『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。
12月17日の放送には、「お酒を飲んでから15時間経っても、お酒臭いまま」と悩むAさん(57歳・女性)から相談が寄せられました。
心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、アルコールの解毒の仕組みや、少ないアルコールで気持ち良く酔える方法について解説しました。
酒臭い=アルコールの匂い?
お酒が好きで、コロナ禍の前はよく飲みに行っていたというAさん。だいたい生中3杯、焼酎の水割り1~2杯を、夜10時頃まで飲んでいたそうです。
「次の日の午後1時に仕事に行くと、同僚に『酒臭い』と言われてしまいました。お酒を飲んでから15時間以上も過ぎているのに、です。酒臭いということは、その時に運転していれば飲酒運転になるのでしょうか」(Aさん)
それ以降、飲んだ翌日は怖くて運転ができないというAさん。お酒は、何時間経ったら抜けるのでしょうか。
「多くの方は誤解していますけど、"酒臭い"というのはアルコールの匂いではないんですね」と吉田先生。
コロナの感染予防で、アルコールで手を消毒する機会が増えましたが、その匂いを嗅いでも、確かに「酒臭い」と思うことはありません。
アルコールは「毒物」
「酒臭い匂い」の正体は、アルコールではなく「アセトアルデヒド」という物質です。
アルコールは人体にとっては"毒物"なので、体内に入ると2段階のプロセスで解毒が行われます。
まずアルコールが酸化され、アセトアルデヒドに。そしてさらに酸化されて酢酸、つまり"酢"になります。
しかし中には、途中段階であるアセトアルデヒドが長く体内に留まってしまう体質の人も。
これが吐く息と汗となって身体から出て、「酒臭い匂い」になるというわけです。
酒臭い時の運転は犯罪行為
「酒臭い時は、運転したらダメですよね。だって捕まったら、呼気測られるでしょ?」と尋ねる北野誠に、「この匂い自体はアルコールではないものの、自動車の運転は確かに危険」と吉田先生。
「体内ではアルコールが一掃されていて、純粋にアセドアルデヒドだけが溜まっているケースもあるにはある」としつつも、「道路の渋滞と同じで、アセトアルデヒドの段階だけで純粋に渋滞するということよりも、その上流のアルコールの段階でも渋滞していることの場合の方がやっぱり多い」というのです。
飲酒から長時間経過していたとしても、「酒臭い時の運転は、犯罪行為に近い」そうです。
久しぶりのお酒で悪酔いする理由
しかし、飲酒から15時間も経過しているのにもかかわらず、Aさんが酒臭いままなのはなぜなのでしょうか。
この疑問に、「アルコールの解毒のスピードは遺伝子のタイプで決まるため、個人差がすごく大きい」と吉田先生。「またお酒を飲むのに慣れているかどうか」も関係しているといいます。
秋に緊急事態宣言が解除になって以降、「久しぶりにお酒を飲んだら悪酔いした」という声が多く聞かれるようになりました。
これは長くお酒を飲まなかったことで、解毒のスピードが遅くなってしまったから。そのため今年の秋は、「より長い時間、酒臭い状態が続いていた」という人も多かったのです。
「遺伝的な体質と体調によって、15時間経っても酒臭いということは医学的に十分あり得ること」と吉田先生。
解毒できない「SOSサイン」
「アセドアルデヒドが身体に残っている状態は、健康的にも良くないんですね?」と尋ねる北野に、「これはね、全く良くないんですね」と吉田先生。
アセトアルデヒドは「発がん物質」。ほぼほぼ全ての臓器で発がんを促す作用があり、中でも深刻なのが「食道がん」「咽頭がん」「喉頭がん」です。
北野「酒臭い状態が15時間経っても残ってるということは、結構危険なんですね」
吉田先生「アルコールを上手く解毒できていないということを教えてくれている、"SOSサイン"だと思っていただきたい」
北野「普段より飲む量を減らした方がいいですね」
吉田先生「それは絶対そうですね」
夫婦で飲むと離婚率が低下!
ニュージーランドのオタゴ大学の研究によると、お勧めは「夫婦でお酒を飲むこと」。お互いに健康を気遣うこともその理由のひとつですが、最も大きい理由は医学的効果にあるといいます。
男性は、無意識に見栄を張って大量にお酒を飲む傾向があり、女性は、過剰に人目を意識する傾向があります。
しかし夫婦だとその必要がないため、副交感神経が優位となり、「少ないアルコールで酔いやすい」というデータが出ているというのです。
少ない飲酒でストレスが解消されるのは理想的。さらに夫婦でお酒を飲むことで関係が良くなり、離婚率も低くなるという論文もあるんだそう。
吉田先生のこの話に、「えらいこっちゃ…」と呟く北野。「『一緒に飲も』って誘わなあかん」と、なぜかテンション低めです。
赤ちょうちんが多い理由
そんな北野に吉田先生がアドバイス。
「テーブルに向かい合って飲むよりも、夫婦で横に座って同じ方向を見ながら飲む。脳の中で『共同注視』という働きが起こり、ストレスの緩和作用がより大きくなる」
向かい合うと、脳が「対決する」モードに。夫婦げんかもこれが原因で起こることが多いそうです。
イギリス・ロンドン大学は、「赤い色を見ると、少ないアルコールでも気持ち良く酔える」という研究を発表しています。
脳は、青い色を見ると活発に働く性質があります。仕事や勉強をするときは青い色が適していますが、脳が働きすぎて酔いにくい状態になるのです。
青と対局の赤を見ると脳の働きが低下し、知能指数も一時的に下がってしまうといいます。
仕事や勉強には、赤い色は×。しかしお酒を飲むときはベストということです。
「居酒屋で赤ちょうちんが多いのはその効果かなと思っています」という吉田先生に、「なるほど!」と納得の北野でした。
(minto)
北野誠のズバリ
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2021年12月17日14時13分~抜粋