実際にサーフィンをプレイしないのに、サーフボードを買ったり、サーファーのようなファッションをする人のことを「丘サーファー」といいますが、三重には「丘漁師組合」なるものがあるそうです。
漁師のコスプレをして楽しむというわけではなく、私たちに密接に関係のある海の課題に取り組んでいるそうですが、どんな取り組みなのでしょうか。
10月18日放送『北野誠のズバリ』、「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」コーナーでは、「丘漁師組合」についていろいろと調べてみました。
丘漁師の活動は?
「丘漁師組合」は、漁師さんに代わって海の問題をいろいろ考えようというプロジェクト。
発起人の水谷岳史さんは、三重県を中心として地域の魅力をマネジメントし、PRを行なっている株式会社On-Coの代表の方で、丘漁師組合は数ある活動の1つ。
地元の漁師さんと知り合ううちに、後継者難や漁獲量の減少など、漁業に関する問題を知るようになり、知識が増えていき、他の仲間と問題について語るようになりました。
しかし、「船は運転できないし、魚にものすごく詳しいわけでもない、魚がさばけるわけでもない、なのに海の問題について話し合うのは、サーフィンに対する丘サーファーみたいだ」と感じるようになり、自分のことを「丘漁師」と語るように。
その珍しいフレーズが興味を持たれ、他の人からも自然と海の話を聞くようになり、漁師ではないですが、海の問題を考える人が集まって「丘漁師組合」という集団としてまとまるようになったそうです。
食べられるのに捨てられる魚
丘漁師は飲食店の方や起業家、学生や主婦など、立場はさまざま。
1つのテーマを決めて進めていくのではなく、それぞれの立場・見方で問題を提起していくという形を取っています。
その中でまず、水谷さんが海の問題解決で考えたのが、未利用魚や低利用魚の活用。
未利用魚・低利用魚とは、まとめていろんな魚が獲れた時に、いらないものとみなされて廃棄される魚のこと。
例えば「ニベ」という魚は、九州でよく獲れていたものが、環境の変化から次第に東海地方周辺で獲れるようになったのですが、東海地方ではなじみがなく流通もされていないので、獲った時に捨てられてしまうそうです。
捨てられるのは別に食用ではないというわけではなく、伊勢エビや鯛と違ってなじみがなく、獲っても売れないため。
九州では新鮮なものは鯛の代用とされ、養殖するほど需要が高いにもかかわらず、東海地方では知られていないために捨てられるというのは、もったいない話です。
低利用魚をどうやって広める?
そんな低利用魚が売れるためには、知名度を上げる必要がありますが、急には上がりません。
ではどうすれば食べてもらえるのか、知り合いのHisaya-odori Parkに内にあるカフェ「FabCafe Nagoya」の店長さんである甲斐さんに話をしたところ、興味を持たれメニューに加えることを提案。
ただ仕入れるというだけではなく、一緒に海へ行って漁師さんと話をし、加工業者さんに協力を取りつけるなどして、実際に低利用魚を利用することになりました。
水谷さん「連れていくと、またメニューを出す時にたぶん言葉が変わるんじゃないかなと思っていて。
自分が行った場所、獲った人を知ってるとか、仲間ができたみたいな感じで。
そこがなければ、たぶん何も始まらなかった」
料理を提供する際に、店員さんが未利用魚について説明をされるのですが、実際に現場に行って経験したことで、その伝わり方も変わってきます。
ニベは「白身魚の包み焼き」として10月から来春まで提供予定ですが、「知らない魚だからまずいと思ってたら、そんなことはなかった」などという感想などがあり、すでに人気が出てきているようです。
次に注目するのは、見た目がイマイチな…
ただ、ニベが人気が出てきて獲りすぎるようになってしまうと、本来の目的からは外れてしまいます。
そこで、丘漁師組合では次に考えている未利用魚がすでにあるそうですが、それは見た目がちょっと…というアレです。
水谷さん「昔は伊勢エビとウツボは共存していたらしいですけど、ウツボが増えすぎて伊勢エビを食べるようになったらしくて、ちょっとウツボを獲らないといけないよねという話になってる。
(東海地方では)ウツボを食べる文化ってないじゃないですか、水族館だと『海のギャング』って書かれてますし。
でも唐揚げとかで食べたら、すごくおいしいんですよ!鶏肉に近いと僕は思います」
ウツボ料理は四国の一部などで有名らしいですが、東海地方ではまったく食べる習慣はありません。
こちらも食わず嫌い、あるいはそもそも知らないということで、食べてみると新たな発見があるかもしれません。
(岡本)
北野誠のズバリ
この記事をで聴く
2021年10月18日14時42分~抜粋