北野誠のズバリ

北野誠、秘蔵エピソードで内田裕也さんを偲ぶ

3月17日午前5時33分、ミュージシャンで俳優の内田裕也さんが、肺炎のため東京都内の病院で亡くなりました。

翌18日の『北野誠のズバリ』のオープニングでは、パーソナリティの北野誠が内田さんとのエピソードを語りました。
いったいこのふたりは、どのような間柄だったのでしょうか?

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意外な両者の縁

オープニングトークでこう語り始める北野。

「日本のラジオパーソナリティで内田裕也さんと3回ほど飲んだのは、たぶん僕ぐらいだと思います」

驚くアシスタントの松岡亜矢子とITジャーナリストの井上トシユキ。

北野「うちの実家には、内田裕也さんからもらったサングラスもあります」

今から25年ほど前、大阪で北野が担当していたラジオ番組で、映画のキャンペーンに来た内田さんをもてなすため、スタジオ中にポスターを貼りまくったとか。
内田さんはその光景を見てご満悦だったようで、「シェケナ」と声を発したそうです。
 

つけるんならつけ続けろ

これをきっかけに交流が始まったようで、北野が自身のビデオ企画に出演をオファーしたところ「いいよ」と承諾した内田さん。
ロケ先のとあるバーで2時間ほどしゃべった後、内田さんから「今日飲みに行くのかどうか、ハッキリしろ」との誘いに、「行かせていただきます」と答えた北野。

お店で内田さんのタバコに火をつけようとしたところ、内田さんが発したのは「誠、ひとこと言っとくけど、今日火をつけるんならずっとつけるんだな。つけないんならつけなくていい。つけるんならつけ続けろ」との言葉。

これを聞いて井上は「ブレはない人だから」と漏らし、松岡は「オンかオフか!」と形容します。
 

合い間にファッキン

その後大阪の知人と合流して食事をし、さらに北野を外国人が集うバーへ連れて行く内田さん。
そこでこんなやりとりがあったそうです。

内田「お前、英語できんのか?」
北野「そんなに得意じゃないです」
内田「じゃあ無理に話さなくていい。俺がちょっとしゃべるから」

「なるほど、しゃべらはんねんな」と思った北野、外国人らとボックスシートに座って様子を見ていました。

北野「内田裕也さんの英語で面白いなと思ったのが、なんでも合い間に『ファッキン』を付けはんねん」

井上「それ、かぶれてる日本の若いやつみたいですよ(笑)」

北野「ロックミュージシャンにかぶれてる『ファッキン』と『シェケナベイベー』と『ロックンロール』を使うおっさんやねん(笑)。『ファッキン』だけやたら聞こえてきて」
 

英語できるじゃねぇか

そんな内田さんを横目に、北野もいわゆるカタコトの"中学英語"で会話に参加していました。
が、揃ってトイレに行ったところ、北野は内田さんからこう言われてしまったそうです。

「誠、お前嘘つくんじゃねぇよ。英語できるじゃねぇか」

あわてて「この程度ではできてませんて!」とフォローする北野。
「普通に嫉妬してるオッチャンですよね。『お前のが俺より通じてる』って勢いじゃないですか」と笑う井上。

北野「正直言うと、内田さん『ファッキン』とか独特のスラング(俗語)を入れはるから、外国人がわかりにくいねん(笑)。俺なんか中学生程度やから。ファッキン・グレープフルーツとか、ファッキンいらんやん」

井上「(ファッキンは)マストではない(笑)」

名誉のために付け加えると、内田さんは海外を渡り歩いた経験もあり英語は堪能だそうです。
ただ、あまりにもスラングが多すぎてわかりにくかったという話です。
 

フィルターがドロドロ

ちなみに前述の"タバコの火つけ問題"ですが、北野は「つけ続ける」と宣言していました。
ところが外国人との会話に夢中になり、内田さんへの火つけをおろそかにしてしまった北野、タバコを咥えたまま自分でまったく火をつけず、腕を組んだ内田さんに気づきました。

北野「外国人が内田裕也さん見て怪訝な顔してるからハッと見たら、フィルターが唾液でドロドロになるまで咥えてはったわ」

井上「ブレはないんだね!」

松岡「真っ直ぐな人だ!」
 

誠、サリンだ…じゃあ

それからしばらくして、地下鉄サリン事件があった頃、北野は上京して三軒茶屋で住んでいました。
坂を下りて帰宅するところ、向こうから近づいてきたド派手な男性に気づいた北野。それは内田さんでした。

北野「北野誠です、ご無沙汰してます!」
内田「なんでこんなとこにいるんだ!」
北野「いま三軒茶屋に住んでて」
内田「そうか、東京の人間になったのか…。また機会があれば連絡するけどな」

会話を終えて、地下鉄の入り口へ向かう内田さんでしたが、突然北野の方へ戻って肩を叩いて、こう告げたそうです。

「誠、サリンだ…じゃあ」

サリン事件について、何か思うところがあったのでしょう。
 

なんでやねんってなんだ

東京での出会いも含めて内田さんとは5回ほど飲み、すっかり仲良くなったつもりでいた北野が、一度だけ怒られたことがありました。。
ある日、内田さんの笑い話に対し、関西人特有のクセで「なんでやねん!」と軽い気持ちでツッコミを入れてしまいました。

その瞬間、顔色が変わった内田さん、北野に低い声でこう言いました。

「なんでやねんって…なんだ!いま、なんでやねんって俺を叩いただろ」

関西出身で知人もいたはずの内田さん、まさか人生初の「なんでやねん」だったのでしょうか?

そしてこの日訃報に接した北野、最後にこう締めくくります。

北野「寂しいです。よくわからないけど、存在感のあるすごい面白い人やった。僕はかわいがってもうたというか奢ってたんやけど(苦笑)、謎のまま生きてはった」

内田さんとの強烈なエピソードはまだまだあるという北野、稀代のロックンローラーを独特な形で偲びました。
(ぴゆ太郎)
 
北野誠のズバリ
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2019年03月18日13時00分~抜粋

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