5月7日放送『北野誠のズバリサタデー』では、「ゴールデンウィーク特別企画 鎌倉時代に迫る」と題して、『面白すぎる!日本史の授業』などの著者で日本の歴史作家・歴史研究家、多摩大学客員教授の河合敦先生に鎌倉幕府をつくった人々のお話を伺いました。
ここでは、北条政子や時政、義時などの北条ファミリーについて取り上げます。
北条政子はどんな人物?
北条政子は鎌倉幕府を開いた源頼朝を支えた妻で、頼朝の死後は幕府の実権を握りました。
現在放送されているNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、小池栄子さんが演じられていますが、実際はどのような人物だったのでしょうか。
河合先生「頼朝の後を尼将軍として支えて幕府の基礎を確立した、すごい賢くて強い女性ですね」
当時、将軍の後に女性が実権を握るというのは、珍しくなかったのでしょうか。
河合先生「武家の場合は特に、旦那さんを亡くした女性は当主と同じ権限を持つとされていて、やっぱり女鎌倉殿といわれる権限を政子は持ってたんですね。
出家してるんですけど、その後も朝廷に高い位をもらって、実際に幕府の運営にも関わってますね。
非常に首尾一貫した主張をするきちっとした女性なので、御家人からの信頼もすごく厚いですね」
ドロドロした家族の関係
鎌倉幕府の将軍は頼朝の死後、長男の頼家が継ぎましたが、修禅寺に幽閉され暗殺されます。
この辺りのできごとは、血縁関係のある人物が続々と登場し、ドロドロしていてわかりにくいところ。
そこで河合先生は、国民に広く知られているマンガ『サザエさん』に例えるとわかりやすいとして、ここからはサザエさんに例えて説明しました。
北条政子がサザエさん、その夫である源頼朝はマスオさん。
北条時政は波平さんで、頼家はタラちゃん、『鎌倉殿の13人』の主役、北条義時は政子の弟なのでカツオくん。
マスオさんが亡くなった後、タラちゃんが将軍になりますが、ワカメちゃん(政子の妹である阿波局)の旦那さん(頼朝の弟である阿野全成)を殺害しています。
これは謀反の疑いをかけたためで、頼朝と同じ源氏の血筋を引いていることを危険視したためとされています。
さらにタラちゃんはワカメちゃんを逮捕しようとしますが、さすがにサザエさんに止められています。
このようにあまりにもタラちゃんが乱暴だったため、波平さんが捕まえて殺害し、頼家の弟である源実朝が3代将軍となりました。
源氏は滅亡
ここで北野が気になったのが、なぜ、自ら源氏の血筋を絶やそうと動いていたのかというところ。
河合先生「最初は頼朝はどんどん兄弟を集めているんですよ。
ただ、だんだん権力を握るのに従って殺していっているので、何か疑心暗鬼があったんですかね」
政子がどこまで自分の息子である頼家の暗殺に関わっているのかは不明ですが、強制的に引退させています。
河合先生「おそらく出家させて寺に入れたのは、政子の意思が働いていると思います」
北野「それやったら殺されはせんやろうと。このまま行ったら御家人から暗殺されるやろうから、寺でじっとしとけと」
河合先生「ところが頼家はじっとしてなくて、いろいろ動き始めたので、結果的に時政とか義時が殺したんじゃないかと言われていますね」
3代でついえた後は?
3代将軍の実朝は、頼家の息子つまり甥に殺され、源氏の血筋は3代で途絶えてしまいます。
また、波平さんはサザエさんとカツオくんに幽閉されたため、最後にはサザエさんとカツオくんが残り、北条の執権政治へと進みます。
ただ、政子からすると、夫に先立たれ長男と次男が暗殺され、さらに娘も早くに亡くなっています。
晩年は「こんなことだったら、生きていない方が良かった」と嘆いていたそうです。
家族的には恵まれなかった政子ですが、本人は60代後半まで生き、藤原摂関家から迎え入れた九条三寅という子を育てました。三寅はのちに4代将軍(藤原頼経)になっています。
そして、将軍は藤原家から2代続いた後は皇族から迎えていますが、あくまでも実権は北条家が握っていました。
河合先生「やっぱり日本は飾りがないとダメなんですね。みこしがないと安定しないんですよ」
こうしてみると、『鎌倉殿の13人』も殺伐とした人間関係が出てきそうなドラマ。
今日の話を聞いて、「1時間前までは『ハーイ』ぐらいしか言っていなかったのに、タラちゃんはひどい人間や」と、ごちゃごちゃにならないように気をつけないといけません。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2022年05月07日10時26分~抜粋