多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

土俵裁きだけじゃない!大相撲に欠かせない「行司」の知られざる役割とは

東京・両国の国技館で初日を迎えた大相撲初場所で、行司の最高位・木村庄之助が約9年ぶりに復活し話題となっています。
行司といえば、取り組みを裁く仕事と思われがちですが、実はそれ以外にもさまざまな役目があるようです。

1月18日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、「行司博士」の異名をとるCBCの西村俊仁アナウンサーが、奥深い行司の仕事について解説しました。

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取組後の場内アナウンスも

行司といえば、取組で勝った方の力士を軍配で指し示す仕草が、まずは思い浮かびます。

土俵上で見るといわゆる審判・レフリーの役割という印象がありますが、見えないところで実はたくさんの仕事をしているそうです。

例えば、割場で日々の取組の勝敗の記録を付ける係、そして翌日の取組の編成を考える係。場所の後半に同じような星取の力士同士の取組が行われることが多々ありますが、この第一案も行司が考えているそうです。

「ただいまの決まり手は寄り切り。 寄り切りで〇〇の勝ち」など、取組後の「場内アナウンス」も行司の大切な仕事のひとつです。

45人で大相撲をマネージメント

行司は合計45人の定員制。この45人で手分けをして、さまざまな仕事を行っています。

本場所中はもちろん、本場所中以外も仕事はあり、番付の編成はもちろんですが、その番付を独特な「相撲字」で書くのも行司の仕事。地方巡業の旅程づくりといった渉外も行っています。

つまり行司は、大相撲という興行を取り仕切る役目。いわば大相撲全体のマネジャー、イベンターの役割を担っています。

土俵上での裁きは、行司の仕事のほんの一部にすぎないのです。

力士のように「部屋付き」

力士のように、行司も各部屋に所属しています。

「裁く人がどこかの部屋にいると、肩入れしてしまうのでは?」という気もしますが、「勝負審判」もいるため、行司が裁いた審判が必ずしも絶対ではありません。

このように公平性が保たれているので、行司が相撲部屋に所属していることは問題にはならないのです。

部屋では、番付の発送、冠婚葬祭のあて名書きや連絡といった事務作業の他、後援会との折衝なども行っています。

行司が各部屋に付くことのメリットとしては、「ずっと稽古を見ていられる」というところにあります。取組を多く見ることで目が肥え、勝負勘が養えるという利点もあるのだそう。

行司の8階級

今回話題となっているのが、行司の最高位・木村庄之助が約9年ぶりに復活したという点。

江戸時代以降、有力だったのが木村家と式守家。これが今もそのまま行司の名前となっています。つまり行司は、木村〇〇または、式守〇〇ばかり。力士のしこ名のように、階級によって名前が変わります。

行司は全部で8階級あります。いわゆる横綱にあたる最高位・立行司(たてぎょうじ)が、木村庄之助と式守伊之助のふたり。

この下に、三役格行司、幕内格行司、十両格行司、幕下格行司、三段目格行司、序二段格行司、序ノ口格行司と続きます。

この階級によって待遇が変わります。わかりやすいのは、土俵上における装束です。

式守伊之助から木村庄之助へ

立行司は印籠と短刀を携え、足元は足袋に草履。低い階級では、持ち物は軍配のみで、足元も裸足であったりするようです。

最高級の立行司は、その日の最も良い戦いを裁く役割があります。「もし差し違え(誤審)があった場合は、私は切腹するぐらいの覚悟があります」という真剣さと責任の証なのです。

今場所で木村庄之助が復活、とありますが、先場所までは式守伊之助が結びの一番を裁いていました。

実は、このふたりは同一人物。先場所までの式守伊之助が木村庄之助に格が上がったということです。
木村家と式守家は、相撲におけるいわば東と西のようなもの。これは昔からのしきたりです。

大相撲中継を見る時は、行司にも注目してみるとさらに面白くなりそうです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2024年01月18日07時19分~抜粋

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