多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

貿易や安全保障で重要…スエズ運河ってどんな運河?

11月20日、日本郵船がチャーターした貨物船が、紅海でイエメンの反政府勢力フーシ派に拿捕されたことがわかりました。
この貨物船は地中海からスエズ運河を通って紅海に入ったことがわかっています。

11月22日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、今回の舞台となった「スエズ運河」についてCBC論説室の石塚元章特別解説委員が説明しました。

[この番組の画像一覧を見る]

スエズ運河の必要性

スエズ運河の場所はエジプトの東側にあり、北に地中海、南に紅海があります。

ヨーロッパからアジアに船で行こうとすると、アフリカの南側を通るといったかなり大回りをしなければならないため、ショートカットできるスエズ運河は必要性の高い運河です。

運河の構想は古代エジプトからあり、王様のファラオがナイル川から東西に運河を掘って紅海に抜けるようにしたことが伝わっていますが、この運河は現存していません。

19世紀になり、フランスの外交官だったレセップスがエジプトに駐在していた時、王様に運河の建設を進言したことで、1858年に運河を作るための会社、国際スエズ運河会社を設立しました。
イギリスやフランス、エジプトの出資を受けて翌年に着工、10年かけて完成しました。

スエズ運河の歴史

完成後、イギリスが運河会社の株を大量に購入したことによって、エジプトにあるのにもかかわらず、実質的にスエズ運河はイギリスの所有物となりました。
スエズ運河を所有することによって、経済的な恩恵を受けるのはもちろん、アジア方面の軍事的なメリットも大きかったようです。

しかし、エジプトは目の前に運河があるにもかかわらず、何も収入が得られなかったのです。

その後、エジプトのナセル大統領がスエズ運河を国有化したことがきっかけで、戦争が勃発しましたが、現在はエジプトが管理しています。

かつて「成せば成る、ナセルはアラブの大統領」というダジャレがありましたが、まさに成せば国有化を実現できたわけです。

スエズ運河の大きさ

スエズ運河は地図上は小さく見えますが、長さはなんと190kmあります。幅も現在では大型船が通れるように拡張されて平均200mとなっています。

ただし、大型船がすれ違うには十分な幅ではなく、途中に待機するための湖が設けられています。

またスエズ運河を通る場合は、船団方式といって、原則は一方通行で何隻かまとめて航行するようになっています。

もしスエズ運河がなければ、アフリカを回るために1、2週間ほど余分にかかると見られ、かなりの恩恵をもたらしています。

いま注目されているガザの紛争では、アメリカの軍艦がスエズ運河を通るなど、安全保障においても大きな役割を果たしています。
ただ、今回の拿捕事件によって、紛争がさらに紅海にまで広がるのではないかという懸念が持たれており、世界から注目されています。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2023年11月22日07時22分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報