多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

干し柿に渋柿を使う理由は「甘いから」。一体どういうこと?

「今年も夫が干し柿を作りました」

11月13日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)には、リスナーAさんからこんな投稿が寄せられました。

干し柿にする柿は、渋柿を使うのが一般的です。そのままではとても食べられない渋い柿は、干すことでとても甘い柿になります。
そこにはどんなメカニズムがあるのでしょうか?

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夫の干し柿は大成功!

Aさんの投稿の続きを、多田しげおが読み上げていきます。

「皮を剥いて吊るして。夫がすべて自分でします」(Aさん)

これ以外にも消毒をする、揉むなど、干し柿づくりには細かい作業がいろいろとあります。

「2週間ほど前に作ったものが、だいぶ硬くなってきたので、今朝試しに1つを半分こして食べてみました」(Aさん)

「半分パカッとやると、中からゼリー状のものが。つやつやしてね」と、甘い干し柿に思いを馳せる多田。

「食べてみると『イケるね!』」(Aさん)

どうやら、Aさんの夫が作った干し柿は大成功だったようです。

渋柿の方が甘い?

干し柿は通常、渋柿から作ります。お店で売られている甘い柿とは異なり、そのまま食べると舌を突き刺すような渋みを感じる柿です。

多田「こどもの頃、甘柿・渋柿の区別なんか知らずに柿にカプッとかぶりついたら『なんだこの渋いのは!』という。人生すべてを裏切られたような感じになった瞬間を覚えています」

名前に「渋」とつくだけあって、そのままではとても食べられない渋い柿。それなのに、干し柿にすると「甘くなる」のはなぜでしょう?

多田「もともと渋柿にも甘みはたくさんあります。むしろ糖度は、普通の柿よりも高いぐらいだといわれてるんです」

渋柿の方が、普通の柿よりも糖度が高い。これは一体どういうからくりなのでしょうか?

正しくは「渋みがなくなった」

その答えは、甘みを上回るほどの渋みの正体「タンニン」にありました。

タンニンの濃度が高いこと、そしてそのタンニンが水溶性であるため、渋柿が渋く感じるのだそうです。
渋柿を口に入れると唾液にその渋みが溶け、舌を突き刺すような渋みを感じるようになります。

しかし干し柿を作る過程で、渋柿の実の中に発生した「アセトアルデヒド」と結合したタンニンが、水に溶けない性質に変わることで、口の中に入れても渋みを感じなくなります。その結果、高い糖度だけが残って、普通の柿よりも甘い柿になるのです。

つまり、干し柿は「甘くなる」わけではなく、「渋みがなくなった」結果、甘みだけが残るのです。

奈良時代の先人の知恵

多田「先人たち、誰がこういう理屈を発見して考えたのか?」

日本では、奈良時代からこのように干し柿を作っていたそうです。

多田「最初はほったらかしにされていた渋柿を試しに食べてみたら『あれ?渋くないじゃん、甘いじゃーん』という風に。奈良時代の人は『じゃーん』とは言わなかったでしょうけど(笑)、そういうことを経験的に知ったということなんでしょうね」

当時は「甘い柿を食べたい」という目的ではなく、「保存食」だったという干し柿。奈良時代の人が経験から知った食べ方で、現代に暮らす我々も恩恵を受けている。なんともロマンを感じる干し柿の話でした。
(minto)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年11月13日08時04分~抜粋

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