多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なぜ?秋の庶民の味覚「サンマ」が超高級魚になってしまった理由

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)、毎週木曜日の「愛ちゃんと木村先生」は、加藤愛アナウンサーが、三重大学名誉教授でおさかな博士の木村清志先生から魚に関するあれこれを学ぶコーナーです。

9月7日の放送のテーマは、秋を代表する魚「サンマ」の生態について。
そもそもサンマはどこで生まれて、どのように大きくなっていくのでしょうか?

[この番組の画像一覧を見る]

1尾100円が1,000円に!

サンマは、秋口に東北の太平洋岸沖から産卵を始めて南下し、冬から初夏にかけては熊野灘などの西日本の太平洋岸で産卵をする。以前はこのように考えられていました。

その後、こどもが大きくなって北上。北海道の東沖で成長し、8月ぐらいから漁獲されていました。

これまではこの時期に脂がのったおいしいサンマが食べられていましたが、残念ながら最近は漁獲量が激減しています。

以前は、サンマといえば秋の庶民の味覚。1尾100円程度で買えていましたが、現在では高い時には1,000円近くすることも。いつからかサンマは、なかなか手が出しづらい高級魚になってしまったのです。

昨年一度だけ食べたという加藤は「ご褒美として」サンマを購入して、「贅沢な気持ち」で焼いて食べたといいます。

沖に分散してしまったサンマ

そんな、庶民の味方であったはずのサンマ。どうして獲れなくなってしまったのでしょうか。

木村先生によると、2010年くらいからサンマが日本の近くにいなくなってしまったといいます。突然サンマが東沖に分散してしまい、どこに集まっているのかがわからなくなってしまったというのです。

漁場が特定できないため、漁獲量が減ってしまいました。

サンマが分散した理由はいろいろ考えられています。
まずは海洋の流れ。海流や水温に関連したエサの問題など、さまざまなことがあります。

サンマが「沖」に行ってしまったことも、大きな問題です。
沖合は沿岸に比べてエサが少ないため、そこで産卵してしまうと、生まれたこどもは栄養状態が十分でないまま育つことになるのです。

卵の量が減り、エサを十分に取ることができないため、最近は小さいサンマが多くなっているそうです。脂のりが悪くなると、味にもかかわってきます。

また獲れるようになる?

以前は、サンマのこどもはエサをしっかり食べて日本の太平洋岸を上って大きくなり、8月下旬から10月頃にかけて水揚げされていました。

熊野灘のあたりでは脂がのらなくなってきたサンマを漁獲し、冬の寒風にさらして干物にしていたのです。

なぜサンマが獲れなくなってしまったのか?
海流や地球温暖化など考えられる原因はさまざまありますが、はっきりとした理由はわかりません。

これまでのようにサンマが獲れるようになる日はやってくるのでしょうか?

この質問に「うーん、何とも言えないですけど…ないとは言えないですよね」と木村先生。

日本でも魚について100年以上研究はされているものの、まだわからないことが多いと言います。

江戸時代から庶民に親しまれてきて、いろいろな文献に取り上げられているサンマ。古典落語には「目黒のさんま」という噺もあります。

木村先生「でもそんな魚がなんか獲れなくなって、もう今や超高級魚になってるという(笑)」

まだまだ未知のことが多いサンマ。再び日本の近くに戻ってきてくれることを期待しましょう。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2023年09月07日11時30分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報