多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

大きくてもやわらかい!ほぼオスの養殖うなぎを「メス」に育てる技術を開発

愛知県の水産試験場が新しいタイプのうなぎを開発しました。その名も「 葵(あおい)うなぎ」。これは、大きくてもやわらかくておいしいうなぎだそうです。

2月5日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、この葵うなぎについて、愛知県水産試験場の戸田有泉さんに詳しい話を伺いました。

新しく開発した葵うなぎは、一体どんなうなぎなのでしょうか。

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9割以上がオスの養殖うなぎ

戸田さんいわく、葵うなぎは「大きくて“も”、やわらかくておいしいうなぎ」。

この短いコメントの中に、実は大きな意味が含まれています。それは「大きくても」の、“も”です。

愛知県のうなぎは養殖うなぎですが、完全養殖ではなく、天然のシラスの稚魚を養殖場で大きく育てて商品化しています。

シラスの稚魚は5~6cm。この段階ではまだ雌雄は決まっておらず、大体30~35cm以上で識別が可能になります。この大きさになるまで、養殖では数か月、天然では年単位の時間がかかるそうです。

自然界では半々またはメスの方が多いといわれているものの、通常の養殖では9割以上がオス。

高水温や高密度などの養殖環境が要因のひとつとされているそうですが、はっきりしたことはわからないといいます。

餌に「大豆イソフラボン」を混ぜる

流通しているサイズは、大体200~250gのうなぎ。

オスの場合、これ以上大きいものは硬くなってしまうというデメリットがあります。
一方メスは、大きくてもやわらかいうなぎのままなのだそう。

愛知県水産試験場はこの部分に着目し、新しいうなぎを開発しました。

まだ雌雄が決まっていない小さいうなぎの時期に、「大豆イソフラボン」を混ぜた餌を与えると、9割以上をメスにすることができるのだそう。

まだまだ謎が多いうなぎですが、大豆イソフラボンがメスのホルモンと同じ作用をするのではないかと考えられているそうです。

一尾を大きく育てるメリット

ほとんどの養殖うなぎをメスにすることは、「資源」にとっても大きな成果だといいます。

現在の養殖形態は、天然の種苗をシラスウナギに依存しています。シラスウナギは資源が減っているので、一尾を大きく育てることには大きな意味があります。

例えば、今までは一尾のうなぎから1つのうな重しかつくれなかったものの、2つつくることができるというメリットがあります。資源の有効利用の観点から見てもプラスになります。

しかし、業者の流通や飼育場の環境などを考えると難しいところもあります。

餌代がかさむデメリットも

一尾を大きくするということは、飼育期間が延びるということ。商売としては早く出荷して、お金にしたいという本音があります。その間、餌も与え続けなければならないため、餌代が余分にかかるというデメリットもあるのです。

出荷の金額を考えると、すべてのうなぎの稚魚に大豆イソフラボンを与えて、すべてをメスにする、というのは養鰻業としては今すぐ動けるものでもないようです。

現実としてはまだまだ難しい問題もありますが、技術としてはほぼすべてのうなぎを大きくておいしいメスにするということは可能になってきています。
(minto)
 
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2024年02月05日07時18分~抜粋

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