多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

噂が出たまま国会が閉幕…衆議院解散はなぜ起きる?

6月21日に国会が閉幕しました。

数日前までは会期末に衆議院の解散が行われるのかどうかが話題となりましたが、結局、解散はなくなったようです。
そもそも「衆議院の解散」とはどのようなことなのでしょうか?

6月21日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が「衆議院の解散」についてわかりやすく解説しました。

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衆議院が解散する2つのケース

まずは衆議院についておさらいしてみましょう。

日本の国会には衆議院と参議院があり、参議院議員の任期は6年で解散はなく、衆議院議員の任期は4年ですが、満了する前に資格を失わせることが「解散」です。

では「衆議院の解散」はいつ、誰がどのように決めることができるのでしょうか。

憲法には関連する条文が2つあります。
ひとつは69条で内閣不信任決議が可決された時で、そのあとに解散して総選挙を行い国民の意見を問うか、内閣が自分たちが悪かったと認めて総辞職するかの2択になります。

戦後60回以上内閣不信任決議が出されたのですが、可決されたことは4回しかありません。

というのも、国会の多数派が内閣にいるわけですから、反対が起きるとは通常考えにくいためで、与党が分裂する時ぐらいです。

解散の理由は何?

もうひとつ、衆議院が解散する根拠は日本国憲法第七条(天皇の国事行為)によるもので、「天皇は内閣の助言と承認によって国事行為を行う」とあり、国事行為の中に「衆議院の解散」が含まれています。

ただ、解散を決めるのは天皇陛下ではなく、実質的に内閣が決めること、つまり内閣トップの総理大臣が決められるという理屈になっています。

それでは、総理大臣が衆議院が解散させたいと思うのは、どのような時なのでしょうか?

最近よく言われるのは「大義があれば解散しても良い」というもの。

この大義については、憲法学者の解釈も分かれていて、例えば大事な法案が国会で否決された時や、大臣を選んだ時から社会情勢が大きく変わり、顔ぶれを変えた方が良いと判断した時などさまざまです。

つまり、大きな政治的なできごとがあり、これで良いのかどうか選挙をして国民に意見を聞くためのものであり、これが「国民に信を問う」という意味なのです。

では実際にこれまでの解散はどのような理由で行われたかというと、有名なのは郵政民営化の民意を問うた「郵政解散」です。

一方で「いま選挙をすればさらに勝てるのではないか」というタイミングで解散している、つまり、与党の党利党略で解散しているのではないか、といううがった見方もあります。

解散の噂はホント?

では最近、「岸田首相は前まで解散したがっていたが、最近になって解散の考えを辞めた」という噂がありましたが、石塚は「岸田首相は解散したがっていなかったのではないか?」と語ります。

これには、来年の秋に行われる自民党総裁選と関係があると推測します。

石塚「いま良いからって(解散を)やっても、総裁選まで1年以上あるんですよ。
その間に何が起きるのかわからないので、ちょっと早すぎるんじゃないかという話もありました。

もうひとつ、解散の噂が流れるのは、選挙で勝つことよりも、どうやら自民党の中での権力の様子見。
誰がドキドキするかとか、誰にプレッシャーをかけるかとか。

(長期政権を目指す岸田首相にとって)与党内の駆け引きの方が、実は強かったのではないかという見方もあります」

ただ、この「解散するか、しないか」という騒ぎは、岸田首相が最初に自ら述べたわけではなく、周りが噂をしていたことが発端です。

政治担当記者が話題にすることが多く、「自分が最初に解散の情報を入手した」と言いたいということもあるかもしれません。

今回の解散騒ぎは、本来の解散の目的とは大きく外れていることは間違いないようです。
(岡本)
 
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2023年06月21日07時19分~抜粋

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