多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

偉人の暗殺に使用された過去も。 意外と身近な「ヒ素」の話

北海道・蘭越町の掘削現場で地中から蒸気が噴き出し、飲料基準の2,000倍以上もの高濃度の「ヒ素」が検出されたことがニュースとなっています。
そもそもこの「ヒ素」とは、一体どのような物質なのでしょうか?

7月13日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、名古屋工業大学名誉教授の齋藤勝裕先生に、「ヒ素」について詳しく伺いました。

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ナポレオンの暗殺に使われた

齋藤先生によると、ヒ素は自然界に普通にあるもの。広くまんべんなく存在しており、どこを掘っても出る可能性があるため、今回の北海道のニュースも不思議ではないといいます。

ヒ素は水に溶けやすい性質があるので、地下水に溶けて流れて、温泉と一緒に吹き出すことは十分にありえるそうです。

ヒ素は、昔から暗殺によく使われていた毒物。ナポレオンや徳川将軍家の12、13、14代は皆、このヒ素で暗殺されたと言われています。

これは「水に溶けていてもわからない」から。ヒ素化合物のひとつ、白色の粉末「亜ヒ酸」は、水に溶けても無色透明で無味無臭。齋藤先生いわく「毒としては最高に使いやすい」のだそう。

ヒ素が人体に入ると、胃や腸といった消化管に影響を及ぼします。これは濃度によって異なり、少なければ腹痛程度、多ければすぐにショック死してしまうこともあるそうです。

慢性中毒で死に至る

毎日少しずつヒ素を飲ませる、巧みな暗殺方法もあります。ヒ素は排出されずに身体に溜まり、ある量に達したところで死に至る。これが「慢性中毒」です。

爪に水平な線「ミーズ線」が出るのが、ヒ素やタリウムの慢性中毒である顕著な印。しかし爪はどんどん伸びるため、中毒であることの証拠がなくなってしまいます。

1820年頃、ヨーロッパでヒ素を簡単に発見する方法「マシュー法」が発見されたことから、暗殺にヒ素が用いられることはなくなりました。

乾燥ひじきの致死量

実はこのヒ素、我々の生活に巧みに忍び寄っています。
実は、日本人のおふくろの味「ひじきの煮物」にも、ヒ素が含まれているそうです。

例えば、大人は100mgのヒ素を一度に食べると亡くなる可能性がありますが、乾燥ひじき1㎏に含まれているのは、なんと50gのヒ素。乾燥ひじき200gで致死量です。

とはいえ、心配には及びません。
乾燥ひじきを戻す時にヒ素はお湯に溶け出すため、ひじきに残るヒ素の濃度は10分の1以下になります。普通に食べる分には問題はないということです。

生活に忍び寄るヒ素

我々の普段の生活の中に、ヒ素が混じった水が流れ込んでくる可能性も大いに考えられます。

第二次世界大戦中、日本軍が作ったヒ素の毒薬を詰めた爆弾がいつの間にか地下水の中に溶け込み、井戸水として飲んだ人に症状が出たという話もあるそうです。

周囲の人間も含めて体調がおかしいと感じた場合、保健所に調査を依頼するような意識を持つことが大切ということでした。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年07月13日07時18分~抜粋

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