多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「サル痘」「プール熱」の呼称廃止へ。病名が変わる理由

昔から使われていた病名が、ある時を境に変わる時があります。

最近では世界保健機関(WHO)が、「サル痘」から「エムポックス」という病名に変えると発表しましたが、なぜ、病名を変えるのでしょうか?

1月10日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が、さまざまな病名の付け方について解説しました。

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一般的な病名の付け方

そもそも、病名の由来にはどのようなものがあるのでしょうか?

多くは病気が発生した地名や患者の症状を見て付けられたり、発見した研究者の名前が付けられたりしています。

例えば「エボラ出血熱」は、患者の出身地がアフリカのエボラ川周辺だったからです。
「黄熱病」は患者の一部で皮膚が黄色くなる黄疸の症状があったため。
「パーキンソン病」は発見したイギリスの博士の名前にちなんでいます。

日本で「〇〇氏病」という名前が付けられているのは、発見者の名前にちなんでいます。

冒頭に紹介した「サル痘」は、初めて発見されたのが、実験に飼育していたサルからだったからです。

症状は天然痘に似た発疹が見られるため、天然痘を英語にした「スモールポックス」に対して「モンキーポックス」と呼ばれ、それが日本では「サル痘」と訳されたのです。

医学の進歩で変わる病名も

サル痘が「エムポックス」に病名が変わった理由は、2022年世界的にヒトも症状を表すケースが多発した際、患者に対して「サルの病気にかかった」と侮辱的差別的な言動をすることが問題になったことです。

そこで「モンキー」が「エム」に変わったのです。

ただし、この「エム」は結局モンキー(Monkey)由来ですが、曖昧にする効果を狙っているようです。

病名を変えたケースでは、古くは「労咳」(ろうがい)というものがあります。
当初、過酷な労働や疲労によって咳がひどくなり衰弱する病気だと考えられたため、命名されました。

しかし医学の進歩により、原因が結核菌だとわかったため、病名が「結核」に変わりました。

近い将来「プール熱」も消える?

その他、使われなくなった病名に「精神分裂症」というものがあります。

これは「精神が分裂する」という表現が病気の実態を表していないと科学者などが指摘し、専門家が議論を重ねた上で、2002年に日本精神神経学会が「心をうまく統合できない」という意味で「統合失調症」という病名に変更。
厚生労働省も関係法令や診療報酬の病名などで変更するようになりました。

後藤はここで、「時代の流れや医学の進歩に伴って、正しい病名に変えていくということがあるわけですね。社会にどういう偏見や差別を生んでしまうのかという反省の上に立っている」とまとめました。

なお、今回紹介した病名以外にも、今後変更される可能性のある病気はあります。

例えば「プール熱」はプールが感染源になるとは限らず、プールが危険だというイメージを変えるべく、日本水泳連盟などが呼称を止めるよう、厚生労働省に申し入れています。
すでに「咽頭結膜熱」や「アデノウイルス熱」という名があるため、いずれ変更される可能性もあります。
(岡本)
 
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2024年01月10日07時19分~抜粋

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