多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

窓、間口、空気まで?おかしな税制あれこれ

2月16日から確定申告が始まりました。
今年は特に国会議員のいわゆる裏金問題によって、納税者の間で不満が高まっている状態で、あらためて税金について考えさせられる機会となっています。

2月16日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、さまざまな角度から「税金」について解説しました。

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「税」の語源

一説によると「税」という字には「穀物を抜き取る」という意味があるそうです。
英語の「tax」にはもともとラテン語で「算定する、評価する」という意味があるそうですが、タクシーと語源は同じです。
それは、タクシーにはメーターがついていて、料金を算定しているからです。

石塚は税金の歴史について、「取りたい側と取られたくない側の攻防の歴史でもある」という見方を示しました。

最も単純な徴収の仕方は、人頭税という誰でも等しい税額にするというもの。そうすると、家族の人数をごまかすケースが増えてきます。

かつて旧約聖書をもとに、農民は収穫の10分の1をカトリック教会に寄付していましたが、その仕組みが次第に税金にも使われるようになりました。

おかしな税制あれこれ

その後、あらゆる理由をつけて何とか税金を取ろうとする動きがあちこちで起こります。中にはおかしなものもありました。

例えば18世紀のフランスでは「空気を吸っているんだから税金を払え」と、空気税を提唱する財務長官がいたそうです。さすがに採用されることはありませんでした。

イギリスでは金持ちほど暖炉を持っているということで、「暖炉の数で税金を決める」という仕組みがありました。暖炉を数えるために税務担当者が家の中まで入らなければならず、プライバシー侵害の観点で評判が悪いものでした。

今度は外から調べられるように、通りに面した窓の大きさや数で税金を決める「窓税」というものができました。
取られる側からすると当然窓を潰すようになり、換気ができない家が増えたため、健康衛生上の問題も発生しました。

実は昔の日本にも「窓税」に似た「間口税」というものがありました。これも「金持ちほど家が大きいから間口も多いだろう」という発想です。
そのために間口は狭く、奥に広がる「うなぎの寝床」といわれる家が増えました。特に京都の家屋で有名ですね。

税制が時代を作る?

税金によって時代が動くということがあります。

例えばインドへ香辛料を買いに行こうとした時、オスマン・トルコを陸路で通ると税金がかかるため、それなら海路で直接インドへ行こうとする動きが高まりました。
これが「大航海時代」のきっかけのひとつになったといわれています。

また、日本では以前、発泡酒や第3のビールが相次いで生まれましたが、これは酒税の高いビールを何とか税金を安くして出せないかという対策からできたものです。

最近ではビールと発泡酒などで酒税の差を減らす方向に向かっていて、これも取る側と取られる側の攻防といえます。

その他にも健康や環境のために税金を取るということもあります。

税金は本来国民のために集めるものなので、「取る」「取られる」というものではないのですが、正しく使ってほしいものですね。
(岡本)
 
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2024年02月16日07時21分~抜粋

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