10月3日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)では、「保護司」を取り上げました。
保護司とは罪を犯した人たちの更生を支える人です。
実はこの保護司の担い手不足が大きな社会問題となっています。
いま保護司の直面している問題について、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員に聞きました。
保護司とは?
そもそも「保護司」とはどういう人たちですか?
後藤「犯罪や非行をした人たちが社会の一員として立ち直っていくのを地域で支える民間ボランティアです。
全国で約47,000人の方がいらっしゃいます。
立場上は法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員ですが、ボランティアです」
3つの主な活動
具体的にはどんな活動をしているのでしょうか?
後藤「主な活動3つです。
ひとつは保護観察。家庭裁判所で保護観察の処分を受けた少年や少女、刑務所の服役途中で仮釈放を許された人たちなどが、保護観察という立場になった時、生活上の相談に乗ったり、社会の一員として社会復帰するためのアドバイスをするものです。
2つ目が生活環境を整備する仕事。
スムースに社会の中に溶け込めるように住宅を確保する手助けをしたり、仕事を探す手助けをしたり、生活の基盤を整えてあげる支援をする仕事です。
3つ目は犯罪予防活動です。その人たちが再犯しないように支援するシステムです。
受け入れる地域社会の偏見をなくしたり、温かく受け入れるようにしたり。そのためにはシンポジウムやセミナーを開いたりします」
多田「社会の中で非常に大きな役目を担っていますね」
民間のボランティア
意外にも民間のボランティアなのです。
後藤「だから給料は支給されません。ただし、交通費など活動の実費は支払われます。
実際にどんな人がやっているかというと、本業がある人、農業、自営業、主婦、定年退職後のお年寄りがこういったボランティア活動に参加しているなど、いろいろな方がいます」
多田「人生経験が豊かで、自分の生活が余裕がなければいけないですね」
どんな人がなる?
保護司になるために試験や資格はあるのでしょうか?
後藤「ないです。ただ保護司法という法律があって、条件を満たす候補者を法務省の地方機関が選ぶ、その推薦に基づいて選考を経て、決定するものとされています」
その人の熱意が大変重要ですね。
後藤「その保護司法で定められた条件は、人格と行動が社会的に信頼されている人。熱意がある人。時間的な余裕がある人。生活が安定している人。そうでないとできないのが保護司です」
現状と対策
保護司の現状はどうでしょうか?
後藤「急速に高齢化が進んでいます。全保護司の方の8割が60歳以上です。平均年齢は65歳だそうです。
数も2016年には48,000人ほどでしたが、2021年には1,500人ほど減少しました」
その対策はあったのでしょうか?
後藤「2021年に保護司を続けられる年齢を76歳までだったのを78歳に引き上げました。それで保護司さんの数が増えましたが、高齢化はしました」
高齢化社会の中で
後藤「働く世代の40歳代、50歳代の人が本来は余裕もあるし、この世代を増やしていきたいですが、この世代そのものが少子高齢化で、いま働く世代が減っています」
さらに余裕のある人は減っていますね。
後藤「どうやって若い世代になってもらえるようにしていくか、あるいは78歳の年齢制限をさらに上げて人数を増やすか、難しい問題です」
多田「保護司を巡っても、こういう一断面が日本の社会にはあるということですね」
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年10月03日07時48分~抜粋