多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

今なら炎上?花を盗んだ相手を歌で批判した平安時代

10月6日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、「盗む」をテーマに、さまざまなエピソードを紹介しました。

放送翌日の10月7日は「盗難」という語呂合わせで、日本損害保険協会が2003年に「盗難防止の日」と制定しており、車上荒らしや自転車盗難、住宅侵入など、あらゆる盗難の帽子に関する啓発が行われています。

「盗みを働いたことがありますか?」と聞かれると、ほとんどの人は「そんなのしていない」と答えられるかもしれませんが、最後には「実は何か盗んでいたかもしれない」というお話です。

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盗みの神様がいた!?

太古の時代には「泥棒の神様」がいたそうです。
ギリシャ神話のヘルメスは生まれてすぐにゆりかごから抜け出し、他人が飼っていた牛50頭を盗んだと言われています。
ただ、羽根の生えた杖を持って世界中を速く飛び回れることから、交通や商売の神様でもあります。

実際に泥棒を早くから生業としていたのはエジプトで、その中でも墓泥棒。
王様の墓ができるとすぐに入って、副葬品を持ち出そうとしていたそうです。

また、18世紀から19世紀頃のイギリスでは、土葬された遺体が盗まれる事件がよくあったそうです。
その理由は医学の進歩のために、解剖して研究しようとしたことがあるようです。

自分の身内の遺体を盗まれて解剖されたくない遺族が、自警団を組む動きもあったようです。

義賊は本当にいた?

よく物語などで、私欲のためではなく盗みを働く「義賊」というものが出てきます。

例えばイギリスではロビン・フッド、日本では石川五右衛門やねずみ小僧が有名ですが、実際には貧しい人などに還元していなかったのではないかという説もあります。

なぜ、義賊は物語で盛り上がるのでしょうか?

当時は貧富の差が激しくなり、横暴な権力者に対して貧しい大衆という社会の構図がありました。
庶民が応援したくなる義賊は「現実に存在していて欲しい」という願望が反映していたのだろうと推測する石塚。

ちなみにイギリスの歴史家エリック・ホブズボームは、義賊のことを「社会的盗賊」と名付けています。

花盗人が論争に

花の枝を折って盗む人のことを「花盗人」といいます。

盗むのはもちろんよくないことですが、風流という考え方もあります。
「花盗人が良いか悪いか」という論争はすでに平安時代からありました。

冷泉天皇の息子である敦道親王が、京都の桜の名所で枝を折って持って帰り、「われが名は花ぬす人と立たば立てただ一枝は折りてかへらむ」という歌を詠みました。
「花どろぼうだというわたしのうわさが立つなら立ってもかまわない。ひと枝だけでも折って持ち帰ろう」という意味の開き直りとも取れる句です。

これに対して、枝を折られた場所の主人である藤原公任は「山里のぬしに知らせで折る人は 花をも名をも惜しまざりけり」と返しました。
「許可も得ずに花を折るような人は、花だけではなく名誉も大事にしない」という皮肉です。

歌だと風流な感じがしますが、今だとSNSで公開やり取りをして、外部からどんどん批判が来て炎上するパターンになるのでしょうか。

この他にも、芸や技を先輩から盗んで自分の成長につなげるということもあるなど、犯罪ではなくても盗むことはあるのではないでしょうかと、まとめた石塚でした。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年10月06日07時21分~抜粋

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