれませんね。
(岡本)
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