10/17の『北野誠のズバリ』では、「外国人観光客が日本の選挙は静かで驚いた」という報道を受け、ITジャーナリスト井上トシユキが独自の観点から、今回の選挙を分析します。
静かな選挙
「名古屋にいても東京にいてもですね、今回の選挙は静かだなと思ってたんですよね。選挙カーがワーワー言うの、あんまりないっすよね」と井上トシユキ。
これには北野誠も大橋麻美子も賛同。
「実家に帰って、京都でも全然選挙カーがないので、不思議だなあと思ってたら、京都新聞社が、外国人観光客にお話を聞いたところ『ニッポンのセンキョ、静かでサプライズ』みたいな感じだったんですね」
一部、カタコト風に話す井上です。
「アメリカ人や中国人に聞いてるんですけど、アメリカの人なんかは選挙になると、もうスタジアムとかアリーナで演説は必ず行われて、聴衆が叫んだり指笛を吹いたりするけれども、日本人はしないのね、という感想です」
人と場所のミスマッチ
「今年は、特に静かだと思うんですけども、もちろん理由があるわけですよ」
過去に選挙の候補者から話を聞いた経験を話し始める井上。
郊外の選挙区に立候補している人の場合。
郊外で演説をしたり、選挙カーで回っても有権者はいません。みんな都心の方に働きに出て行ったり、おじいちゃんやおばあちゃんも集まってゲートボールしたり、病院に集まったりしています。
結局、選挙カーで住宅街を回っても誰もいないので、何の効果もないということです。
逆に都市の中心部で立候補している人の場合。
たくさん人はいるけれども、ほとんど郊外や他府県から働きに来ている人。いくら演説したところで、この人たちは自分の票にならない人たちです。
「今までの選挙は、そういうミスマッチが起きていたわけです。候補者はネットを使って何とかできないんですかね、って前から言ってたんですよ。2009年のあの政権交代の時も、与党野党、問わず異口同音に言ってました」
ネット選挙運動解禁で利便性アップ
2013年、当事者の意見や有権者からの声を受けて、ネット選挙運動が解禁されました。
これである程度、自分の政策、特に訴えたいこと、あるいは自分の日常などをネットを使って発信したり、自分の演説会の様子をネットを使って、皆さんに観てもらえるようになりました。
「選挙活動の時間は限られていて午後8時までしかできませんよね。それ以外の時間でも、ネットで見てもらえるということで、有権者も候補者も、利便性がアップしてきたわけです」
各党、ネットに力を入れ始める
「今回の選挙は、衆院選としては18歳以上に投票権が認められた初の選挙になります。候補者の皆さんは、若い人たちの票を何とか獲れないかと、いうことに知恵を砕いているわけです。
若い方は、テレビやラジオにあまり触れないですよね。ネットが主な情報源になっています。なので今回の選挙はネットシフトが凄いです」
いま検索エンジンで調べても、ニュースサイトを見ても、必ずどこかに政党の動画が出てきますし、その政党のページへのリンクも出てきます。
「若者と言えばSNS。Twitter、そしてインスタグラム」と大橋。
「どっかで誰かが駅前で演説したやつとか、結構、Twitterに上がってますよ」北野。
「いま10秒~1分ぐらいの短い動画を上げられるようになりましたね。ああいうので、コンパクトにパッパって載っけて、より詳しく知りたい方はこちら、みたいな形で、各党もの凄く熱心にやってますよね」
静けさの原因はネットシフト
「今回が、初めてネットが中心になってきた。今までの現実で『よろしくお願いします、よろしくお願いします』で、ドブ板踏んで握手してナンボ、というところから、ネットがメインになってきました。
毎日新聞が10月13日にまとめていたんですが、与党も野党も含めた各党、なんとか若い人を取り込めないかと言うことで、ネットに人も手間も金もかけてますよね。そこに人材を持ってきて専従の人を置いてます」
今回の選挙が静かな理由は、ネットシフトが進んでいるということ。
そのネットシフトを加速させているのが、若い浮動層を何とか取り込んでいきたいという各党の思惑です。
結局、蓋を開けてみないとわかりませんが、ネットの影響が問われる大きな選挙となるでしょう。
若者はどうする?
最後に井上が、新たに選挙権が与えられた若い層が、果たして選挙に行くのか?そして、どう考えているのかを語ります。
「若い子って、多少雨が降っても行くんですよ」
一方で高齢者は、人口減少によって投票所が遠くなり、辞退する傾向にあるようですが…。
「若い子、逆に行くようになるんですよね。どんなもんだろう?って、若い人は凄く選挙に興味を持っているみたいです」
6月に東大生に聞いたアンケート調査がネット上にあるそうです。
「やっぱりね、考えることは大人と一緒なんですよ。結構みんなね、『う~ん、他がないから、もうしょうがないかな』みたいな消去法だったり。
あるいは『ちゃんと海外に対する脅威について言ってくれてると、やっぱりな~』みたいな。割とオッサンと変わらないことを東大生が言ってたりして、これはこれで面白いですけどね」
今回の選挙、言われてみれば確かに静か。その裏には、こんな理由があったんですね。
投票はネットではできませんので、ちゃんと投票所に行きましょう。
(尾関)
北野誠のズバリ
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2017年10月16日15時25分~抜粋