多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

小さくてもおいしいマアジ。一体どこで生まれているの?

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)、毎週木曜日の「愛ちゃんと木村先生」は、加藤愛アナウンサーが、三重大学名誉教授でおさかな博士の木村清志先生から魚に関するあれこれを学ぶコーナーです。

9月14日放送のテーマは「アジ」。日本近海に約50種類が生息していますが、私たちが普段スーパーで目にするのはほぼ「マアジ」です。
このマアジ、一体どこで生まれているのでしょうか?

[この番組の画像一覧を見る]

生態の異なる2つのグループ

マアジの主産卵場は東シナ海です。東シナ海から日本の方に回遊してくるグループが主ですが、日本各地で産卵して、居付いているグループもいます。

生態的には異なるグループですが、どちらも種類は同じマアジ。交雑していて、遺伝子はそれほど変わりません。

加藤「えーなんか不思議ですね!」

木村先生「いや、そういうことはよくあるんですよ」

資源量の大きさにもよりますが、生き方を変えるのはよくあることのようです。

サンマよりも庶民の味方

回遊しているマアジは黒っぽくて細長く、居付いているマアジは黄色または金色っぽくて太っているという違いがあります。味は居付いている方がおいしいといいます。

加藤「それはやっぱり回遊魚の方が、結構動き回るから?」

木村先生「そうですね。太らないっていうのがありますよね。でもアジは本当に小さいうちから大きくなっても、おいしい魚ですもんね」

サバは大きければ大きいほどおいしいですが、アジは幼魚のうちからおいしい魚。サンマが高級魚になってしまった今、アジこそが庶民の味方といえるかもしれません。

マアジの見分け方

マアジには、学問的には「稜鱗(りょうりん)」と呼ばれる硬い鱗のようなトゲ状の部分があります。これはスズキ目 アジ科 アジ亜科の魚だけが持つ特徴です。

稜鱗は一般的には「ぜいご」や「ぜんご」と呼ばれている、側線の上にある鱗です。

いろいろな役割がありますが、ひとつはやはり体の防御。マアジの稜鱗は、頭の後ろから尾びれの手前まで側線に沿って広がっています。

しかし他の多くのアジ亜科の魚は、側線の真ん中ほどから後ろまでが多いそうです。頭のすぐ後ろから稜鱗が始まるのは、マアジ属の特徴です。

マアジによく似た「マルアジ(アオアジ)」は、硬い鱗は体の真ん中より後ろにしかありません。

時折、マルアジをまるで「マアジ」のように「アジの干物」として販売しているお店があります。決してマルアジの味が劣るというわけではありませんが、このあたりは覚えておくとよさそうです。

はるか昔からある魚

日本人にとって、非常に身近な存在のマアジ。「味が良いからアジ」という名前が付いた、という話もあるそうです。

縄文時代から食べられていた証拠に、貝塚の中からマアジの骨が見つかっています。

加藤「歴史もすごく長いんですね」

木村先生「日本人だけじゃないんですけどね。マアジ属は世界中のどこでも食用魚として重要な魚ですね」

マアジははるか昔から、人類のタンパク質摂取を支えてくれていた魚であるようです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2023年09月14日08時30分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報