歯車を作る会社が消臭剤を開発
その会社とは、愛知県にある歯車専門企業の中日精工さん。
創業50年以上、自動車や電動自転車のステアリング中間ギアの国内シェア60%以上を持つ企業ですが、そこから販売している消臭剤が、『消臭木』という製品。
名前のとおり、原料に天然の木を100%使った消臭剤で、販売から5年で累計15万個を売る人気商品ですが、ここで「金属で作る歯車と木の消臭剤で何の関係があるのか?」と思ってしまいます。
実はこの消臭剤の誕生には、過去に愛知県で開かれたあるイベントが関係しているのですが、『消臭木』誕生のきっかけについて、中日精工の村下さんに電話でお話を伺いました。
村下さん「2005年の愛知万博の際に、愛知県のパビリオンで『千年時計』というものを展示していたんですけれども、その歯車を100%木材だけでプラスチックのように作って欲しいというのを愛知県から依頼されました。
木材を高温高圧蒸気で蒸す、『蒸煮』という加工なんですけれども、この加工が弊社の特殊な技術で、面白い材料なので、自動車などの歯車に使えないかと研究開発を始めたのが、木材に取り組むきっかけになりました」
木が消臭に効く仕組み
その後、実際に木の歯車はできたのですが、製品化するのにあたって、新たな問題が生じました。
村下さん「今から9年ほど前になるんですけども、自動車や家電の部品は無臭でなくてはいけないということで、木の匂いが取れないかという研究をしていたんです。
たまたま蒸した木自体が消臭効果が高いということがわかって、それならそのまま売ってみたらどうかということになったのが、『消臭木』のきっかけなんですよ」
もともと木材自体に消臭効果があり、木にたくさん空いている穴に臭いの原因となる物質が吸着するという仕組み以外に、原材料のヒノキに抗菌効果があって、臭い戻りを防ぐことができます。
さらに蒸煮という加工を施すことで、木を構成する物質が分解されて酸性に変わり、アンモニアやアミン系といったアルカリ性の臭い物質と反応し、中和分解することで消臭につながるそうです。
トイレ、生ゴミ、タバコ、汗、ペットの臭いなどあらゆるものに効き、効果は2~3ヶ月ほどだそうです。
商品はチップタイプとスプレータイプがあり、最初は匂いが強いようで、松岡も「濃いめのかつお節みたい」と表現していました。
また、天然の木が原料となっているため、間伐材や廃材も使えるので環境にも良く、2018年には愛知環境賞の優秀賞にも選ばれています。
(岡本)