多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

親にとっては遠くて近い。「教育委員会」ってどんなところ?

どの自治体にもある教育委員会。
最近、名古屋市教育委員会の事務局に現金や商品券などが渡っていたのでは、ということが問題視されています。

2月27日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、教育委員会という組織について、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が解説しました。

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成り立ち

教育委員会とはどういう組織なのでしょう。

後藤「民主主義教育へ転換するために、戦後間もない1948年に教育委員会法という新しい民主主義社会を作るための法律ができて発足した組織です。

戦前のように国家による教育に対する不当な支配を排除するのが目的でした。住民参加を重視するアメリカの仕組みを取り入れて、当初、教育委員は住民の投票で選んでいました。

1956年に新たに法律ができて、都道府県知事や市町村長が教育委員長を選ぶという今の制度に変わりました。
いま全国の都道府県、市町村にはすべて配置されていて、教育長と5人を基本とする教育委員で構成されます。それ以外に事務局の職員がたくさんいます」

ポイントは、戦後、民主主義教育への転換のために法律が作られてできたものが教育委員会ということです。

3つの仕事

教育委員会の業務について説明する後藤委員。

後藤「主な仕事は3つあります。学校教育に関する仕事。文化振興に関する仕事。スポーツ振興に関する仕事。

学校教育は学校の設置、新設、管理全般を仕事としています。教科書の採択とか、給食の仕組みの管理、生徒指導に関する指針を示したり、教職員の採用、人事異動に関する権限を持っています。

文化振興は、文化財の保護や博物館の運営管理、文化的なイベントを実施したりしています。

スポーツ振興はスポーツ施設の運営管理、スポーツイベントの企画や実施。スポーツ指導者の育成もしています。幅広い仕事をしています」

金品の授受の見返りは?

今回、名古屋市教育委員会が金品を受け取っていたと問題視されています。こういった問題はなぜ発生するのでしょう?

後藤「教職員の人事権を持つのが教育委員会。教育委員会を頂点とした教職員の村社会では、中央集権的な学校管理の装置になっているのでは、という指摘があります。

今回のように、いろんな団体が教育委員会に対して推薦をする時に、金品の授受をすることが慣例化していたのは、暗黙のうちに校長、教頭など管理職の人事に対してよろしくね、というようなことを含んでいた可能性があるのでは、ということで調査が進んでいます」

教職員の利益のため?

教育の民主化を進めるための制度が、中央集権的になっているのが教育委員会の問題です。

後藤「事務局にたくさん職員がいますが、その多くが学校の教員出身者で占められていて、全体の行政のベクトルが教職員の利益を考えて動く組織になっていると指摘されています。

本来の理念だった住民参加はどこへ行ったかとなっています。
現在さまざまな問題が教育現場で起きている。これは本来住民の協力と意見の反映が必要不可欠なはずです。教育委員会の仕組みや意思決定に住民の意見をどう反映するかという新しい改革が求められているのではと思います」

最後に「原点に立ち戻った改革が必要だと思います」とまとめた後藤委員。

教育というこどもの発育や成長に必要なところで、校長や教頭などの人事に何か影響があるとしたら大変なことです。しっかり見届けていきたいですね。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2024年02月27日07時19分~抜粋

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