アパートやマンションで生活をしていて気になることの1つに、隣の部屋の騒音がありますね。これって、裁判で訴えることはできるのでしょうか。
『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、法律に関する身近な疑問や質問を北野と水曜アシスタント・大橋麻美子が紹介しています。
5月8日の放送では、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しました。
夜中に騒がしい隣人
今回、番組で取り上げた相談の内容は、次のとおりです。
「私は今のアパートに引っ越して1か月近く経ちますが、隣の部屋の騒音に悩んでいます。洗濯機や掃除機、テレビの音はアパートに住んでいる以上、仕方のないことだとは思いますが、問題はその時間帯です。
夜中の12時や1時頃に平気で掃除機を回したり洗濯機をかけたりされ、そのせいでなかなか寝付くことができません。また、夜中に誰かと電話をしていたり、歌を歌っていたり、その声もすごく気になります。声の大きさにも配慮がありません。
アパートの管理会社に電話したら、『注意します』とのことでしたが、結局その効果はなく今に至ります。こういう問題ってなかなか難しいとは思うのですが、法的手段に訴えることはできるのでしょうか」
訴えに必要な条件とは?
このような近所の騒音問題について、民事裁判を起こすことができるのでしょうか。
北野「騒音と感じるレベルを(記録するために)、例えばスマホでしばらく動画を撮り続けなアカンのですかね」
原先生「しばらく撮り続けるだけではなくて、音量計など数値化できるもので測って欲しいですね」
単に動画を見せてうるさいと訴えるだけだと、個人的な主観だと捉えられる可能性があるため、具体的に「何時間で何デシベルの音が出ているからうるさい」というように、客観的な数値を出す必要があるようです。
訴えるためにわざわざ音量計を買うのももったいないと思いそうですが、レンタルもあるそうです。
ただ、記録ができたとしても、1ヶ月ほどでは訴えにくいそうで、我慢の限界に来るまで何か月も記録を蓄積させなければならないですし、洗濯機だけでは訴えとしては弱く、生活音で片付けられるであろうと原先生は説明しました。
生活上の騒音は訴えにくい?
「それでもどうしても訴えたい!」となった場合、何を請求することになるのでしょうか。
まず考えられるのは慰謝料ですが、それ以外では、音が大きい原因の元を断つこと、洗濯機などの差し押さえや損害賠償も考えられるそうです。
ただ、この訴えに要する期間はかなり長く、調停でも半年以上、裁判だと1年以上かかるそうです。
大橋「騒音で眠れなくなった、うつになったとして、診断書が来ても同じことなんですね」
原先生「音と病状の因果関係を(証明するのは)医者が診断書を書いたとしても、簡単ではないですね。生活音はなかなか難しい。工場とか飛行機とか、そこまで行くとありますけど」
北野「工場だと近所からいっぱい苦情が出て、全体で訴訟するから前へ進みやすいやろうなと」
なかなか個人対個人で、生活の延長線上にある争いに関する訴えは、通りにくいようです。
裁判や調停以外の解決策は?
では、裁判以外で解決するにはどうすれば良いのでしょうか。
原先生「原始的ですけど、大家さんとか仲介業者さんとかに入ってもらって、洗濯機は10時までにしてくれとか、そういう話をするしかないですね。
とりあえず全員に告知するという形で、アパートの1階に貼り紙をしておくとか」
北野「相手方に一筆書いてもらうという方法も」
原先生「そこまでは…。だいたいは掲示板に貼ってもらって、暗に注意してもらう」
大橋「そういう人って見ませんよね」
角が立たないようにやんわりと伝えるあまり、結局迷惑をかけている人には伝わらないというジレンマも生じてしまいます。
騒音は自分で出していると気づかないものですので、掲示板に書かれている注意書きは、自分のことだと思いながら見る必要がありそうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2019年05月08日14時11分~抜粋