飲酒運転は絶対にいけないことですが、運転をしていないにもかかわらず、誤解を招いて酒気帯び運転で罰せられることも!?
『北野誠のズバリ』の「ズバリマネー相談室」では、リスナーから届いた法律に関する疑問やお悩みに対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士がズバリ回答。
12月1日の放送では、運転していないのに飲酒運転で捕まりそうになったという話を実際に聞いた方のおたよりを紹介しました。
酒気帯び運転の定義
質問の内容は、次のとおりです。
「私の知人がお酒を飲んで駐車場に停めていた車の中で寝ていたら、不審に思った駐車場の所有者が警察を呼んできて、呼気を検知されアルコールが検出されたため、『酒気帯び運転で切符を切るぞ』と言われたそうです。
運転をしていないのですが、罰せられるのでしょうか」(Aさん)
誤解を招く行動とはいえ、実際に運転しているわけでもないのに、違反として扱われることはあるのでしょうか。
まずは原先生に、「酒気帯び運転」の定義について伺いました。
原「そもそも道路交通法に『何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならない』と規定されていまして、それに違反したら、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と。
酒気の帯びる程度(血中アルコール濃度)が1mLあたり0.3g、または呼気1Lにつき(アルコールが)0.15mgと規定されているんですね」
法律の条文をよく見てみると…
では、飲酒運転と酒気帯び運転の違いは何でしょうか。
原先生「呼気1Lあたりいくらかということで、0.15~0.25mgだと軽い酒気帯びで、0.25mg以上だと重いということで、反則点数25点(免許取り消し)ですね」
ただ、車が停まった状態で酒気を帯びていてもダメなのでしょうか。
原「先程の条文で『運転してはならない』という言葉があったように、運転していなければいいんですね。
では『運転』って何なのかという法律的な流れになるんですけど、運転というのは道路において、車両等を本来の用法に従って用いていること、と。
車でいえば、実際に運転しなきゃいけないってことですね」
法律から見た「運転」とは
では、実際に運転していないのに酒気帯び運転かどうかで争ったという判例はあるのでしょうか。
原「実際に判例があってですね、エンジンを始動させただけでは足りず、発進操作を完了することが必要だということですから。
エンジンをかけて音楽を聴いてるとか暖めてるとか、そういうだけでは運転というわけではなくて、例えばパーキングからドライブに入れてアクセルを踏んだとか、ブレーキを離したとか、具体的な動作になって初めて運転と」
飲んだ帰りに、飲酒運転になるので駐車場で停めている車の中で寝るのはセーフ。
さらに今の時期だと寒いのでエンジンをかけて、暖機運転をして寝るのもセーフ(勧められるものではないですし、通報される可能性はありますが…)。
もし警察に怪しまれたら
もし警察の方が来た場合、法律上は問題がないということを説明して通る話なのでしょうか。
原「わかってくれると思う反面、『本当か?』と」
北野「『ここまで運転してきたんじゃないか?』といわれる可能性もあるわけですね」
疑われてしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか。
原「近くで飲んでるということだと思うんですよね。
ということは、近くのお店で飲んだ時のレシートや領収書、防犯カメラで歩いてきたことがわかれば、まだ動かしてないわけですから許されるだろうと。
やはり、すべては証拠ですね。パーキングとか使っていれば、停めてる時間もわかりますし」
もしその場で切符を切られたとしても、後に争うことはできるそうで、後日裁判所から呼び出しがある際に否認し、裁判を受ける権利があるということです。
その場合もやはり証拠を集めておく必要があるようですが、その場できちんと話をすれば、実際は切符を切られることはないそうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2021年12月01日14時12分~抜粋