多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

身近な化学物質、PFAS(ピーファス)は健康に影響があるのか?

最近、国内の河川や井戸水から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物=PFAS(ピーファス)が高い濃度で検出されています。
今月7日には岐阜県各務原市が、水源地周辺の井戸から国の暫定的な目標値を超える濃度で検出されたことを公表しました。

しかし、PFASについてはその危険性も含め、実態がわかっていません。

9月12日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、このPFASについて、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が解説しました。

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身近にあるPFAS

最近ニュースで耳にするようになったPFAS。環境の中に入っていっても壊れずにどんどん蓄積されていくそうです。
PFASはどのような物質なのでしょうか?

後藤「自然界には存在しない人工的に作られた化学物質です。
1940年代から製造され始めたもので、特徴として、燃えにくい、熱に強い、水や油をはじくなどすぐれた性質があります。そのため化学工業分野ですぐれた溶剤、洗剤で使われていって広まっていったものです。

自動車のコーティング剤とか、消火剤にも含まれていますし、撥水の包装紙にも使われています」

健康への被害は?

その安定性により長年使われてきたPFAS。しかしその安定性が問題となっていると語る後藤委員。

後藤「安定しているということはこれが環境中に排出されますと、自然界の中では分解されずにどんどん蓄積されるということにつながります。

環境中に排出されたPFASが土や地下水を通って、生き物たちの食物連鎖を通して、人間の口にも入る恐れがあり、健康への被害が懸念されています。

どんな健康被害があるかという研究もヨーロッパなどで2000年代に入って行われていますが、今のところ動物実験での研究しか科学的データはありません」

製造と輸入の禁止

実はヨーロッパなどでは、PFASを規制する動きがすでに始まっています。
有害物質に関する国際的な取り決めである「ストックホルム条約」では、2009年から製造使用が禁止されています。

後藤「日本もその条約に参加していますので、2010年以降、化学物質に関する規制法ができて製造と輸入が禁止されているので、それ以降は日本でも作られることはないです。

しかし、それ以前に作られたもの、工場の周辺などで環境への蓄積が今後どう影響するかが問題です」

最近国内で話題になっていることは、過去に製造されたPFASが、何らかの理由で環境に排出され、地下水などに蓄積していることが確認されているのです。

後藤「日本でも全国各地、かつてPFASを使用していた工場の周辺や米軍基地などで大量の消火剤や洗浄剤を使っているような施設のまわりでは、検出がすでに行われています」

法的義務のある水質基準へ

今後の対策について提言する後藤委員。

後藤「環境モニタリング調査を強化する必要がありますし、そこに住んでいる人たちの健康調査をしっかりして欲しいと思います。

日本で問題なのが、規制する基準値については、PFASには法的義務のある水質基準が日本にはなくて、水質管理目標値、つまり法的義務のないものしか設定されていません。
今後、国レベルで法的義務のある水質基準への格上げが議論になると思います。

本当に健康に被害をもたらす物質かどうかも、これから調べる必要がありますし、住民の不安をどう解消するか、しっかりとしたデータの検証と公表が必要だと思います」

身近なところではファストフードの包装紙や焦げ付きにくいフライパンにも使われていたPFAS。
今後の調査結果や健康への影響などを、冷静にチェックしていくことが必要ですね。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年09月12日07時18分~抜粋

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