多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

コロナ禍で肝機能障害が増加。「脂肪肝」が進むとどうなる?

ここ最近、増加傾向にある「肝機能障害」。
この背景には、コロナ禍による自宅での飲酒量の増加があるといわれています。

今月、日本肝臓学会は、肝臓機能を表す「ALT」がこれまでの基準を下回る数値であっても、早期の受診を促す新たな指標を発表しました。

6月26日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、春日井市民病院の元院長で、肝臓と腎臓の専門家でもある渡邊有三先生に、肝機能障害についての話を伺いました。

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肝臓の3つの役割

肝臓の役割は大きく分けて3つあります。

1つ目は「エネルギーの貯蔵」。
食べていない時に、グリコーゲンとして貯めていたものをブドウ糖に使うことで、エネルギーを貯蔵したり、タンパク質を作ったりすることができます。

2つ目は「解毒機能」。
身体の中で毎日いろいろな物質が使われることでゴミが出ますが、これを解毒して排出する重要な機能です。最もわかりやすい例はアルコールです。

3つ目は「胆汁の生成、分泌」。
食べた分の脂肪を身体に吸収するためには、この胆汁が必要です。身体全体のエネルギー代謝と貯蔵に、非常に重要な臓器であるということです。

怖い怖い「脂肪肝」の話

コロナ禍の宅飲みでアルコールの摂取量が増えたことで、肝機能障害のひとつ「脂肪肝」が増えています。

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪の「脂」がたくさん沈着した状態。肝臓の細胞の中に余分なエネルギーを貯蔵する場合、脂肪の形で貯めます。食べられない状況が長く続く時には、この脂肪を分解して、ブドウ糖を作り出すことができます。

このエネルギーを使わずに貯まってしまった状態が「脂肪肝」。通常は赤い肝臓がフォアグラのように真っ白になってしまうのは、「脂肪だらけ」という証拠です。

脂肪肝が長期に及ぶと、脂肪が原因の炎症が起こる「脂肪肝障害」となり、さらにひどくなると肝臓の細胞が繊維組織に置き換わる「肝硬変」になってしまいます。

脂肪肝の場合、肝臓は大きく黄色っぽくなりますが、進行すると肝臓が縮んでしまい、命につながる危険な状態になってしまうということです。

脂肪肝は断酒で解消?

実はアルコールを飲まない方でも、非アルコール性の肝炎「NASH」になる可能性があるので注意が必要です。

肝機能を表す「ALT」の正常値は、男性が42、女性が23。しかし日本肝臓学会は早期発見の大切さを訴え、この数値が「30」を越えた場合は医療機関を受診するように声明を出しました。

アルコールをたくさん飲むことで、脂肪肝が進む場合もあります。「何事も適量が大事」というわけです。

アルコールによる脂肪肝の場合、断酒することで解消します。渡邊先生自身も2~3週間の断酒で脂肪肝が正常になった経験があるんだそう。

栄養制限と運動で体重をコントロールすることで、脂肪肝は改善できます。
脂肪肝を治す薬はないため、健康診断で早めにチェックをして、専門家に診断してもらうことが大切というお話でした。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年06月26日07時18分~抜粋

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