昔は冬の寒い時期、「乾布摩擦で身体を鍛えると風邪をひかない」という風習がありましたが、これは本当なのでしょうか?
1月7日放送『北野誠のズバリ』では、本郷赤門前クリニック院長の吉田たかよし先生が、乾布摩擦の良い点と悪い点について解説しました。
昔のやり方では問題が?
実は現在、乾布摩擦の効果が見直されているそうですが、吉田先生によりますと、昔ながらの方法だとかえって健康を害するのだそうです。
よくない方法の1つが、布で強くゴシゴシと擦ること。
本人が気づかなくても、皮膚で小さな炎症を起こしてしまい、それを繰り返すとアトピー性皮膚炎になってしまうこともあるそうです。
乾布摩擦自体は戦前から行われていたそうですが、当時はアレルギー体質の人が今よりも少なく、あまり問題が出なかったのですが、現代人にとっては良くないことのようです。
炎症を防ぐためには、シルクなど肌触りの良い材質にして、やさしく撫でるぐらいの感覚で行ったり、間接的に服の上から摩擦を行うのが良いとのことです。
今も昔も結果は同じ?
ただ、こんなにゆるい方法だと、果たして健康に効果はあるのでしょうか?
吉田先生「スウェーデンのイエテボリ大学の研究で、皮膚を軽くさすると気持ちよくなるわけですけど、その時に皮膚の中にC接触線維っていうものが刺激を受けて、リラックスする時に高まる副交感神経が優位になって、その結果ストレスが緩和されたり、寝つきが良くなる効果が見つかってるんですね」
昔の乾布摩擦は強い刺激を与えていたため、交感神経が優位になりますが、終わった後はその反動で副交感神経が優位になります。
そのため、結果的には同じ効果が得られるのですが、皮膚の炎症のことを考えると、優しく擦るべきというわけです。
寒い所で行うと良い理由
では、寒い屋外で行うことに効果はあるのでしょうか?
吉田先生「寒い刺激を皮膚に与えることも健康によい効果があることが、研究で確認されてます。
東フィンランド大学の研究で、皮膚に冷たい刺激を与えると免疫力が強化されて、風邪をひきにくいというデータが出てるんですよ。
もちろん長時間寒いままだとウイルスに感染しちゃいますけど、短い時間に限定して冷たい刺激が加わると、人体は危ないと判断して免疫を上げてくれる。
ワクチンと同じ、危機感を与えて免疫力を高めるということですね」
適切な時間については個人差があるとのことですが、40歳以上の中高年の場合は1回あたり5分ぐらいがよいそうで、吉田先生のおすすめは5分間窓を開けて換気をすること。
そして、時間帯は朝というよりも、夕方や寝つきが悪い人にとっては寝る直前が良いそうです。
夫婦だとさらに効果が倍増
また、夫婦やカップルで行うと、さらに別の効果もあるそうです。
吉田先生「これもイエテボリ大学の研究なんですけど、夫婦でお互いにさすってあげますと、ストレス緩和作用がさらに大きくなるというデータが出てるんですね」
一緒にいることがストレスという夫婦だと、デメリットになるかもしれませんが……。
病気の時にこどもの背中をさするというのも、効果の1つ。
さするという行為について、リラックスして眠りにつきやすくなるという効果はあるようです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2022年01月07日14時11分~抜粋