多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

大阪で「本当の」万博が2年後に開催…どういう意味?

2年後に開催が予定されている大阪・関西万博ですが、パビリオンの建設がかなり遅れているどころか、参加するのかどうかも怪しいという国も出てきています。

ここのところ開催を危ぶむ声が広がっていて、暗雲が立ち込めている状況。

そこで7月26日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、あらためて万博、国際博覧会とはどのようなものなのかについて、CBC論説室の石塚元章特別解説委員がレクチャーします。

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「本物の」万博

かつて万博はどこの国がいつ開催しても良く、自ら「国際博覧会」とうたっていれば「万博」として開催されていました。
しかし、1928年(昭和3年)に国際博覧会条約が取り決められました。

今のルールでは「万博」は大きく2種類、「登録博」(以前の「一般博」)と「認定博」に分けられます。

大規模開催の登録博は5年に1度で会場面積や、期間は6か月までといったようなルールが決められています。

認定博はそれよりも規模がやや小さめで、登録博を行っていない間に行い、テーマをしぼって行うこととなっています。

日本では1970年(昭和45年)開催の大阪万博や、2005年(平成17年)開催の愛・地球博(愛知万博)が登録博にあたりますが、沖縄海洋博やつくばの科学万博、大阪の花博などは認定博です。

今度開催される大阪・関西万博は登録博のため、「日本で3番目に開催される本物の万博」と言われたりします。

「〇〇博」と名乗ってもいい?

ちなみに上記以外にも名古屋では「デザイン博」というものが行われていましたが、これは「博」がついているものの、国際博覧会ではありません。

「博覧会」という言葉自体は一般名詞ですので、大規模なイベントを「〇〇博」と名付けても特に問題はありません。

デザイン博は1989年(平成元年)に開催されましたが、当時、日本各地でちょっとした地方博ブームが訪れました。

これは1981年(昭和56年)に神戸で「ポートピア」という博覧会が開催されて大人気となった上に、市制100年目という自治体がたまたま多かったためです。

さらにバブル絶頂期ということもあって、イベントで地域経済を発展させようという目論見もあったかもしれません。

その後、バブル崩壊や阪神・淡路大震災を経て、1996年(平成8年)に東京都で都市博を開催しようとする動きに対し、青島幸男氏が都知事に当選したことで中止に。

すでに赤字を生んでいた都市博は、ブームが収束していきました。

万博の意義はなくなった?

第1回万国博覧会は1851年にロンドンで開催され、条約締結後はシカゴ万博などが開催されましたが、そもそも万博を開催する意義は何でしょうか?

大昔、古代ギリシアでは征服した国から持ってきた品を世間に見せることで、自分の力を誇示するという目的があったようです。

初の万博、ロンドンの場合は各国が参加し、自分の国の商品を見せることで貿易を進めるという目的がありました。

ただ、今はわざわざ実際の場所でイベントを開催しなくても、ネットで即座に世界中に発信することができるため、存在意義が薄れているといわれています。

国威発揚型といわれる最後の万博は、1970年の大阪万博という見方もあり、その後は少し勢いを失っているようにも見えます。

そこでBIE(博覧会国際事務局)では、国威発揚型ではなく課題解決型にしようと呼びかけ、変わってから後に開かれたのが、環境問題などをテーマにした「愛・地球博」だったのです。

しかし、万博の意義が揺らいでいるのは変わらず、労働力不足や資源の高騰などにより開催が危ぶまれている状況である今、本当に開催すべきかどうか、その意義が問われているようです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年07月26日07時20分~抜粋

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