3月9日放送『北野誠のズバリサタデー』では、ITジャーナリストの井上トシユキが「ライドシェアにタクシー400台が反対デモ」という話題を取り上げました。
「ライドシェア」とは車の相乗りのことで、スマートフォンのアプリを使って車を呼ぶと、一般ドライバーが自分の車でやってきて、タクシーの代わりをするサービスのことです。
現在このような行為は、「白タク」といって当然禁止されていますが、経済産業省が解禁に向けた動きを見せており、それに対してタクシー業界が反対しているというわけです。
ライドシェアの利点
相乗りの利点は、何と行っても料金が安いということ、そしてタクシーがない地域でも、もし近所に車の登録者がいれば、タクシーとして利用できることです。
ユーザーにとっては良いことずくめのように見え、一方で売り上げが減るからとタクシー業界が反対しているように見えるのですが、意外とそんな単純な話ではないようです。
外国ではすでに導入されているサービスですが、アメリカやスペインでもタクシードライバーによるデモは起きており、ライドシェアの問題点も浮かび上がってきています。
まず井上は、前提として「日本と外国ではタクシーのシステムが全く違う」と語りました。
外国ではタクシーがあまり充実していない街が多いので、ライドシェアの必要性は高いが、日本はそこまで必要性が高くないことが考えられます。
また、特に日本では営業用の自動車免許取得が厳しいため、一般の人とタクシードライバーの差が激しいということになります。
ライドシェアでトラブル増加
日本ではまだライドシェアは禁止されていますが、すでにその問題点が現れてきているそうです。
東京や京都では、中国人観光客などに向けて、白タク業務を行っている車が増えてきており、そのドライバーの多くは日本の運転免許ではなく国際免許で運転しているため、交通法規を知らず迷惑行為が行われるケースがあるそうです。
また、観光地までの道を遠回りすることで料金を何倍も取ったりするなどのトラブルも発生しているそうです。
もちろん、ライドシェアすべてのケースでトラブルが発生するわけではありませんが、個人同士の契約であるため、トラブルが起きやすいものと言えます。
さらに、先行してライドシェアを行っているニューヨークでは、ドライバーの登録者数が3年間で8倍に増えたということで、ドライバー間で競争が激化。ライドシェアにより道路が混むことも考えられます。
行き過ぎた規制緩和はマイナス
ライドシェアが進むと、タクシードライバーが減ることは確実ですが、井上はタクシーが雇用の受け皿にもなっていると語り、今後移民受け入れが増加し、景気が下降した場合の受け皿がなくなることを危惧しました。
そして最後に、「何でもかんでも自由が良いということではなくて、規制のバランスをどこに置くかだけの問題なので、(ライドシェア解禁を)どこで線を引くかという議論に移った方が良い。どこが落とし所かという議論に切り替えていくべきだ」とまとめました。
値段が下がることや既得権益を減らすためにも規制緩和は必要なのですが、ことタクシーに関しては、交通安全の維持という重要な目的がありますので、解禁区域の検討なども含めて、ライドシェアの解禁は慎重に進めて欲しいものです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2019年03月09日10時50分~抜粋