『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。
7月31日の放送では、「ほくろがかさぶたのようになって、爪でかくとポロポロ取れてしまう」というAさん(58歳・男性)のお悩みを取り上げました。
皮膚がんを疑いつつも、恐怖心から病院に行けないというAさんに、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生がアドバイスを送ります。
命にかかかわる「メラノーマ」
2年くらい前から、1cmあるかないかのほくろが、髪の生え際に出現。かさぶたのようになり、爪でかくとポロポロと取れてしまうそうです。
若い頃から建築・土木関係の仕事をしているため、ほくろは多い方だというAさん。
「皮膚がん」という言葉に恐怖を感じ、病院に行くことができないAさんですが、それでは、ほくろと皮膚がんには、どのような違いがあるのでしょうか。
ほくろロは、黒いメラニン色素を作る細胞が増加する良性腫瘍。これが"がん化"することはありません。
一方、ほくろと同様にメラニン色素を作る細胞が増える「メラノーマ」という皮膚がんもあります。
「こちらは命にかかわる非常に怖いがんなので、見極めがとても大事」と吉田先生。
顔つきが良い、悪い
新しいほくろができた時、通常は直径が6ミリになる前に成長が止まることが大半。7ミリを超えるとほくろではない可能性があるため、皮膚科での診察が必要です。
ただ、5歳以下の頃からある大きなほくろは、大人になってから成長していなければ心配する必要はありません。
ほくろか皮膚がんかをチェックするポイントは、「顔つきが良いか、悪いか」。
これは正式な医学用語ではありませんが、医師はその「顔つき」で、ほくろか皮膚がんかを判断することもあるといいます。
「顔つきが良い」ものは普通のほくろ。
きれいな円形あるいは楕円形で、輪郭がはっきり。濃くても薄くても全体的に同じ色をしています。
「顔つきが悪い」ものは皮膚がんの可能性があります。
いびつな形で、輪郭はにじみ、濃い部分と薄い部分がが混在しているものです。
老人性のイボの可能性
Aさんのように、かさぶたになりボロボロ取れるものは「明らかに顔つきが悪い」といえます。
吉田先生がAさんの症状を聞いて「1つの可能性が高い」としたのは、「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」
これは簡単にいうと、老人性のイボです。
茶色っぽいものや白っぽいもの、黒っぽいものなど、その色はさまざま。80歳を超えると多くの人にできますが、30代以降であればできてもおかしくはないそうです。
「これはただのイボなので、がんにはならない」と吉田先生。
怖がらずに診察を
もう1つ考えられるのは、長時間紫外線を浴びることでできる「基底細胞がん」という皮膚がん。
Aさんは屋外での仕事が多いため、この病気の可能性も大いにあります。
「この病気はかさぶたのようなものができることが多いので、こちらの可能性もある」と吉田先生。
怖くて病院に行けないというAさんですが、どんながんでも「早期発見」が大切です。
吉田先生は「100歩譲ってメラノーマだったとしても、抗がん剤を使った治療技術が上がっているため、早期発見の場合は85パーセント以上は命を落とさずにすむ。Aさんの場合、皮膚がんだとしても基底細胞がんの可能性が高いので、命を落とすことはまずない」とAさんに診察を促します。
治療法は、電気針で焼き切る、または薬を飲んでレーザーを当てるだけで治る場合もあるので、「怖がらずに早く、皮膚科で診察を受けてもらいたい」と吉田先生。
基底細胞がんとメラノーマの2つの違いは、「転移」のしやすさ。
メラノーマは猛烈に転移しやすいがん。一方、基底細胞がんは転移することはありません。
特に足の裏と肩にできることが多いメラノーマ。
足の裏は毎日歩くため、肩は毎日鞄をかけるため。その刺激と圧迫の積み重ねが、がんを生み出してしまうのです。
「肩に鞄をかけるときには、左右交互にした方が良い」と吉田先生。
吉田先生はさらに「足の裏は半年に1回はチェックしてもらいたい」とアドバイス。メラノーマは痛みがないため、気が付かないうちに7ミリを超えている場合があるそうです。
吉田先生のおすすめは「半年に1回足の裏を見て、スマホで写真を撮る」こと。年月日の記録があるので、医師は正確な診断ができるそうです。
「足の裏は怖いですよ!」と、忠告する吉田先生でした。
(minto)
北野誠のズバリ
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2021年07月30日14時11分~抜粋