7月11日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は5年前に脱退したアメリカが正式に復帰したことを発表しました。
脱退時の大統領はドナルド・ジョン・トランプ氏。バイデン政権になって復帰したことになります。
7月11日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、アメリカのユネスコ復帰の背景や影響について、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が説明します。
アメリカがユネスコに復帰!一度脱退したのになぜ今?
ユネスコ憲章
ユネスコとは、国連教育科学文化機関という名前の機関です。英語でUnited Nations Educational, Scientific and Cultural Organization、頭文字をとってユネスコです。
本部はフランスのパリ。加盟国は世界190カ国あまり。国連の一機関です。
創設は1946年、第二次世界大戦の翌年です。『ユネスコ憲章』を要約すると、次のような目的が書かれています。
戦争は人の心の中で生まれるものだから、戦争を繰り返さないためには、人の心の中に平和の砦を築く必要がある。そのためには、教育、科学、文化の理解が必要であって、世界の国々の教育、科学、文化の交流を通して、世界の平和と安全に貢献すること。
理念的には国連の中で最も国連たる機関です。
最近は「世界遺産」に関する話題が多いですが、本来ユネスコの思想は平和なんですね。
本部はフランスのパリ。加盟国は世界190カ国あまり。国連の一機関です。
創設は1946年、第二次世界大戦の翌年です。『ユネスコ憲章』を要約すると、次のような目的が書かれています。
戦争は人の心の中で生まれるものだから、戦争を繰り返さないためには、人の心の中に平和の砦を築く必要がある。そのためには、教育、科学、文化の理解が必要であって、世界の国々の教育、科学、文化の交流を通して、世界の平和と安全に貢献すること。
理念的には国連の中で最も国連たる機関です。
最近は「世界遺産」に関する話題が多いですが、本来ユネスコの思想は平和なんですね。
ユネスコの活動
具体的な活動としては、教育分野だと、世界中で文字を読めなくて苦しんでいる人たちのために識字教育、文字を読むため教育支援をしたり、エイズの教育をしたりします。
また科学の分野では環境保護とか、地球温暖化の研究もしています。
最近注目を集めているのは、急速に進歩しているAIとか、ものすごい科学技術の進歩の一方で人間にとっての倫理の問題、この基準作りを国際的に提案するという活動が、いま大きなウエイトを占めています。
文化の分野では、前述の「世界遺産」の保護や認定などが知られています。
また科学の分野では環境保護とか、地球温暖化の研究もしています。
最近注目を集めているのは、急速に進歩しているAIとか、ものすごい科学技術の進歩の一方で人間にとっての倫理の問題、この基準作りを国際的に提案するという活動が、いま大きなウエイトを占めています。
文化の分野では、前述の「世界遺産」の保護や認定などが知られています。
現在拠出金1位は中国
ユネスコの活動資金は加盟国の拠出金で賄われています。拠出金は国ごとに金額が異なります。
拠出金、分担金を多く出している国のランキングでは、現在第1位が中国で19.7%。アメリカが参加している時はアメリカが1位で20%以上を出していました。
アメリカがいない現状では、2位が日本、ドイツ、イギリス、フランスと続きます。
ほとんどの国連組織の拠出金と同じ図式です。
拠出金、分担金を多く出している国のランキングでは、現在第1位が中国で19.7%。アメリカが参加している時はアメリカが1位で20%以上を出していました。
アメリカがいない現状では、2位が日本、ドイツ、イギリス、フランスと続きます。
ほとんどの国連組織の拠出金と同じ図式です。
なぜ脱退?
5年前にアメリカが脱退を決めた理由についてです。
ユネスコの活動がパレスチナ寄りで反イスラエル的だという反発を強く持っていたのが、アメリカの共和党政権でした。
当時の大統領・トランプ氏はユネスコが反イスラエル的だとした。パレスチナ地区を世界遺産に認定したり、パレスチナ自体を国としてユネスコに正式加盟させたりしている向きが、当時のアメリカの政策に合わないと判断された上での脱退でした。
ユネスコの活動がパレスチナ寄りで反イスラエル的だという反発を強く持っていたのが、アメリカの共和党政権でした。
当時の大統領・トランプ氏はユネスコが反イスラエル的だとした。パレスチナ地区を世界遺産に認定したり、パレスチナ自体を国としてユネスコに正式加盟させたりしている向きが、当時のアメリカの政策に合わないと判断された上での脱退でした。
中国が主導権を
バイデン政権でユネスコに復帰した理由についてです。
最大の拠出国だったアメリカの脱退後、トップの拠出金国になったのは中国です。
すると、西側諸国からは、最近注目を集めている人工知能などの最新鋭の科学技術の分野で、中国に国際基準づくりの主導権を握られてしまう危機感が叫ばれました。
アメリカが最大資金分担国に復帰することで、リーダーシップをとるべきだという世論に押された面もあるようです。
政治に絡むことが大きく反映していくでしょうし、その中で対立軸として、アメリカと中国の綱引きが見えてきているということです。
最大の拠出国だったアメリカの脱退後、トップの拠出金国になったのは中国です。
すると、西側諸国からは、最近注目を集めている人工知能などの最新鋭の科学技術の分野で、中国に国際基準づくりの主導権を握られてしまう危機感が叫ばれました。
アメリカが最大資金分担国に復帰することで、リーダーシップをとるべきだという世論に押された面もあるようです。
政治に絡むことが大きく反映していくでしょうし、その中で対立軸として、アメリカと中国の綱引きが見えてきているということです。
ユネスコの中の対立
ここまでの話を聞いた多田、このように疑問を呈します。
多田「そもそもユネスコは戦争は人の心の中で生まれるから、人の心の中に平和の砦を築かねばならないという理念。なのに、ユネスコで米中がチャンバラをやっているのでは、どうかと思いますけどね」
後藤委員「本当にこの理念を心に刻んで、もう一回、世界が平和になるために、ユネスコのあり方、国連のあり方、国際関係のあり方を考え直したいですね」
(みず)
多田「そもそもユネスコは戦争は人の心の中で生まれるから、人の心の中に平和の砦を築かねばならないという理念。なのに、ユネスコで米中がチャンバラをやっているのでは、どうかと思いますけどね」
後藤委員「本当にこの理念を心に刻んで、もう一回、世界が平和になるために、ユネスコのあり方、国連のあり方、国際関係のあり方を考え直したいですね」
(みず)
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