3月10日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで『第96回アカデミー賞』が発表され、長編アニメーション賞に『君たちはどう生きるか』(原作・脚本・監督 宮﨑 駿)、視覚効果賞に『ゴジラ-1.0』(脚本・監督・VFX 山崎貴)が選ばれました。
3月12日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員がアカデミー賞について解説します。
映画芸術科学アカデミー主催
そもそもアカデミー賞とはなんでしょうか?
後藤「アメリカ映画界で実績を残した監督や俳優や制作技術スタッフなどで作る団体、映画芸術科学アカデミーというところが主催する映画賞です。
アメリカ映画界に貢献したすぐれた映画の制作にかかわった人たちを表彰するという目的でスタートしました。第1回は1929年に授賞式が行われました。
ヨーロッパで有名な三大国際映画祭、ベネチア、カンヌ、ベルリンに比べても古いです。これらは1930年代から40年代以降ですから」
元はハリウッド映画界の賞
アカデミー賞が作られた当初は、西海岸のアメリカ映画界の内輪のイベントでした。
後藤「ハリウッド映画界の内輪の会で、基本的にノミネートされる映画の条件は、ハリウッドがあるロサンゼルス及び近郊で、映画館で7日以上上映された作品という条件がついています。
授賞式にノミネートされる部門は、最初は作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、など主要な部門が中心でしたが、特殊効果の賞ができたり、新しい部門賞がどんどんできました」
多田「だんだん全米でも注目されて、すごい映画賞になって、さらには今は国際長編映画賞などあって、世界の映画を対象にしています。ただあくまでも、興行としてのアメリカ映画を盛り上げようというのがそもそもの目的だったんですね」
誰が選ぶ?
賞はアメリカ映画芸術科学アカデミーの会員の投票で選ばれますが、どんな団体なのでしょう?
後藤「投票資格者はおよそ9,000人。いま影響力が大きくなってきているので、ロス以外にもいろんな映画関係者が投票権を持つようになってきて、9,000人に膨れ上がりました。
ハリウッド映画に出演歴のある渡辺謙さんもメンバーのひとりだといわれています」
どういう人が投票権を持っているかは明らかにはされないんでしょうか?
後藤「大勢の投票なので、公平になるとは思いますが。今までの歴史では白人優位、男性優位と言われましたが、それも修正されてきていますし、今後、男優とか女優とかに分ける意味があるのかというジェンダーの意見もあります」
賞金は?
世界の映画マーケットへの影響力は絶大です。ここで選ばれると、その後の作品の興行成績は大きく跳ね上がると言われていて、監督や俳優にとっても、アカデミー賞を獲るというのは、映画史に自分の名を残す最高の栄誉だと言われます。
後藤「ちなみに賞をもらっても賞金はいっさいなく、オスカー像をもらうだけです。だから栄誉なんです。
過去には受賞によって歴史に残る名作は数々あって、例えば『風と共に去りぬ』『ウエスト・サイド・ストーリー』『ゴッドファーザー』『シンドラーのリスト、『タイタニック』…特に作品賞に選ばれたものは錚々たるものだし、世界中で大ヒットしました」
過去の受賞作を見る限り、やはりアカデミー賞は別格と言えそうです。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2024年03月12日07時20分~抜粋