今や「ユーチューバー」がこどものなりたい職業の上位に来る時代。
誰でもどこでも気軽に動画が投稿でき、それがバズると収入になるとあって、芸能人も続々と参入していますが、勝手に動画を撮られると困りものです。
『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、法律に関する疑問や質問を募集し、オリンピア法律事務所の弁護士が回答。
6月16日の放送では、他人の勝手な動画を撮りに悩む方からのおたよりを紹介し、原武之弁護士が回答しました。
勝手にドッキリをかけられ世界配信
そのおたよりは、次のとおりです。
「先日同僚から、『おまえYouTubeに出てるぞ』といわれて動画を見ると、妻と駅を歩いている時に突然飛び出してきて、私たちを驚かせるというものでした。
グッとこらえましたが、手が出そうでした。
動画へのコメントは、『楽しい』とか『面白い』というものが大半でした。
そこで2つほどお聞きしたいのですが、まずは勝手に世界に配信されたことを訴えることはできますか?
また、もし殴ってしまっていたら、罪に問われるのでしょうか」(Aさん)
信頼関係のない他人から承諾を得ずにドッキリにかけられると、さすがに腹が立ちますが、かといって暴力を振るうと逆に訴えられそうですが…。
配信を止めることは可能?
では、自分が映っている動画を勝手に配信しているのは、問題がないのでしょうか。
原先生「人には肖像権というものがあるので、モロに映すつもりで映したのであれば、肖像権侵害かなと思いますね。
特に公道であればしょうがない部分もありますけど、そうじゃないものに関しては、映り込むものも含めて許諾を取った方がいいと」
肖像権侵害は刑事ではなく民事裁判で問われますが、日本ではさほど慰謝料は取れないそうです。
では、配信自体を止めさせることはできるのでしょうか。
原先生「YouTubeとか動画サイトでは、『不適切な場合は削除要求に応じます』と書いてあるので、不適切かどうか取り合ってもらうために、削除要求をするというのは当然ある。
また、裁判の仮処分手続きで、動画の配信差し止めを申し立てる場合もあります」
弁護士から内容証明や裁判手続きを行うのが一般的で、本人が自ら手続きを行うのは難しいようです。
動画で得た利益はどうなる?
では、この動画によって利益を得ていた場合、その利益はどうなるのでしょうか。
原先生「基本的にはYouTube側から動画配信した人に(利益を)入りますと。
しかし、このケースで動画配信した人が得をするのはおかしいので、そこは慰謝料とかで調整することになりますね」
そもそも、ドッキリをかけたことが罪にならないのでしょうか。
原先生「なかなかドッキリだけ、驚かせるぐらいだけだと問題になりにくいですけど、度を超えて、大声で叫ぶとか、拡声器の事例もありますけど、暴行罪になる可能性もあるし。
十分気をつけてもらいたいのが、砂浜で落とし穴を掘って、思ったより深くて、中で亡くなったことがあったので。
そうすると重過失致死とか、軽い罪では済まなくなるので」
では、Aさんのもう1つの質問ですが、ドッキリをかけた側を殴ると罪になるのでしょうか。
原先生「暴行なんですけど、襲われると思って殴り返すと、正当防衛か誤想防衛ということで違法性が低く、処罰されないか、刑罰も軽くなると」
安易にテレビ番組のドッキリをまねるのは良くないということですね。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2021年06月16日14時11分~抜粋